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「完」特技の私スキルは魔除けなの  作者: さしみのつま
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( 23 )呪術師の店

スザンヌのお店がプレオープン。チーム「茹で玉子」もお祝いに来ました。


まるで、森の隠れ家のような店の中。エリザベスもガブリエルも大喜び。意外にエドワードは、気味悪そうにしている。



「何か出て来そうで嫌だな。エレンも、そう思うよね?」



エレンも、恐々と蔦が茂る天井を見上げている。



「何だか、お化け屋敷みたいですのね。あ、スザンヌさん。そういう意味では。ごめんなさい!」



スザンヌは、ケタケタと笑う。



「いいんです、お化け屋敷がコンセプトだから。」



スザンヌの店の企画を手掛けてくれたゴメスが、そう決めたのだ。スザンヌの「魔除け」のイメージを強める為に。



「呪術師で押していくべきって、衣装もデザイナーに頼んだのよ。らしくない?」



腰まで伸びた長い白髪の混じった黒髪の付け毛。古風なドレス。腕や首には、アンティークな宝飾品。


確かに、それらしい。一同、共感する。



「で、ね。もう、予約が入ってるの!」



嬉しそうなスザンヌに、皆も喜んで拍手。ゴメスが選んだ秘書は有能で、受付から応対までやってくれる。


後は、座って手を握るだけでいいのだ。喋るとボロが出るから。そして、スザンヌのお店「優秀な呪術師の居る相談室」はオープンしました。








執事のハリスは、届いた請求書を苦々し気に見る。それは、主人の叔母と従兄弟の散財した買い物の支払いだったからだ。



「まだ、旦那様はご健在なのに。自分の財産のように使っている!」



ご主人様のジュリアンの事を考えると、たまらなかった。何時まで生きれるか分からない。やっと見つけた救いの主も引き離されて。



「この家の呪いを解く方法があれば。」



何度、繰り返し考えてきた事だろう。古い歴史書を調べたりもしたが、何も見つからなかった。


呼ぶ声に慌てて出て行くハリス。玄関ホールに立つ娘の姿に笑顔になる。救いの天使の訪問だ。



「これは、スザンヌお嬢様。おいでなさいませ。」


「ハーさん、お土産よ。ダンジョンで、拾ったの。」


「おや、お宝ですね。遺跡の品では?いいんですか、持ち出して。」


「いいの、いいの、分からないから。」



娘の明るさに、屋敷の暗い空気が晴れるようだ。この方とご主人様が婚姻されてればと口惜しい。


ハリスは、マジマジとスザンヌを見つめた。見られたので、スザンヌも見返す。



「ハリーのハーさん。どうしたの?」


「気のせいでしょうか。お嬢様の気がパワーアップしたように見えます。」


「ま、バレた?パワーアップしてるから、守るの魔力を吸いとってるの。チュッバチュッバー。」


「そうでございましたか。それと同時に、お美しくなられて。」


「やだー、本当の事を!」



スザンヌは、上機嫌。嬉しくなった。でも、ハリスは少しだけ魔力を持ってるの。学生時代に勉強した事もあるらしい。油断できない。


持ってきた古代の動物の彫り物を手渡しながら、スザンヌは聞いてみる。



「ジュリアンさんのお家にかかってる呪いって、いつからなんですか?魔力を持ってる先生に聞いてみようと思って。」


「ありがとうございます。お優しいですね。」



ハリスは、ジュリアンのご先祖の話をした。昔々に、聖人と称される程に文武両道に秀でた貴族が居た事から。


魔界と契約を交わして権力を得た者から人々を自分の命さえ掛けて戦った。この国を守ったのだ。だが、その報いに消えない家系への呪縛に捕らわれてしまう。


直系の者、長く生きる事は無い。代々、短命で終わる。その血の絶える時まで。


「旦那様のご先祖様は、その事を子孫に詫びた書状を残しておられます。国を守る為ではあったが、呪いの為に長くは生きられなくなった事を。」


無念そうな執事の暗い表情に、スザンヌは励ます。


「そうなんですか、ご先祖様は偉い方だったんですね。旦那様は、お年寄りになってお1人だから寂しいでしょうし。」


「スザンヌ様、ジュリアン様はお年寄りのように見えますがお年寄りではございません。青年ですから。」


「ああ、青年。お若いですよね(聞いてない)」


「元々は、弱気になった王様がご先祖様に押し付けた討伐。本当なら、王家が受けた呪いなのですよ!」


「えっ、王家が?」


「そうなんです。なのに、自分が退治したように話を摩り替えて自分を英雄にした伝記も作り上げて。さも、ご先祖様のように自分が魔法を使える偉人に捏造してしまいましたから!」


思わぬ真実。だけど、怒りにボルテージの上がる執事が怖い。スザンヌは、退散した。でも、何か引っ掛かる事を聞いた気が。


でも、多分、大した事じゃないかも。気にしない、気にしない。


だけど、それは、スザンヌにとって大きな意味を持つ事をだったのだ。


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