エミリー5
「どうしてマークを一緒に連れてこなかったんですか? リーダーの身体能力なら、彼もいっしょに連れてこれたはずです」
私はリーダーに運ばれて街まで退却していた。魔族は私達が大砲を使って突撃してくることを読んでいたようで、一番の障害になりそうなアランウォールに英雄を当ててきたのだ。
リーダーの性格も読まれていたのか、カウンターの様に攻守が後退し、足の遅い大砲は敵に破壊されてしまった。工兵が無事だったことは幸いだろう。今回は防衛の人数が少なかったし、守り切れなかったのも仕方がない。
「あいつは固いシールドを張っていた。もし俺があいつまで担いでいたら、そのシールドを維持することは出来ないだろう? だから、シールドを維持しつつ後退するように命令したまでだ」
そうか。リーダーはあのシールドをマークが張っていると思っている。というか、私達がそう思うようにしていたんだけど。そのせいで、マークはあの場に置いていかれたのか。さすがに、視界外のシールドを動かすことはできないし、魔力的なつながりが切れる距離まで離されたから私が張ったシールドは消滅してしまった。
「うぅっ」
「おい、泣くことは無いだろ。あのシールド強度ならきっと大丈夫だ。無事に帰ってくるのを待て」
シールドの消滅を感じた時、私がマークを見殺しにしたようなものだと気が付いた。私が居ればマークを守れる。そう思ってマークが一緒についてくることを止めなかった。けれど、実際は私が離されたことによって守ることが出来なかった。リーダーに何度もマークの所へ戻してといっても許可されるわけもなかった。
ヒーラーは貴重なので、リーダーが私を優先的に逃がしたのは間違っていない。間違っていたのは、自分が守れると過信してマークを同行させてしまった私だ。
「マーク・・・無事に帰ってきてよ・・・」
「・・・俺は少し様子を見てくる」
リーダーは、泣いている私と一緒に居るのが居心地悪かったのか、もう一度戦場を確認しに行ったようだ。




