第59話「見つけた階段、九層へ」
マランの世界、毎日投稿中です。
当面、数話を連続投稿の予定です。
お楽しみいただけましたら幸いです。
翌朝、六人は、二つのスクロールを持って、アプレイザルへ向かった。
「今日こそ、はっきりさせような」
カインが、袋を抱えながら言う。
「はっきりさせよう」
ミラが、頷いた。
「二本とも、同じ、静黙の系統だったら、面白いな」
ノリアが、少し楽しそうに言う。
「まだ、決まったわけじゃないぞ」
カインが、苦笑しながら答えた。
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窓口に、まず、昨日の宝箱から出たスクロールを差し出す。
鑑定士が、慎重に、紙片を広げた。
淡い光が、しばらく、それを包む。
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「結果、出ました」
鑑定士が、記録紙を、皆に見せる。
「静黙のスクロールです」
「静黙……!」
ノリアが、思わず、声を上げた。
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「使い切りの、消耗品ですよね」
カインが、確認するように聞く。
「その通りです。階梯や適性に関係なく、一度だけ発動できます」
鑑定士が、答えた。
「これは、心強いな」
ダダが、静かに言う。
「杖持ちに、真っ先に使えば、いつでも先手が取れる」
「値段、高かったりします?」
ネリスが、気になったように聞く。
「決して安くはありませんが、業火弾のスクロールほどではありません」
鑑定士が、答えた。
「そうか。それなら、また、店で見かけたら、買っておくのも、ありかもな」
カインが、静かに言った。
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「実は」
カインが、もう一つの袋を、差し出す。
「こっちも、前に、確認をお願いしたんですが」
「ああ、こちらですね」
鑑定士が、記録を確かめる。
「エンポリアムの職人へ、鑑定を依頼中の分です。まだ、順番が回ってきていません」
「まだ、時間、かかりそうですか」
ミラが、聞く。
「もうしばらく、かかるかと」
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「実は」
ワングが、静かに、口を開く。
「拙者の真贋の瞳で見た時、今回のスクロールと、似た感覚がしたでござる」
「似た感覚……」
カインが、身を乗り出す。
「もしかして、あっちも、静黙のスクロールなんじゃ」
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「断言は、できないでござる」
ワングが、慎重に、言葉を選ぶ。
「あくまで、拙者の感覚。輪郭が似ている、というだけで」
「はっきりしないと、判断材料には、しにくいですね」
鑑定士も、静かに、頷いた。
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「専門の鑑定、待つしかないか」
カインが、少し残念そうに言う。
「待とう。急いで、間違った判断するよりは」
ミラが、静かに、言った。
「そうだな」
カインも、頷いた。
「今日のところは、これで、また持ち帰るか」
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未鑑定のスクロールを、再び、袋にしまう。
「一つは、はっきりした。もう一つは、まだわからない」
カインが、腕を組みながら言う。
「それでも、前より、前進だな」
ダダが、静かに言った。
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窓口を離れ、外に出る。
「今日は、八層、もう少し、詰めるか」
カインが、皆を見回す。
「詰めよう。まだ、回ってない場所、結構ある」
ネリスが、頷いた。
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その足で、六人は、八層へ向かった。
分岐を進み、慣れた調子で、これまで通らなかった通路へと、足を踏み入れていく。
「今日は、地図の空白、埋めていく感じで」
カインが、羊皮紙を確かめながら言う。
「賛成」
六人の声が、揃った。
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しばらく進むと、鎧のような外皮を持つ魔物の群れが、通路を塞ぐように、待ち構えていた。
「いつもの型だな」
ダダが、盾を構えながら言う。
「ダダ、前へ」
「了解!」
慣れた連携が、迷いなく動き出す。
「ワング、ネリス、両脇から!」
「承知!」
「任せて!」
一体、また一体と、群れが、静かになっていった。
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「終わった」
ダダが、盾を下ろしながら、頷く。
魔石を回収し、さらに奥へと進む。
「杖持ちの気配」
ネリスが、ふと、耳を伏せた。
「今日は、スクロール、使ってみるか」
カインが、皆を見回す。
「使おう。試すには、いい機会だ」
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通路の先、ローブ姿の魔物が、姿を現す。
「今だ!」
カインが、スクロールを、勢いよく開いた。
見えない力が、一瞬で、杖の先を、丸ごと押さえ込む。
「効いた……! 完璧に!」
カインが、驚いたように、叫ぶ。
「呪文より、確実かもしれないな、これ」
ダダが、感心したように言った。
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杖を封じられた魔物へ、六人の連携が、迷いなく叩き込まれていく。
