マーク10
リーダーに付いて敵の負傷した英雄を追う。リーダーは身体強化で進み、もうすぐ追いつきそうだ。しかし、そこは敵だらけだ。
(判断を間違えたかもしれない)
俺はエミリーがリーダーに連れていかれるので、成果を上げたいのもあったが、エミリーを助けたいとも思っていたのでついてきたが、まさかここまで激戦区だとは思わなかった。敵の弾がひっきりなしに飛んできている。今はエミリーがさっきのようにシールドを張って防いでくれているが、シールドがあるためこちらから反撃もできない。
「ちっ、卑怯者が! 撤退するぞ!」
先に進んでいたリーダーが俺たちに向かって大声で叫ぶ。声のした方を見ると、傷がふさがった雷槍と鉄壁が2人がかりでリーダーを追ってきていた。どうやら雷槍が撤退先に敵のヒーラーが居たらしく、復帰してしまったようだ。
身体強化を使ったリーダーは、敵の英雄よりも明らかに早かったので、あっさりと撤退に成功していた。
「敵の撤退は罠だった! マーク、俺たちは先に戻る。お前はシールドを維持しつつ帰ってこい」
「あっ!」
リーダーはそう言うと、エミリーを抱えてあっという間に撤退していった。
「マーク!」
エミリーの声が聞こえたが、身体強化をした上に全力で撤退しているリーダーに運ばれてあっという間に距離が離れる。
「これ、やばい!」
エミリーが気絶したわけじゃないからシールドはまだ維持されているが、俺ではそれを動かすことが出来ない。エミリーもさすがに視界外のシールドを操ることは出来ない。完全に視界から消えたところでエミリーのシールドが消滅した。
「し、シールド! シールド! シールド!」
エミリーのシールドが消えた以上、俺は自分に残っていた魔力を使ってシールドを張る。そのシールドで自分を守りながら撤退するが、敵の弾であっさりと俺のシールドが砕けた。
「くそっ、せめて一人でも敵を道づれにしてやる! ストーンバレット!」
俺は残り少ない魔力を使ってストーンバレットを放つ。それは敵の一人を倒したが、波のように押し寄せる敵兵が相手では焼け石に水だ。けど、俺にはもう生き残る手段は無いだろう。
すると、俺に向かってくる炎弾が無くなり、一部の魔族が左右に分かれる。そこには、槍の様な長い杖を掲げる魔族が居た。その魔族が居る場所はまだまだ後方で、明らかに炎弾が届く距離ではない。
「ストーンバレット! ストーンーーーぐあっ!」
俺の足に炎弾が当たる。しかし、体は燃えていない。
「まさか、敵も新しい魔法を開発したのか!」
大砲によって距離も威力も不利になった魔族が、その対抗手段を取るために新しい魔法を実戦で使ってきたようだ。一撃で俺が死んでいないことから、まだ試験段階なのかもしれないが、その実験をするために一人だけになった俺で試したんだろう。
「この情報を、味方に伝えないと!」
しかし、敵の英雄を追うために突出した俺の近くには誰も味方は居ない。片足を失った俺は、もう走って逃げることも出来ない。何より、敵の長杖の照準が再び俺に合わせられていた。




