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『マラン、はじまりの迷宮』〜わからないことばかりの、迷宮攻略記〜  作者: 奇木 尋
閑話 その一

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これまでのまとめ ―― エア編に向けて

マランの世界、設定覚書です。

わりときっちり作っていますが、

公開します。


物語のお供にどうぞ。

ノアを踏破し、エアへの扉が開かれた、いま。

ここで一度、登場人物と迷宮、そして二つの魔法体系について、簡単に振り返っておきたい。


---


## 登場キャラクター


### カイン(万能士)


種族はヒューマン。剣術・交渉・罠解除・応急手当と、なんでもひととおりこなせる「便利屋」から始まり、未選択のまま特殊職・万能士に至った。突出した一芸こそないが、パーティの調整役として実務をこなし、場の空気を読む力に長ける。アルカナ系・ノストス系、両方の呪文を並行して伸ばす、珍しい戦い方をしている。


### ダダ(盾役)


種族はドワーフ。老舗鍛冶師の家系に生まれながら冒険者の道を選んだ、寡黙な前衛。受け流し・カバーリングの精度が際立ち、仲間の異変に真っ先に気づくのはたいていダダである。自分の装備は自分で打つほどの腕を持ち、後にウォーハンマーを得て「盾と槌」の二刀構えに近い戦い方を確立した。


### ネリス(斥候・獣人族)


猫系の獣人で、俊敏さはパーティ随一。先行索敵とトラップ確認を一手に引き受ける。「こうだ」と決めたら検証より先に体が動く性分で、ダダに度々釘を刺されている。なぜ迷宮に潜り続けるのか、その執念じみた動機はまだ明かされていない。


### ノリア(魔術師・エルフ)


桁外れの魔力量を持ちながら、長らく初級魔術「火花炎」しか扱えなかった。魔力の制御という壁と向き合い続け、レベルを重ねる中で少しずつ上位階梯へと手を伸ばし、いまでは第七階梯「終焉」にまで到達している。


### ミラ(僧侶・ヒューマンとノームのハーフ)


回復と後方支援を担いながら、フレイルでの前衛戦闘も一定水準こなすバランス型。かつて所属していたパーティで、回復が間に合わず深刻な結果を招いた過去を抱えており、それ以来、編成によって迷宮の門に弾かれることがある――原因は本人にもわかっていない。


### ワング(侍・ドラゴニート)


かつては双剣使いだったが、利き腕である右手首から先を失い、一時引退していた。ダダの発案とドワーフ鍛冶師ブロムの手により、右腕に小刀を括り付ける独自の型を確立し、六人目として合流した。物腰は常に丁寧で、「拙者」「でござる」という言葉遣いを崩さない。


### 主要な人物


- **ルーシェナ**(ギルド長・エルフ・年齢不詳):アルカナ・ノストス両系統の全呪文とオリジナル呪文を操る。普段は気さくだが、戦闘時には空気が一変する。かつてエア深層で「終焉」を六度受けて撃ち返した過去を持つ。

- **ガラント**(酒場フラグメンツの店主・ドラゴニート):かつてエア深層まで潜っていたが、理由を語らぬまま引退した。ルーシェナとは「同じ深さを見た仲」。

- **リゼット**(クロスロード主任受付・ヒューマン):事務的で聞き上手だが、頼まれない限り自分から他人の事情を語らない。

- **ティリー**(アーカイブの司書・小人族):わからないことは「わからない」とはっきり言うタイプ。

- **ブロム**(フォージタウンの鍛冶師・ドワーフ):ワングの義手兼武器を手掛けた職人。

- **エカチェリーナ**(ノア10層最奥の間の番人・エルフ):資質を認めた者に「六弁の証」――エアへの通行許可――を授ける。この証を得たパーティは複数存在するが、「一度も死なずに、生きたまま10層のあの部屋を越えた」パーティは、これまでにルーシェナのパーティとカインたちの、二つのみである。


---


## 迷宮の世界


複数の世界が衝突した結果生まれた特異な土地、それがマランである。世界の一部が消滅し、行き場を失った欠片が押し込まれるようにして混ざり合い、エルフ・ドワーフ・ドラゴニート・小人族・獣人族・ノーム、そして最も数の多いヒューマンが、同じ空の下で暮らしている。


