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変化する世界を貴方と  作者: 黒煉
5・迷宮を攻略せよ
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次なる場所はアスタリク、ではなく。

プロローグ的なもの。

短いです。あとすこし時系列があやふやになっているようなので修正が入るかもしれません。

セフィリアを中心とした一行は、立ち寄るだけのはずだった王都で巻き込まれた騒動をきっかけに吸血鬼のカレラ、そして王都で別れるはずだったゴスペルも結局別れることはなく、どころかその妻であり、黒狼の獣人であるサリィを加え、総勢6人という大人数となって旅を再開する。



目指すのは魔族の国、アスタリクだ。





さて、ここでアスタリクについて説明しておこう。



アスタリクの国土だが、その大半が砂漠であったり、火山が近くにあって地面がほぼ焼けていたりと、まともな地形の場所がほとんど存在しない。



魔族がなぜそんな場所で国を築き、暮らしているのか。


それは何も、他の種族に追いやられたなどと言うわけではない。

魔族自らその地を望み、住み着いたのだ。



ではなぜ魔族はそんな過酷な場所に住むことを望んだのだろうか?



答えは単純。

そのような過酷な場所の方が、魔物が強いからである。



魔王であるジャミルを思い出してほしい。

彼女はセフィリアに出合い頭に斬りかかる程の戦闘狂だ。


そしてそれは彼女だけでなく、魔族全てに言えることである。



だからこそ魔族は、日々の暮らしの中でも強い敵を求めた。


とはいえ、彼らも誰構わず襲い掛かるような異常者ではない。

であれば、強い魔物()を求め、現在のアスタリクという過酷な場所を望んだことも必然と言えるだろう。



そんな魔族は他の種族からしても全種族共通の脅威である魔物をすすんで減らしてくれるありがたい存在であり、感謝こそされ、嫌われることなどありはしないのだった。



これがアスタリクという国、魔族という種族である。





そしてセフィリア、というよりイアには、アスタリクに到着するまでにするべきことがあった。



それは冒険者のランクを”金級”に上げることである。



そもそもセフィリア達がアスタリクを目指すのは近々開催される闘技大会に参加するためだ。


ところがこの闘技大会、冒険者のランクで言えば最低でも”金級”以上でない限り参加さえ許されない。

それだけ高レベルな大会なのだ。


しかしイアのランクは未だ銀級。

最も、もう金級は目前というところまではきているのだが。



金級に上がる為に必要な条件は3つ。




1つ目は依頼を一定数以上こなすこと。



数字で言えば、100個ほど。


そしてその中には、以前イアが倒したコカトリスの討伐などと言った、ギルドが指定する魔物の討伐などが含まれる。


これはイアは難なくクリアしている。セフィリアのスパルタじみた訓練のおかげだ。




2つ目は今まで犯罪を侵していないこと。



当然と言えば当然のことだ。



しかも金級以上の冒険者には時折特殊な依頼が出されることもある。

それは”特殊任務”と呼ばれるもので、依頼を出したものが地位が高い者である任務のことを指す。


そんな任務は当然ながら実力はもちろんのこと、人柄も信用できる人物でなければ務まらならない。


だからこそ、金級の冒険者になるための条件として、”犯罪を犯していないこと”が含まれるのだ。



当然、イアが犯罪を犯すわけもなくこれもクリア。




最後に3つ目。


これがイアが満たしていない条件だ。

何故ならこの条件を満たすためには、とある場所まで行く必要があるからだ。


それは。


迷宮都市バビロンに多数存在する迷宮の内の1つである、『嘆きの大洞穴』の第10層を踏破するというもの。




迷宮とは魔物が多く住み着く場所のことを指し、それは洞窟であったり森であったり塔であったりと様々だ。



しかしなぜか迷宮に巣食う魔物が迷宮の外に出ることはなく、また迷宮には迷宮でしか取れない鉱物であったり、誰が置いたかもわからない宝などが存在することから、冒険者には迷宮を巡り、そしてそこで手に入る宝を集めることなどによって生計をたてているものも少なくない。


そんな迷宮が密集する場所に寄せられるようにして冒険者が集まり、その冒険者を目当てにした商人が集まり、やがてギルドまでもが派遣されることで大国ルーヴェンの中で王都ナルメアに並ぶほどに有名な都市となった場所こそ、迷宮都市バビロンである。



そしてその迷宮都市は王都とアスタリクの中間付近に広がっており、ここで迷宮を踏破することが前提条件であったことも、古城へ向かうことを断念した理由の一つだ。



古城へ向かうと闘技大会に間に合わないないというのも、迷宮都市で迷宮攻略に挑むことを前提とし、更に移動に魔法を使わないことを考えれば納得のいく話である。



何せアスタリクに向かうのに1週間近くを要するのだ。

闘技大会が開かれる秋の中旬まで色々とあって残すところ半月、つまり2週間程。


迷宮攻略に数日を要することを考えれば、古城など向かっている時間がないのは明白だ。



いや、そもそもこの日数は毎日ほぼ休むことなく移動を続けるセフィリア達だからこそのものであり、常人であればこの倍の時間を要することは間違いない。




そんなわけで。



セフィリア達はイアの金級昇格の条件を満たす為、目的地である魔族の国アスタリクに向かうより先に、迷宮都市バビロンを目指すこととなるのであった。









 

その迷宮都市バビロンでは。




 「ハァ。 全くどうしたものかねえ?」




ため息をつくのは身の丈程はありそうな巨大な楽器を持った男。


しかしその体は細身で、とてもではないが重量のあるものを持ち上げられるようには見えない。どうやらその楽器は見た目に反して随分と軽い様だ。



「折角、素晴らしい歌になるような英雄譚を求めてはるばる迷宮都市までやってきたというのに未だそんな物語に巡り合う気配すらないとは‥‥‥‥‥‥ハア」



男は愚痴とため息ばかりをこぼしながらも、僅かな、ほんとーーーーに僅かな期待を胸に迷宮都市を散策する。


己が満足する歌を作る、その為の材料成り得る物語に出会うために。










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