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『マラン、はじまりの迷宮』〜わからないことばかりの、迷宮攻略記〜  作者: 奇木 尋
閑話 その三

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第59話「見つけた階段、九層へ」

マランの世界、毎日投稿中です。

当面、数話を連続投稿の予定です。


お楽しみいただけましたら幸いです。

翌朝、六人は、二つのスクロールを持って、アプレイザルへ向かった。


「今日こそ、はっきりさせような」


カインが、袋を抱えながら言う。


「はっきりさせよう」


ミラが、頷いた。


「二本とも、同じ、静黙の系統だったら、面白いな」


ノリアが、少し楽しそうに言う。


「まだ、決まったわけじゃないぞ」


カインが、苦笑しながら答えた。


---


窓口に、まず、昨日の宝箱から出たスクロールを差し出す。


鑑定士が、慎重に、紙片を広げた。


淡い光が、しばらく、それを包む。


---


「結果、出ました」


鑑定士が、記録紙を、皆に見せる。


「静黙のスクロールです」


「静黙……!」


ノリアが、思わず、声を上げた。


---


「使い切りの、消耗品ですよね」


カインが、確認するように聞く。


「その通りです。階梯や適性に関係なく、一度だけ発動できます」


鑑定士が、答えた。


「これは、心強いな」


ダダが、静かに言う。


「杖持ちに、真っ先に使えば、いつでも先手が取れる」


「値段、高かったりします?」


ネリスが、気になったように聞く。


「決して安くはありませんが、業火弾のスクロールほどではありません」


鑑定士が、答えた。


「そうか。それなら、また、店で見かけたら、買っておくのも、ありかもな」


カインが、静かに言った。


---


「実は」


カインが、もう一つの袋を、差し出す。


「こっちも、前に、確認をお願いしたんですが」


「ああ、こちらですね」


鑑定士が、記録を確かめる。


「エンポリアムの職人へ、鑑定を依頼中の分です。まだ、順番が回ってきていません」


「まだ、時間、かかりそうですか」


ミラが、聞く。


「もうしばらく、かかるかと」


---


「実は」


ワングが、静かに、口を開く。


「拙者の真贋の瞳で見た時、今回のスクロールと、似た感覚がしたでござる」


「似た感覚……」


カインが、身を乗り出す。


「もしかして、あっちも、静黙のスクロールなんじゃ」


---


「断言は、できないでござる」


ワングが、慎重に、言葉を選ぶ。


「あくまで、拙者の感覚。輪郭が似ている、というだけで」


「はっきりしないと、判断材料には、しにくいですね」


鑑定士も、静かに、頷いた。


---


「専門の鑑定、待つしかないか」


カインが、少し残念そうに言う。


「待とう。急いで、間違った判断するよりは」


ミラが、静かに、言った。


「そうだな」


カインも、頷いた。


「今日のところは、これで、また持ち帰るか」


---


未鑑定のスクロールを、再び、袋にしまう。


「一つは、はっきりした。もう一つは、まだわからない」


カインが、腕を組みながら言う。


「それでも、前より、前進だな」


ダダが、静かに言った。


---


窓口を離れ、外に出る。


「今日は、八層、もう少し、詰めるか」


カインが、皆を見回す。


「詰めよう。まだ、回ってない場所、結構ある」


ネリスが、頷いた。


---


その足で、六人は、八層へ向かった。


分岐を進み、慣れた調子で、これまで通らなかった通路へと、足を踏み入れていく。


「今日は、地図の空白、埋めていく感じで」


カインが、羊皮紙を確かめながら言う。


「賛成」


六人の声が、揃った。


---


しばらく進むと、鎧のような外皮を持つ魔物の群れが、通路を塞ぐように、待ち構えていた。


「いつもの型だな」


ダダが、盾を構えながら言う。


「ダダ、前へ」


「了解!」


慣れた連携が、迷いなく動き出す。


「ワング、ネリス、両脇から!」


「承知!」


「任せて!」


一体、また一体と、群れが、静かになっていった。


---


「終わった」


ダダが、盾を下ろしながら、頷く。


魔石を回収し、さらに奥へと進む。


「杖持ちの気配」


ネリスが、ふと、耳を伏せた。


「今日は、スクロール、使ってみるか」


カインが、皆を見回す。


「使おう。試すには、いい機会だ」


---


通路の先、ローブ姿の魔物が、姿を現す。


「今だ!」


カインが、スクロールを、勢いよく開いた。


見えない力が、一瞬で、杖の先を、丸ごと押さえ込む。


「効いた……! 完璧に!」


カインが、驚いたように、叫ぶ。


「呪文より、確実かもしれないな、これ」


ダダが、感心したように言った。


---


杖を封じられた魔物へ、六人の連携が、迷いなく叩き込まれていく。