マランの中心には、三つの迷宮が眠る中核都市がある。


| 迷宮 | 特徴 |

|---|---|

| **ノア** | 誰でも入ることができる、最も開放された迷宮。全10階層、石造りの通路が碁盤目状に続く「正直な迷宮」。 |

| **エア** | ノアを制覇した者のみが挑める迷宮。構造がその都度変わり、地図が存在しない「読めない迷宮」。 |

| **ズール** | 誰もまだ足を踏み入れていない、未踏の迷宮。 |


この都市には、迷宮攻略に関わるあらゆる機能を担う施設が集まっている。


| 施設 | 役割 |

|---|---|

| **クロスロード** | 受付・依頼窓口。冒険者登録、パーティ編成の届出、ダンジョン入場の管理を行う。討伐・採取・護送などの依頼掲示板も併設。 |

| **アプレイザル** | 鑑定所。魔石・アイテムの真贋や価値を鑑定するほか、冒険者本人のレベル確認もここで行う。 |

| **エクスチェンジ** | 買取・換金所。魔石やドロップ品をギルドが直接買い取る。 |

| **リカバリー** | 治療院。エルフの治癒魔法とヒューマンの医術を組み合わせて運営されている。 |

| **ミラージュ** | 訓練所(模擬迷宮)。実戦訓練のほか、職業選択・転職時の適性確認もここで行う。 |

| **アーカイブ** | 情報部・攻略アーカイブ。攻略記録やモンスター情報、消滅した世界に関する知識を蓄積・共有する。 |

| **フォージタウン** | 装備工房街。ドワーフ職人を中心に、鍛冶・魔導具の製作を担う。 |

| **エンポリアム** | 薬品・スクロール・魔道具・特殊装備の販売店。ダンジョンのドロップ品を中心に扱う。 |

| **パクト** | 保険・弔慰制度。命を懸ける者同士の互助の仕組み。 |

| **アイテムボックス** | 倉庫・保管所。荷物や素材を一時的に預けられる。 |

| **フラッドガード** | 氾濫監視・対策本部。モンスターの増加やダンジョンの氾濫リスクを監視する。 |

| **ヘクサイン** | 宿屋・活動拠点。パーティの生活・活動の拠点となる宿。 |

| **フラグメンツ** | 酒場。各種族の料理・酒が混在する、非公式な情報交換の場でもある。 |


ノアは、浅瀬(1〜2層)・分岐廊下(3〜4層)・大広間(5層)・深廊(6〜7層)・古層(8〜9層)・最深部(10層)という段階を踏んで難度を増していく。5層は「五層越え」と呼ばれる最初の大きな選別の壁として知られ、10層には迷宮の番人が待つ。カインたち六人は、この10層を、一度も倒れることなく踏破した数少ないパーティとなった。


エアは対照的に、通路の配置も、上下の感覚さえも一定しない。モンスターの知性もノアより明確に高く、罠を仕掛け、仲間と連携し、時に撤退して増援を呼ぶ。エアに明確な「ボス」は確認されておらず、そもそも何をもって「制覇」と呼ぶのかさえ、ギルド内で合意が取れていない。


迷宮内で得られる魔石は、マランの生活インフラを支えるエネルギー源であると同時に、討伐を怠ればモンスターが街へ溢れ出す(氾濫)危険もある。冒険者という営みは、単なる金稼ぎではなく、マランの均衡そのものを支える行為として受け止められている。


---


## 二つの魔法体系


パーティの魔法は、大きく二つの系統に分かれている。使用回数(チャージ)は呪文ごとではなく**系統・階梯ごとの共有プール**で管理され、最大9回(万能士のみ上限3回)まで蓄積される。チャージはヘクサインでの休息で全回復する。


### アルカナ系(攻撃・補助魔法)


| 階梯 | 呪文名 | 効果 |

|---|---|---|

| 第一階梯 | 火花炎/眠霧/影歩/道標 | 小ダメージ/敵集団を眠らせる/回避上昇/位置表示 |

| 第二階梯 | 暗幕/静黙/庇護陣/透視 | 命中低下/魔法封じ/防御上昇/隠し扉・罠感知 |

| 第三階梯 | 業火弾/氷棘/金縛り/帰還光 | 集団中ダメージ/単体中ダメージ/麻痺/短距離転移 |

| 第四階梯 | 雷殺/黒咆/鉄壁陣/真贋の瞳 | 単体大ダメージ/恐慌誘発/全体防御上昇/簡易鑑定 |

| 第五階梯 | 業炎獄/氷結界/幻影/跳躍門 | 集団大ダメージ/行動凍結/囮/既知地点への転移 |

| 第六階梯 | 滅却光/石化眼/反魔結界/帰郷の扉 | 防御無視の超大ダメージ/石化/魔法無効化/即時帰還 |

| 第七階梯 | 終焉/魂縛/守護の盾 | 全体極大ダメージ(切り札級)/行動不能/全体防御障壁 |


ノリアは第七階梯「終焉」まで、ワングは第五階梯まで、カインは第三階梯までを習得している(第79話時点)。


### ノストス系(回復・支援魔法)


| 階梯 | 呪文名 | 効果 |

|---|---|---|

| 第一階梯 | 浄光/加護/灯火/解呪 | 単体小回復/防御上昇/照明/軽微な状態異常解除 |

| 第二階梯 | 癒しの波/浄化/神祝/邪払い | 単体中回復/毒解除/命中上昇/アンデッドに小ダメージ |

| 第三階梯 | 群癒/沈黙封じ/聖光弾/結界 | 全体小回復/沈黙保護/アンデッドに中ダメージ/敵接近阻害 |

| 第四階梯 | 蘇生の祈り/大浄化/神撃/守りの聖歌 | 低確率蘇生/全体状態異常解除/単体大ダメージ(聖属性)/全体防御上昇 |

| 第五階梯 | 完全治癒/蘇生の祈り・真/聖絶/加護の盾 | 単体全回復/蘇生成功率上昇/アンデッド集団大ダメージ/ダメージ無効化 |

| 第六階梯 | 大群癒/不滅の加護/裁きの光/帰郷の扉・聖 | 全体大回復/戦闘不能防止/全体聖属性ダメージ/即時帰還 |

| 第七階梯 | 完全蘇生/神域/終末の裁き | ほぼ確実な蘇生/全体無敵化/全体極大ダメージ(切り札級) |


ミラは第79話時点で第七階梯「神域」まで到達しており、パーティの回復・支援の要となっている。


---


こうして振り返ると、六人はそれぞれの弱さや欠けを抱えたまま、少しずつ積み上げてここまで来た。エアという「読めない迷宮」を前に、その積み重ねがどう試されるのか――エア編は、ここから始まる。


いかがでしょうか?


感想、フォロー 頂けましたら喜びます。


よろしくお願いいたします。

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