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Blue Ridge Saga —クリスタニアの過去  作者: おーがすてぃーぬ


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貴公子ルイの堪忍袋ークリスタニアのお気に入り

普段怒ることなんかなさそうなルイですが、いつまでもごちゃごちゃうるさいVLCCたちにとうとうキレます。

ルイは自社船に呼びかけた。


“All BMM vessels, this is Cristania. We are now operating under coordinated fleet command by HQ. We are proceeding to the Cape of Good Hope. Those who comply, follow us. Those who refuse, return on your own. This is an order from HQ.”

(こちらクリスタニア。BMM各船に通達する。本船は本社命令による協調運航下にある。喜望峰へ向かう。従う者は続け。従わぬ者は自力で帰投せよ。本社命令だ。)


三井はAISを監視し続けていた。

「副長ー、ざわついてますよ。だいぶ。」


ルイはケラケラと笑った。

「ザワザワさせときなよー。どうせ言うこと聞かない船長たちは、あとで各部門から処分されるだけだし。僕たちの知ったことじゃない。」


 

一方、本社の運航管理モニターを見ながら、商船各部門は冷や汗をかいていた。

どの船が指示に従い、どの船が逆らったのか、AISで明白になったからだ。


日向キャプテンは腕を組んだまま各部門に告げた。

「こいつらの処分は、お任せする。」


その側には、大きなドーベルマン―カイザーが従うように座っていた。


「カイザー、戻るぞ。」


商船各部門は俯いたまま、その姿を見送った。


 


「処分が必要な船長がこれほどとは……」

「このままでは減便を余儀なくされる……」

「カナダからエネルギー輸入の話もあるのに…」

 


紅海では、怒声が止まらない。


“Pathetic! Following a brand-new cruise ship?!”

(新造船ごときに従うとは腑抜けめ!)


“We can cross the Cape on our own!”

(喜望峰など自力で越えられる!)


 


クリスタニアブリッジは、そろそろ苛立ちが限界に来ていた。

ルイの表情が変わる。

怒った顔など誰も見たことはない。怒ることなどあるのかと思う程、ルイは温厚なのだが…


「さっきからゴチャゴチャと、うるさいなぁ…」


“This is Cristania. Safety of navigation is the top priority. You are obstructing operations. Keep silence. All vessels in convoy, increase speed and follow us out of the Red Sea.”

(こちらクリスタニア。安全を最優先とする。運航の妨げだ、沈黙しろ。船団各船、増速して紅海を離脱。本船に続け。)


その声は一段低く、目は鋭かった。

ハッキリと『邪魔だ、黙れ。』と言っている。


長音と共に、クリスタニアは速度を上げた。

白い船体に白波が立ち始める。


 

「栗栖。クリスタニアに逆らうものは置いていけ。日向キャプテンの命令だ。奴らの通信は全て無視しろ。」


栗栖は了解と返事しながらも

(何や、この既視感。誰かに似とるよな…)


と脳内をグルグルさせていた。


 

時間が経つにつれ、船団は三列の長い隊列に固定されていく。

遥か後方でごちゃついたVLCCたちがいるが、それでも徐々にまとまっていった。



「ルイ副長、喜望峰付近に発達中の低気圧がいます。現在970hPa。このままの速度で航行すると、約20日程で接触します。どうしますか?」


「本社、こちらクリスタニア、ルイだ。ポートルイスとダーバンで分散補給。その後リチャーズベイ中間海域でやり過ごす。いかがか。」


『本社運航管理部。船団運航計画を承認します。各港へ連絡します。』


「了解。補給計画および入港順は任せる。」


 

フレデリクは小さく笑った。

「まるで軍艦のような捌き方だな。」


シンシアも頷く。

「ホントだわ。ケーキを作るみたいな手際ね。」



ルイは、いつもの調子に戻る。

「東京帰ったらパーティーだね!エリコがケーキ食べたいって言ってたし。良かったら皆も一緒にどうだい?」



三井の目が輝く。

「マジっすか?!ルイ副長のお菓子、めちゃくちゃうまいんすよねー!」


谷屋も笑う。

「あー!分かる!…腹減ったなー!」


「三井ー、お前またつまみ食いすんなよー」


「しないっすよ!たぶん。」


「いっつも本社の女の子にバレて叱られとるやん。」


「つまみ食いなんかしなくてもいいように、バッチリ準備すればいいさ。その代わり手伝ってもらうけど。」

 

ブリッジに、穏やかな空気が戻る。


 


フレデリクはその様子を見ながら、ふと思った。


(……あの判断の早さ。この変わりよう。クリスタニアが気にいる理由が分かるようだな。)


お料理上手だから、船の捌き方が上手なのかは分かりませんが、ルイは器用です。

クリスタニアの好み、でしょうかねぇ

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