( 22 )苦戦しちゃったみたい
予定変更をして夜を待たずに墓場へ向かうチーム「茹で玉子」。スザンヌは、クラっとした。
(あ、目が回るー。)
暫く無くなっていた目眩。直ぐに良くなったので、皆に分からないように歩く。これから大事な時なのに。大丈夫か、私?
(賞金を手に入れないと「魔除け」の店も始められないわ。借金まみれのお父さんのせいだからね。私が頑張らないと!)
どうしたんだろう、良くなってたのに。こんな時、強い魔法が使えたらいいのに。一発で片付けて帰れる。
どうして、私には魔除けしかないのかな。人に負けない魔力が欲しい。
『了解、アップロードします!』
誰かの声が、聞こえた。スザンヌはキョロキョロする。隣りを歩いているガブリエルに聞いた。
「ね、ガブリエルさん。今、誰か喋ってなかった?」
「喋ってたわよ、エドワードが。男のお喋り好きだから。」
「エドワードさん?」
「そうよ。他に誰が?」
本当に、よく喋ってるのはエドワード。でも、聞こえたのは女性の声だった。目眩で脳ミソも揺れて変になったのかも。
そのせいか、何だか吐き気までしてきた。気分が悪くなってく。頭から血の気が引いてくような。どうしょうー。
「来るわ、ゾンビよ!」
エレンが注意を呼び掛ける。聖女の魔法で皆にガードを付けた。墓場が近づくと妙な物がヨロヨロと向かって来るわ来るわ。ゾンビだ。
スザンヌは、声にならない悲鳴。
「嫌だ嫌だ、腐ってるー!(帰りたい)」
でも、我慢。お店の為だから。借金を返さないと。父親が商売に失敗しなければ、こんな事しなくてもいいのに。
「全部、お父さんのせいよ。バカオヤジ、アホオヤジ!」
パトリシアが、声をかけた。
「違うよ、やり直し!」
違うって、何が?そういえば、呪文を教えてもらったんだった。えーと、何だっけ。
「クソオヤジーー!(正解)」
ドッカーーン!と、スザンヌのまえで爆発が起きる。スザンヌは驚いて座り込み動けない。ゾンビは、飛ばされたようだ。
エドワードが、拍手喝采。
「スザンヌさん、おめでとう!パトリシアが呪文をくれたんだ。それにしても、凄いね。」
パトリシアも、祝福してくれた。
「スザンヌさん。魔法が使えるようになったんだね。おめでとう!」
自分でも何が何だかのスザンヌ。こんな物でいいの?何もやってないんだけど、勝手になったんだけど。「クソオヤジ」て言っただけ。
恐るべし、パトリシアの呪文。使うの怖いー。
ワラワラワラワラーー。
ゾンビ一団が殺られたので、ゴーストが大群で飛んで来る。スザンヌは、恐る恐る唱えてみた。
「クソオヤジーー!」
すると、スザンヌの身体が光り出して放射。チーム「茹で玉子」は、眩しさに目が開けられない。
光りが薄れて目を開くとゴーストは消えてしまっていた。
少女達は歓声を上げてスザンヌを褒め称える。
「凄いわ、スザンヌさん。レベルがAまで上がってるわよ!」
そこまでは行ってないと思うけど、自信が出て来ました。スザンヌは、墓場で立ち上がる大きな影に突進して行く。
それを見て、パトリシアは後を追った。
「駄目だ、スザンヌ。無茶をするな!」
魔法を覚えたての少女には、無理かもしれなかった。離れていても寒気を感じるくらいの悪寒。旧い幽霊に違いない。霊気が強い。
その影の前に立ったスザンヌは、呪文を唱えた。




