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水晶の舞  作者: 藤猫
【第1章】名もなき原石は何を語る
3/8

熱に願いは届かずに

《それは蓮が高1のときの話》


季節は秋。木々の色が緑から鮮やかな赤・黄に

変化していくのが分かるようになってきた

そんな日。


私は軽い風邪を引きながらも、柳先生の授業を

受けていた。学校に来てからちゃんと薬を

服用して頑張ってたけど…だんだん、

体が熱くなってきた気がする。


そして、授業残り5分という所で先生が私を

指名した。問題は簡単。教科書に書いてある公式を

黒板に書き写せば良いというようなもの。


周りのクラスメイトからは


「良いなぁ…簡単じゃん。」


「蓮頼むぜ!俺ノート書いてねぇ…(´▽`;)」と。


いつもなら愛想笑いで片付けられる反応…

でも今はそれすら出来ない。

表情を崩さないようにするので精一杯だった。

なんとか答えを書いて(もちろん正解。)

授業は終了。


柳先生は一旦挨拶をして職員室に行った後

戻ってきて帰りのHR(ホームルーム)をやって掃除をする…

というのがいつものパターン。


でも今日は少しだけ違った。

私は気づいたら先生に呼び出されていた。

その様子を見たクラスメイトからは


「えっ…蓮ちゃん。何かやったっけ?」


「先生~怒るなら西木だよ?」


「なんで俺!?」


…という反応で皆は戸惑いながらも笑っていた。


そんな皆の反応を見て柳先生は早口で。

『ごめん。ちょっと用事思い出したから

 今日のHR伊勢先生に頼むから。それじゃ。』

そう言いながら先生は私を連れ立って教室を出る。


数秒固まって途端にざわめきが教室を包む。


「えぇっ!?俺嫌だぜ!?あの先生!!」


「私もだよ。あの先生怖いもん!!」


「僕は…早く帰れるなら誰でも良いや…。」


なんていう声が聞こえてきたけど…


私はもうその声に反応する事も出来なくて。

柳先生もその事が分かっているのか、

廊下で伊勢先生とすれ違いながら何かを話し、

気づいたら保健室に到着していた。


保健の朝日先生はちょうどいないみたいで先生は

私を椅子に座らせると質問をしてきた。


『蓮。今、体どんな感じがする?』


優しい先生の声が頭に滑り込んでくる。

熱に浮かされながら私は答える。


「…頭痛いのとなんか熱いです。」


私のたどたどしい答えに先生は静かに頷く。


『……そっか。分かった。ちょっと待ってな…』


そう言って先生は何かを探す。

どうやら氷枕を探してるみたいだった。


やがて見つけたのかすぐ隣にあった棚の上に

置くと私の手を引きベッドの脇に座らせ、

私にブレザーとネクタイを外すように言った後、

横になるように言う。


氷枕の冷たさに安心し、思わず声が漏れる。


「ふぅ…冷たい。

 柳先生ありがとうございます……」


私の掠れ声に先生は一瞬驚いたような表情を

浮かべた後、微笑みながら言う。


『…気にしなくて良いよ。

 むしろ、よく頑張ったね。そんな体調で。』


先生の言葉に私の心は

嬉しい気持ちで一杯になった。

(先生は私を見てくれていた。)

(1日頑張って良かった。)とかそんな風に。


と…そこに朝日先生が保健室に入ってきた。

副担任の伊勢先生から大体の事を聞いたのか

落ち着いてはいた。


「あら…蓮ちゃん。大丈夫?」


「(大丈夫だったらココに居ないと思うけど…)

 柳先生に氷枕を用意して頂いて少し楽に…」


「そう…あっそれでね。蓮ちゃん。」


と朝日先生は私に説明をする。


端的に言って。

今、母親が私を迎えに学校に向かっている…と。

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