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Blue Ridge Saga —クリスタニアの過去  作者: おーがすてぃーぬ


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16/25

比べるまでもない—ホルムズ停止、決断の時

日向キャプテンの判断の速さが際立ちます。



ニュースが流れた。


DMCが、小規模ながら老舗のクルーズ会社コラールラインを子会社化したという報道だった。


それを見た日向キャプテンは、射殺すような目でモニターを見つめる。


(クリストファー…。貴様だけは許さん…。絶対に。)


その裏で何が起きたのか、予想がついていたからだ。


次の瞬間、臨時のニュース速報が画面に割り込む。


ホルムズ海峡、通航不可。


日向キャプテンの目がわずかに見開かれた。


運航管理部が一斉に動き出す。


ペルシャ湾に何隻いるのか確認が走り、紅海にいた商船たちには、その海域から離れて待機するよう指示が出された。


「なんてこった!!一体何隻いるんだ!」


「ペルシャ湾内にまだ30隻程います!退避不可のようです!」


張り詰めた空気の中で、日向キャプテンは静かに口を開く。


「レジェンディアとクリスタニアに協調運航させろ」


一瞬、フロアの空気が止まった。


「喜望峰回りで大船団を率いて帰還させる」


ざわめきが広がる。


「暴れ馬の汚名を返上し、デビューに箔がつく」


それだけではない。


日向キャプテンはすでに確信していた。


今なら、喜望峰を越えてくる。


輸送する燃料と船の価値を頭の中で弾く。


一隻でも多く連れ帰る方がいい。


それが最適解だった。


この時点で、クリスタニアに乗せられるのは一等航海士を含めて約百五十人。


多くはないが、ギリギリで回せる人数だ。


「ぶっつけ本番過ぎます!」

「まだ試験運航さえ終えていないじゃないですか!」


運航管理部が声を上げる。


日向キャプテンは視線だけを向けた。


「仮にVLCCが被弾して火災を起こし、航行不能になるのと、クリスタニアが機嫌を損ねるのと、どちらが不利益だ」


言葉が詰まる。


「クリスタニアの購入関連で十億近く、改修に百億程、さらにここまでくるだけで相当な額だが、VLCCの船体と積荷の燃料を失えば、それ以上になる。違うか?」


静かに言い切る。


「比べるまでもない。それとも、商船の中で出来る船がいるのか?」


沈黙が落ちた。


やがて、運航管理部は顔を見合わせる。


「……試験運航という名目で、長距離航海を許可します」


決定だった。


「社長には私から話しておこう。全船に通達を出してくれ。」


日向キャプテンは、すぐ社長室に連絡を入れる。



暫定チェックポイントはインド洋。


その指示は、すぐにBMMの商船すべてとレジェンディア、クリスタニアに通達された。


クリスタニアブリッジでは、ルイとフレデリクが難しい顔でその指示を確認していた。


「行けないこともないが、忙しくなりそうだな。」

「僕たちで徹底的にデータ取らないといけないね。」




バルセロナにいたレジェンディアは、予定を繰り上げニューヨークに直行することになった。


刻一刻と中東情勢は悪化していき、時間と共に混乱は増していく。


クルーズ部門の社員たちはニューヨークへ飛び、本社に残った者たちはクリスタニアの試験運航準備に動き始めた。


世界が、静かに動き出していた。



クリスタニアは試験航海で、素直に航行するでしょうか。



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