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Blue Ridge Saga —クリスタニアの過去  作者: おーがすてぃーぬ


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23/27

白馬の休息ーマニラでの一時

猫好きないかつい2人が、猫と戯れています。



数日後、クリスタニアはマニラに到着した。


クルーたちは補給作業の合間、埠頭で束の間の休息を取っていた。


 

埠頭には、どこからともなく猫たちが集まっている。


クリスタニアを見上げては首を傾げ、ニャアニャアと鳴いていた。



それをデッキから見ていた機関長の谷屋は、頬を緩めながらタラップを降りていく。


「おぉー!可愛いなぁ!」


熊のような体格の谷屋がしゃがみ込み、そっと猫たちの頭を撫でる。


すると猫たちは警戒するどころか、次々と谷屋の肩に登り、足元に寝転がり、好き勝手に寛ぎ始めた。


「ん?副長も猫好きか!」


谷屋が振り返ると、フレデリクも大きな体を縮こめながら猫たちと遊んでいた。


「猫は可愛い。たまらん」


いかつい風貌からは想像できないほど、柔らかい声だった。


「スノーに会いたいな」


愛猫を思い出したのか、少しだけ視線が遠くなる。


猫たちはその隙を逃さず、フレデリクの背中によじ登り、見る間に制服を毛だらけにしていった。


「大人の猫なのに、あんたが抱っこすると子猫みたいだな!」


谷屋が笑う。


 

背後では、燃料補給中を示す赤い旗が風に揺れていた。




その頃、通信士の栗栖が、紅海にいる商船たちの情報を集めている。


傍らでルイは、ラテを片手に静かに報告を聞いていた。


「……いかにも荒っぽそうなのしかいないねぇ。本社に照会して。どいつがならず者なのか」



「了解。本社タンカー、バルクキャリア各部門へ。こちらクリスタニア。紅海にいる商船の詳細情報を要求する」



すぐに応答が返る。



『こちら、タンカー部門だ。特に気性の荒い連中をピックアップした。先日日向キャプテンを激怒させた連中だ。バルクキャリア部門と合わせてデータを送る』


 

送られてきたデータには、船種や船名だけでなく、注意事項までびっしりと記されていた。



「……こりゃぁ、いかにもだね。」


ルイは、肩をすくめた。


栗栖はため息をつく。


「日向キャプテンを激怒させるなんて……いらんことしよるわ」



ルイはカップを傾けながら尋ねた。


「日向キャプテンは、そんなに恐ろしいのかい?」


 


栗栖は天井を仰ぎ、小さく首を振る。

「恐ろしいなんてもんやないですよ……。

元はレジェンディアのヘンリー船長の弟子やけど、合理的で容赦がない。今回も“新造船ごときが”言われて、“従えないなら自力で帰れ。ただし本社が優先するのは協調運航や”と。ほら。」


一度言葉を切り、モニターを指差す。



「つまり、お前らのことなんぞ知らん、ですわ。タンカー部門も震え上がったらしいです」


 


ルイは苦笑した。


「日向キャプテンの怒りはごもっともだ。BMMには大したキャプテンがいるんだね」


栗栖は、コーヒーを飲みながら言った。


「社長の旦那ってのもあるけど、それだけやない。実力もあるし、グループの船長は誰も逆らいません。エリコ常務も、何度怒られたことか」


 

ルイは肩をすくめる。


「気持ちは分からなくもないけど……あんまりエリコをいじめないでほしいもんだね」


 


そう言って、静かにラテに口をつけた。


 


 


クリスタニアには、穏やかな時間が流れていた。

白馬が、静かに草を食むように。

日向キャプテンの恐ろしさは、ルイにとっては何でもないようです。


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