「近づけば、脆いのは、知ってる!」
ネリスが、隙間を縫って、距離を詰める。
戦いは、これまでよりも、ずっと早く、片がついた。
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「今日の、スクロール、大成功だったな」
カインが、皆を見回しながら言う。
「大成功。次も、いざという時、頼りにできる」
ミラが、静かに、頷いた。
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さらに奥へと進むと、今度は、朽ちた骨の魔物が、数体、姿を現した。
「不死系も、いるのか、今日」
ダダが、盾を構え直す。
「ミラ、頼む」
カインが、声をかける。
「邪払い!」
ミラの声が、すぐに、響いた。
光が、骨の魔物を、確実に、蝕んでいく。
「今日は、迷わず、使えたな」
カインが、感心したように言う。
「前回の経験、活きてる」
ミラが、静かに、答えた。
骨の魔物は、そう時間をかけずに、崩れ落ちていった。
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さらに進むと、また、甲殻型の群れが、行く手を阻んだ。
「今日、何度目だ、これ」
ダダが、苦笑しながら、盾を構える。
「数えてないけど、結構な回数」
カインが、剣を抜きながら答える。
「ダダ、前! ワング、ネリス、両脇!」
「了解!」
「承知!」
「任せて!」
一体、また一体と、群れが、静かになっていく。
「終わった」
ダダが、盾を下ろしながら、頷いた。
魔石を回収し、六人は、さらに奥へと進んだ。
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さらに奥へと進む。
地図の空白が、一つ、また一つと、埋まっていった。
「今日は、順調だな」
カインが、羊皮紙に、印をつけながら言う。
「順調」
ダダが、頷いた。
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通路の先、これまでとは違う、広い空間が、見えてきた。
「あれ」
ネリスが、足を止める。
「気配、何も、感じない」
「静かな部屋、ってことか」
カインが、慎重に、足を踏み入れる。
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奥の壁に、下へ続く、新しい階段が、姿を現していた。
「これ……」
カインが、覗き込みながら、呟く。
「九層への、階段……」
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「本当に、九層まで、来たのか」
ダダが、感慨深げに言う。
「来た」
ネリスが、静かに、頷く。
これまでの積み重ねが、確かに、ここに繋がっていた。
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「今日は、ここまでにしよう」
カインが、階段から、視線を上げる。
「九層は、また今度、万全の状態で」
「賛成」
ダダが、即座に頷く。
「賛成」
ネリス、ノリア、ミラ、ワングも、揃って続いた。
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魔石を回収し、部屋を後にする。
扉の前で、カインが、一度、振り返った。
「八層、ほぼ、踏破か」
呟くように、言う。
「不死系のことも、スクロールのことも、色々あった八層だったな」
ダダが、静かに、答えた。
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来た道を、六人は、ゆっくりと戻り始めた。
八層の奥から、七層、六層と、階層を登っていく。
篝火の灯る前室に戻ると、ようやく、肩の力が抜けた。
「今日は、大きな収穫、続いたな」
カインが、皆を見回しながら言う。
「スクロールの正体、判明。八層、ほぼ踏破。九層への階段も、発見」
ミラが、指を折りながら言う。
「一日で、これだけあると、なんか、実感が、追いつかないな」
カインが、笑いながら言った。
「その台詞、何回目だ」
ダダが、ふと、突っ込む。
「え」
カインが、きょとんとする。
「毎回、戻ってくるたびに、似たようなこと、言ってる気がする」
ダダが、苦笑しながら続けた。
「言われてみれば……」
ミラが、思い出すように、口元に手を当てる。
「実感が追いつかない、ってセリフ、私も、何回か聞いた覚えが」
「否定できない」
カインが、観念したように、頭をかいた。
「毎回、本気で言ってるんだから、仕方ないだろ」
「本気なのは、わかってる。わかってるけど、面白い」
ネリスが、笑いながら言った。
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「未鑑定のスクロール、九層に潜る前に、はっきりさせたいな」
ネリスが、袋を、そっと撫でながら言う。
「したいな。今日、使った分、もう手元にないし」
カインが、頷いた。
「もしあれも静黙なら、また一本、確保できたことになる」
ミラが、静かに、付け加えた。
「ブロムさんの防具の返事も、もうすぐだし」
ダダが、付け加える。
「楽しみが、また、増えたな」
カインが、笑った。
「九層、どんな相手が、いるんだろうな」
ノリアが、少し緊張した声で言う。
「わからない。でも、今日みたいに、一つずつ、確かめていけばいい」
カインが、静かに言った。
「賛成でござる」
ワングが、静かに頷いた。
夕暮れの光が、篝火の炎と混じり合いながら、前室を、静かに染めていた。
いかがでしょうか?
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