アラン
俺と敵の英雄2人の距離が50メートルを切る。身体強化が使える俺にとってはすでに剣の間合いだ。だが、2人相手するには無謀に突っ込むことは出来ない。こちらには大砲があるのだから、時間的な余裕はこちらにある。
「よぉ、こうして直接まみえるのは初だな」
「――――――――」
「ちっ、やはり言葉はわかんねーな」
相手も俺の言ってることが分からないだろうが、槍を構えるのを見て交戦の意志がある事だけは分かる。
(雷槍だけなら俺なら倒せそうだが、鉄壁が邪魔だな)
雷槍は、槍にオリジナル魔法で電撃を纏わせ戦う魔族だと聞いている。その威力は、槍に触れただけで体が硬直し、焼け死ぬらしい。つまり、剣で直接受けるわけにはいかないということだ。そして鉄壁は、強固なシールドを自在に操り、どのような場所にも無傷で人員を届けられるらしい。
今回は、雷槍を運んできたんだろうが、このまま帰る様子は無い。おそらく、このまま大砲の所まで無理やり進む気だろう。
「お前たちの好きにはさせんぞ」
俺は身体強化を使い、剣を構える。強く踏み込み、まずは鉄壁と雷槍を離す。
「オラァッ!」
俺の剣はガインッと鉄壁のシールドに弾かれるが、鉄壁を少し弾き飛ばすことが出来た。鉄壁のシールドは特殊で、空中に浮かべるシールドとは違い本人が纏っている様な形になっている。頑丈な代わりに、本体にもノックバックを受ける。
その隙に、雷槍がバチバチと電気を纏わせた槍を突き出してくる。
「それはもう知ってんだよ!」
俺は剣の片刃にシールドを纏わせる。面積を少なくすることによって強度を上げたシールドが槍をはじく。よし、電撃は来ないな。
「――――!」
「言葉は通じねぇんだよ!」
俺は雷槍に向かって剣を上段に構え、全力で振り下ろす。雷槍はそれを槍の柄の部分で受けようとしたが、身体強化を使っている攻撃を受け止めるには強度不足だったようだな。真っ二つに切れて雷槍の体に縦に切れ目が入る。
「――――!!」
鉄壁が割り込んできたので、俺は一度離れる。雷槍は致命傷じゃないようだが、傷はともかく武器をなくしては戦えないだろう。そう思っていたが、半分になった刃の部分と柄の部分を拾うと、両方に雷を纏わせた。
「ちっ、両方は防げねぇな」
俺の付焼刃的なシールドを纏わせた剣は片刃のみだ。つまり、片方しか防げない。普通にシールドを使っても、恐らく貫通してくるような威力があるだろうし。
「鉄壁野郎には、ストーンバレットをくれてやる」
俺はストーンバレットを鉄壁に向かって放つ。当然鉄壁には効かないが、時間稼ぎにはなる。雷槍は時間をかければ恐らく失血するだろう。




