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『マラン、はじまりの迷宮』〜わからないことばかりの、迷宮攻略記〜  作者: 奇木 尋
閑話 その三

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第61話「封じられた牙」(前半)

マランの世界、毎日投稿中です。

当面、数話を連続投稿の予定です。


お楽しみいただけましたら幸いです。

翌朝、六人は、九層への階段を、慎重に降り始めた。


「今日から、九層、本格的に」


カインが、皆を見回しながら言う。


「行こう」


六人の声が、揃った。


---


階段を降りきったところで、六人の足が、思わず止まった。


正面に、これまでと同じような、大きな扉が、立ちはだかっていた。


「また、扉か」


ダダが、驚いたように言う。


「毎回、こうなのか」


カインも、戸惑ったように、扉を見上げた。


---


近づいて、確かめる。


扉の中央、目線の高さに、小さな窪みがあった。


「これ……親指くらいの、大きさだな」


カインが、指を、そっと窪みに近づけながら言う。


「形、独特だな」


ダダが、覗き込みながら言う。


窪みは、単純な円形ではなく、いびつな、特殊な形をしていた。


---


「鍵、みたいなの、要るのかも」


ネリスが、静かに言う。


「また、探すのか、鍵」


カインが、少し、げんなりしたように言う。


「七層の時みたいに、小部屋があるのかもな」


ミラが、静かに、付け加えた。


---


「九層にも、それ用の、小部屋があるらしい、ってことか」


カインが、腕を組む。


「らしい、というか、可能性の話だが」


ワングが、慎重に、言葉を選んだ。


「探すしかないな。とりあえず、周辺、見て回ろう」


カインが、皆を見回した。


「賛成」


六人の声が、揃った。


---


分岐を進み、九層の奥へと、慎重に足を踏み入れていく。


「気配、いつもと、違う感じ」


ネリスが、耳を伏せながら言う。


「違うって、どんな風に」


カインが、聞く。


「重い。今までより、明らかに、重い」


---


しばらく進むと、鎧のような外皮を持つ魔物の群れが、通路を塞ぐように、待ち構えていた。


「型、いつも通りで、いけるか」


カインが、皆に、確かめる。


「いけそう」


「大丈夫」


口々に、そう答えが返った。


---


「ダダ、前へ」


「了解!」


慣れた連携が、迷いなく動き出す。


「ワング、ネリス、両脇から!」


「承知!」


「任せて!」


一体、また一体と、群れが、静かになっていった。


---


「終わった」


ダダが、盾を下ろしながら、頷く。


「九層でも、いつもの型、通じるな」


カインが、少し、安堵したように言った。


魔石を回収し、さらに奥へと進む。


---


小部屋を探しながら、地図の空白を埋めていく。


「鍵、まだ、見つからないな」


ネリスが、周囲を、慎重に確かめながら言う。


「焦らず、行こう」


カインが、静かに答えた。


---


さらに進むと、通路の先、開けた空間に、これまで見たことのない、人型の魔物が、立っていた。


赤黒い肌に、鋭い角、燃えるような瞳。


「あれ……」


ミラが、声を詰まらせる。


「人型、初めてだな」


カインが、低く、呟いた。


---


「気配、今までと、桁違い」


ネリスが、耳を伏せながら、緊張した声で言う。


「デーモン系、か」


カインが、慎重に、剣を構える。


「油断するな。何が、来るか、わからない」


ダダが、盾を構え直しながら、静かに言った。


---


魔物が、両手を、大きく振りかぶった。


その手のひらに、燃えるような光が、渦を巻き始める。


「あれ、まずい!」


ネリスが、鋭く叫んだ。


「業火弾!」


轟音とともに、大きな炎の塊が、六人めがけて、放たれた。


---


「散れ!」


カインが、叫ぶ。


六人が、それぞれ、方向を変えて動く。


だが、炎の範囲は、これまでの敵よりも、遥かに広かった。


「くっ……!」


ダダが、盾で、直撃を受け止める。


「重い……! 今までで、一番、重い!」


---


「ミラ、大丈夫か!」


カインが、後方に叫ぶ。


「なんとか、避けた!」


ミラが、答える。


「ノリア、静黙、頼む!」


カインが、叫んだ。


「静黙!」


ノリアの声が、響く。


---


だが、見えない力は、デーモンの体表で、弾かれるように、かき消えた。


「効かない……!」


ノリアが、驚いた声を上げる。


「格が、違いすぎる、か!」


カインが、素早く、状況を読む。


---


「もう一回!」


ノリアが、続けて、声を上げる。


「静黙!」


だが、結果は、同じだった。


「効かない……全然、効かない!」


ノリアの声に、焦りが、にじんだ。


---


「ダダ、俺で、抑える! ワング、加勢!」


カインが、叫ぶ。


「了解!」


「承知!」


三人が、デーモンの正面に、踏み込んでいく。


「ミラ、加護の盾、頼む!」


カインが、叫んだ。


---


「加護の盾!」


ミラの声が、響く。


淡い光が、ダダを、薄く包んだ。


「これで、少しは、耐えられる!」


ミラが、力強く、答えた。


---


デーモンの拳が、ダダの盾に、重く打ち込まれる。


「重い……! でも、耐えられる!」


ダダが、歯を食いしばりながら、答えた。


「今のうちに!」


カインが、剣を、デーモンの側面に、深く突き刺す。


---


「拙者も!」


ワングの刀が、続けて、デーモンの腕を、正確に断つ。


デーモンが、大きく、体勢を崩した。


「もう一押し!」


カインが、叫ぶ。


三人の連携が、デーモンを、じわじわと、追い詰めていった。


---


「倒れる……!」


ネリスが、鋭く声を上げる。


デーモンが、大きく、のけぞり、そのまま、崩れ落ちていった。


「一体、倒した……!」


カインが、荒い息のまま、剣を支えにした。


---


だが、次の瞬間、崩れ落ちたデーモンの体から、赤黒い光が、放たれた。


「これ、まずい気配……!」


ネリスが、耳を伏せる。


光が、通路の奥へと、走っていく。


「呼んで、るのか、まさか!」


カインが、掠れた声で、呟いた。


---


通路の奥から、新たな気配が、次々と、近づいてくるのが、感じられた。


「増える……このタイミングで!」


ダダが、盾を構え直しながら、叫んだ。


「みんな、油断するな! まだ、終わってない!」


カインの声に、六人が、改めて、身構えた。


(後半へ続く)


いかがでしょうか?


感想、フォロー 頂けましたら喜びます。


よろしくお願いいたします。

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