ロイド7
ストーンブラストを設置し、手動で爆破するという荒業でなんとかしのいだ次の日、相変わらず俺たちは前線に居た。当然、リーダーから敵の新兵器が使用された事は上に伝わっているだろうが、たった1日で対策された作戦が立案されるわけがない。
だが、無策というわけでもなかったようだ。
「それじゃあ、俺が盾を張りますので、後ろに続いてください」
今日はタンクが配備されていた。そのタンクの名前はサム。他の戦場からわざわざ呼び寄せられた熟練のタンクだ。
「ああ。今日、戦線を上げられるかどうかはお前にかかっている。ロイド、お前はサムの後ろからストーンブラストを撃て。マシューは俺の後ろだ。そして、その後ろからエミリーがついてこい」
今のパーティはリーダー、俺、エミリー、マシュー、サムの5人だ。もう一人居た新人は、先の戦闘で死んだ。
今日の戦闘にも敵は新兵器を使用していた。そうしないとこちらのストーンウォールを破壊できないのだから、温存するという事は無いだろうが。
ちなみに、サムのシールドはストーンバレットを近距離で撃っても防げる強度があった。通常のシールドの3倍の強度はあるだろう。敵の新兵器の威力は分からないが、簡単には破れないはずだ。
「では、行きます。シールド。念のため重ね掛けします。シールド」
サムは、強度のあるシールドをさらに強化した。魔力は多く使うだろうが、敵の武器の威力が分からない以上、必要なことだ。
サムはシールドを張りつつ慎重にストーンウォールから体を出す。しばらくすると、敵の炎弾がサムを狙い始めたが、ただの炎弾ならこれだけ距離があれば平気そうだ。サムが少し進んだところで、大きな音が響いた。
「くっ、恐らく敵の新兵器の攻撃を受けました。ですが、耐えられます!」
サムのシールドは、敵の新兵器の攻撃に耐えられたようだ。
「敵の新兵器の場所はあそこだな」
リーダーが視線を向けた先は、少し陣形が左右に分かれた場所があった。よく見えないが、その奥に新兵器を使う魔族が居るのだろう。
「よし、このまま進――だめだ、退却しろ!」
リーダーが叫んだ瞬間、サムの頭が吹き飛んだ。即死だろう。さっきは防いだ攻撃が、今度はあっさりとサムのシールドを打ち破ってきたのだ。一体、何があったのだろうか。俺たちは慌ててストーンウォールの後ろに隠れ、さらにシールドを張る。さっきの攻撃が再度撃たれた場合、きっとストーンウォールですら貫通してくる。
「もっと下がるぞ」
リーダーが今のストーンウォールの場所を捨てて移動すると、しばらくしてさっきまで俺たちが居たストーンウォールが半壊し、地面が爆ぜた。もしあのまま残っていたら、俺達も死んでいたかもしれない。
「リーダー、一体なぜ敵の攻撃が急に強くなったんですか?」
「俺が身体強化で見えたのは、一人で扱っていた長い杖を、複数人で持ち始めたところだった。恐らく、威力を強化したんだろうな。くそっ、せっかくのタンクを無駄にした。即死じゃヒーラーでも助けられん」
タンクは貴重だ。だが、そのタンクすら防げない攻撃をしてくる魔族に、俺たちは対抗手段があるんだろうか?