「近づけば、脆いのは、知ってる!」


ネリスが、隙間を縫って、距離を詰める。


戦いは、これまでよりも、ずっと早く、片がついた。


---


「今日の、スクロール、大成功だったな」


カインが、皆を見回しながら言う。


「大成功。次も、いざという時、頼りにできる」


ミラが、静かに、頷いた。


---


さらに奥へと進むと、今度は、朽ちた骨の魔物が、数体、姿を現した。


「不死系も、いるのか、今日」


ダダが、盾を構え直す。


「ミラ、頼む」


カインが、声をかける。


「邪払い!」


ミラの声が、すぐに、響いた。


光が、骨の魔物を、確実に、蝕んでいく。


「今日は、迷わず、使えたな」


カインが、感心したように言う。


「前回の経験、活きてる」


ミラが、静かに、答えた。


骨の魔物は、そう時間をかけずに、崩れ落ちていった。


---


さらに進むと、また、甲殻型の群れが、行く手を阻んだ。


「今日、何度目だ、これ」


ダダが、苦笑しながら、盾を構える。


「数えてないけど、結構な回数」


カインが、剣を抜きながら答える。


「ダダ、前! ワング、ネリス、両脇!」


「了解!」


「承知!」


「任せて!」


一体、また一体と、群れが、静かになっていく。


「終わった」


ダダが、盾を下ろしながら、頷いた。


魔石を回収し、六人は、さらに奥へと進んだ。


---


さらに奥へと進む。


地図の空白が、一つ、また一つと、埋まっていった。


「今日は、順調だな」


カインが、羊皮紙に、印をつけながら言う。


「順調」


ダダが、頷いた。


---


通路の先、これまでとは違う、広い空間が、見えてきた。


「あれ」


ネリスが、足を止める。


「気配、何も、感じない」


「静かな部屋、ってことか」


カインが、慎重に、足を踏み入れる。


---


奥の壁に、下へ続く、新しい階段が、姿を現していた。


「これ……」


カインが、覗き込みながら、呟く。


「九層への、階段……」


---


「本当に、九層まで、来たのか」


ダダが、感慨深げに言う。


「来た」


ネリスが、静かに、頷く。


これまでの積み重ねが、確かに、ここに繋がっていた。


---


「今日は、ここまでにしよう」


カインが、階段から、視線を上げる。


「九層は、また今度、万全の状態で」


「賛成」


ダダが、即座に頷く。


「賛成」


ネリス、ノリア、ミラ、ワングも、揃って続いた。


---


魔石を回収し、部屋を後にする。


扉の前で、カインが、一度、振り返った。


「八層、ほぼ、踏破か」


呟くように、言う。


「不死系のことも、スクロールのことも、色々あった八層だったな」


ダダが、静かに、答えた。


---


来た道を、六人は、ゆっくりと戻り始めた。


八層の奥から、七層、六層と、階層を登っていく。


篝火の灯る前室に戻ると、ようやく、肩の力が抜けた。


「今日は、大きな収穫、続いたな」


カインが、皆を見回しながら言う。


「スクロールの正体、判明。八層、ほぼ踏破。九層への階段も、発見」


ミラが、指を折りながら言う。


「一日で、これだけあると、なんか、実感が、追いつかないな」


カインが、笑いながら言った。


「その台詞、何回目だ」


ダダが、ふと、突っ込む。


「え」


カインが、きょとんとする。


「毎回、戻ってくるたびに、似たようなこと、言ってる気がする」


ダダが、苦笑しながら続けた。


「言われてみれば……」


ミラが、思い出すように、口元に手を当てる。


「実感が追いつかない、ってセリフ、私も、何回か聞いた覚えが」


「否定できない」


カインが、観念したように、頭をかいた。


「毎回、本気で言ってるんだから、仕方ないだろ」


「本気なのは、わかってる。わかってるけど、面白い」


ネリスが、笑いながら言った。


---


「未鑑定のスクロール、九層に潜る前に、はっきりさせたいな」


ネリスが、袋を、そっと撫でながら言う。


「したいな。今日、使った分、もう手元にないし」


カインが、頷いた。


「もしあれも静黙なら、また一本、確保できたことになる」


ミラが、静かに、付け加えた。


「ブロムさんの防具の返事も、もうすぐだし」


ダダが、付け加える。


「楽しみが、また、増えたな」


カインが、笑った。


「九層、どんな相手が、いるんだろうな」


ノリアが、少し緊張した声で言う。


「わからない。でも、今日みたいに、一つずつ、確かめていけばいい」


カインが、静かに言った。


「賛成でござる」


ワングが、静かに頷いた。


夕暮れの光が、篝火の炎と混じり合いながら、前室を、静かに染めていた。


いかがでしょうか?


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よろしくお願いいたします。

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