ロイド2
俺たちが配属されてからも人類側から攻勢に出ることは無かった。大砲が魔族の謎の攻撃によって破壊された以上、むやみに貴重な大砲を前線に出すことが出来なくなっていた。
敵も早々にあの攻撃方法がどういう物かバレるのが嫌なのか、大砲に対する切り札として温存しているようで、通常の戦闘に使用してくることは無かった。
今では、前の様に敵の隕石にアースウォールが破壊され、雨が降ればアースウォールを作りつつ進むという膠着状態へと戻っていた。ただ、以前と同様ということは、被害はこちらの方が多くなるという事なので早々に解決策を出さないとジリ貧で負けるのはこちらだ。
「・・・偵察任務が出た」
ある日の朝のミーティングで、リーダーがポツリとそう言った。いつも全力に見えるリーダーにしては珍しい。
「偵察ですか? もしかして、敵の秘密兵器をあばきにいくという事でしょうか?」
「そうだ。いつまでも今の状態を続けるわけにはいかない。上は何としても敵の武器情報を持ち帰れと言ってきた」
「偵察なんて、できるならとっくにやってるはずですよね?」
「ああ。視認性の悪い夜間に敵の陣地へ近づき、情報を得る。口で言うのは簡単だが、見つかれば終わりだ。過去には何度かやっているが、偵察で得る情報がほとんど役に立ったことが無いから最近はやっていない。しかし、今回は目的があるからな」
「それを、我々でやるという事でしょうか?」
「一応、俺に下された命令だが、采配は俺に任せられている。当然、偵察兵として訓練を全く受けていないうちのパーティはやらないつもりだが、この重大な任務を任せられるような奴が思い浮かばん」
偵察任務が少なすぎて、それができる兵士がほとんどいない。視力を上げる事が出来る身体強化を使える者か、遠視等のスキルやオリジナル魔法を使える者がその役割をやるのだが、そういう者は今じゃ監視塔なんかの他の仕事についてる者が多い。
「・・・ここで口にしたということは、俺達でやるという事ですよね?」
「いや、俺が行くと進言したら却下された」
当然だ。リーダーはここで一番偉い。そんな人に偵察任務なんてさせるわけないだろう。
「俺、やります!」
そんな中、新人のマシューが手を挙げた。こいつは昨日、エミリーにアタックしていたやつだ。まさか、彼女にできる男アピールをしているのか?
「新人に任せる様な任務じゃねぇよ。監視塔の任務に就いている奴に任せる」
「俺、暗視持ってるんです」
「・・・初耳だな」
「すいません。あんまり役に立たないかと思って申請してませんでした」
「どっちにしろ、それがあったところで偵察できる理由にはならん。気配の消し方、音の隠し方、必要な技術が多い」
「俺、子供の頃は田舎で狩りをしていたので出来ます」
「・・・失敗すれば死ぬんだぞ? それどころか、警戒されて2度と同じ手は通じなくなる重要な任務だ」
「でも、成功すればこれ以上ない手柄になりますよね?」
「・・・一考の余地があるかどうか、お前ができる事を俺に教えろ」
リーダーは、マシューから話を聞くことにしたようだ。




