エミリー10
私がイメージしたシールドは、思ったよりも複数同時展開が楽でした。並べた時のイメージが、1枚の時と変わらないからです。それでも最初はすぐにイメージできなくて何度もルークリーダーのストーンバレットを防ぎきれず、体で受けることになりました。
普通の人であれば、ストーンバレットを体で受ければアザや最悪打撲になるのですが、幸い私はヒールですぐに治るので後には残りません。その代わり、痛みが嫌で素早くシールドを作るイメージを覚えるのにはマイナス効果だったようで、思ったよりも時間がかかってしまいました。
「ストーン―――」
「シールド」
「バレット」
おかげで、ルークリーダーの呪文が聞こえた瞬間にシールドを張れるくらいには素早く張れるようになりました。当然、ただ張るだけでなく、体の半分は覆えるくらいの範囲のシールドです。
「よし、これだけのシールドが瞬時に張れるようになったなら俺が教えることはもう無いな」
「教えていただき、本当にありがとうございました」
「礼ならアランに言うんだな。要らないというのに、教えて貰っている礼だと言っていろいろと置いていきやがった。まあ、酒はあまり手に入らないからありがたくいただいたが」
「そうだったんですか・・・」
私が居ない時に訪れていたのであろう。私にはこの戦場で渡せるものが全くなかったので、どうお礼をしようか考えていたのですが、すでにアランリーダーがルークリーダーに渡していたようです。
「私もお礼をしたいのですが、渡せるようなものは全くありません。お金もここでは下ろせないので、国へ帰ることが出来たら必ずお渡しします」
「いらん、いらん。アランからの物で十分だ。お前が生き残れるようになればそれでいい」
「でしたらせめて、何かあった時には私は何においてもすぐにルークリーダーをヒールをすると誓います」
「だったら、礼はそれでいい。随分と優秀なヒーラーの様だからな」
ルークリーダーは私に何度もストーンバレットを撃ち、体に当たったものもすぐにヒールで回復したことを知っている。最初は「ヒールをするな!」と言われたけど、「無意識です」というと何とも言えない微妙な顔をしていた。実際、私自身にヒールがかかる場合は呪文すら唱えていないので、私の防衛本能みたいなものになっていた。
「本当に、ありがとうございました」
私は丁寧に頭を下げる。しばらくして、ルークリーダーが立ち去る音を聞いてから頭を上げた。私は去っていくルークリーダーの背中にもう一度頭を下げた。




