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本心は笑顔に隠して
電話から10分後、私は柳先生と一緒に廊下を
歩いていた。
母親と家に帰らなくてはいけない。
その事実に私の歩みは遅くなっていた。
先生も察してくれて同じ速さで歩いてくれた。
やがて、昇降口が見えてきた所で先生は不意に
一言問いかけてきた。
「…蓮。【罰】ってなんなんだ?」
「…………」
先生の問いかけに答えられないなんて初めてだった。
申し訳ない気持ちと呟きを聞かれてしまった
自分の不甲斐なさに潰されそうになりながら
どうにか声を紡ぐ。
自分でも驚くくらい小さい声だった。
「…あの人達なりの教育です。」
私のその答えに先生は詳しく聞こうとしたのか
私の肩に手を触れようとした瞬間。
「蓮。迎えに来たわよ~」と。
電話の時とは大違いな優しい声がその場に響く。
(…今日はもう寝られないかな。)
その声と柳先生に対する反応とは裏腹に
犯罪者でも見るような目で私を睨みつける
母親の表裏の顔の使い分けにある意味
感心しながら、私はそんな事を考えていた。




