これまでのまとめ ―― エア五層編、完結
前回のまとめ(`エア四層編まとめ_2.txt`、エア四層編完結)から続く。四層を踏破し、五層への潜入許可(護符六つ)を得たところから、五層の「七つの試練」をすべて越え、エランドよりズールへ向かう資格を告げられて、エアの攻略を終えるまでを整理する(第181〜200話)。
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## 閑話:ダダの日常と決意(第181話)
六人が十三番目の部屋の七連戦に挑んでいた、六日間の話。フォージタウンで槌を振るうダダは、前線を退いた自分に区切りをつけられずにいた。盾一枚では受けきれない場面が増え、仲間の足を引っ張っている気がして退いたのは、自分で決めたことだった。それでも、六人が扉の向こうへ消えるたびに胸がざわつく。
ブロムは、盾役だった頃の型をなぞっただけのダダの一振りを見て、「お前さんが打つべきは、戦う剣じゃない。六人を、戦わせ続けるための剣だ」と告げる。戻らない六人を待つ数日のあいだ、リゼットに尋ねても「本人から聞いた方がいい」の一線は崩れず、ダダは打ち込む数を無意識に数え続けた。
六日目の夕方、傷だらけの六人が帰ってきて、ノリアが命を落としかけたことまで含めた連戦の話を聞く。ブロムの言葉が、ようやく腑に落ちた。盾はもう提げない。その代わり、六人の得物すべてに自分の名を刻む。そう決めたダダは、根元から折れた氷姫を「急いで、丁寧に」仕上げ始める。
## 五層の入口と、ノア・エア同時スタンピード(第182〜184話)
護符が六つとも光り、六人は五層へ足を踏み入れた。鏡のように滑らかな床、銀色に光る壁。床に映る影がもう一人分多いような、六人分の足音が七つ聞こえるような違和感があった。対の迷宮を思わせる気配だった。
そこへ、四方からエランドの声が響く。「戻れ。いますぐ帰還しろ。帰れば、わかる」。いつもの余裕はなく、息を切らしているように聞こえた。
クロスロードは大混乱に陥っていた。リゼットに促されてフラッドガードへ駆けつけると、地図盤のエアとノアの両方に赤い光が点滅している。ルーシェナいわく、二つの迷宮が同時に荒れるのは記録にない事態だった。ノアには動ける手駒が多いが、エアに潜れる人間は限られている。六人はエア一層の鎮圧を引き受けた。
エアの一層では、ケルベロス6頭を、ワングの掌とララの業炎獄を重ねて一撃で消し去った。グレイトボア3頭は、スル・カイン・ミラが一頭ずつ一太刀で仕留め、「強くなったな」と誰もが実感する(第182話)。十数度にわたる群れを退けたあと、エランドの声が「今回のスタンピードの元凶が、現れる。こいつを止めれば、終わりだ」と告げた。
現れたのは、杖を魔法で剣として振るう魔法騎士2体と、それを従える倍の背丈のデーモンナイト。魔法騎士の一体はノリアの業炎獄で脆くなった継ぎ目をネリスが崩し、もう一体はミラの裁きの光の二撃で倒した。デーモンナイトは、ワングの滅却光でつけた傷もすぐ黒い靄で塞ぎ、カインの魂縛も引きちぎる。スルの盾は双剣の一撃で真っ二つに割れた。盾を失ったスルを狙った一撃から、カインが身を投げ出して庇い、肩口を斬られている。最後はノリアの終焉が再生の間も与えずに巨躯を焼き尽くした。終焉の代償でドロップはなく、体の奥にはレベルが一つ下がったような頼りない感覚が残った(第183話)。
戻ると、エアは収まったがノアはまだ片づいておらず、ルーシェナ自らが出ているという。呪文の回数が戻っていないため、ミラ・ネリス・スルは街に残り、一番動けるカイン・ノリア・ワングの三人でノアの三層手前へ向かった。ルーシェナは防衛していたパーティから三人を抜き、代わりに三人を加えて「六人で、パーティを組み直す」。戦闘中でなければできる、という前例のない運用で、「六人の壁」が絶対のものではない可能性を示す初めての事例になった。ルーシェナ自身も「迷宮が、なぜ許したのかは、わたしにもわからない」と語っている。
ルーシェナ・ワング・カインの三重の終焉でも、奥の咆哮は止まなかった。「あんたの番だ」と託されたノリアが、限界まで引き上げた終焉を放つ。桁違いの黒い奔流が三層を駆け抜けて下層へなだれ込み、ノアは静まった。十三番目の部屋で瀕死になった一撃と違い、今度は六人がかりの上に乗せた最後の一押しで、本人いわく「今度は、ちゃんと、加減した」。深く頭を下げて礼を言ったルーシェナは、最後に「何かが、起きているんだろうな。迷宮に」と呟いた(第184話)。
## エランドの告知:世界の危機と七段階の修行(第185話)
数日後、ダダが新調した盾をスルに渡し、六人は再び五層へ向かった。護符の光に導かれた先にあったのは、一層でエランドがいた場所とほとんど同じ、白い壁の一軒家だった。
中で待っていたエランドは、迷宮のバランスが崩れ始め、魔物の生まれる速度が徐々に加速していると告げる。ノアとエアのスタンピードも、そのためだった。バランスを保つには、迷宮に潜り、そこの主を制御するしかない。倒すのではなく、主を屈服させ、その力に迷宮のバランスを預けさせるのだという。ノアとエアには対応できる者がいる。だが、目覚めぬ迷宮ズールには、かつてより潜ることすらできていない。今の六人では「潜った途端に、消え失せる」。時間があればエアの深層で強くなればよいが、その時間がない。そこで示されたのが、迷宮での七段階の修行だった。
修行を終えればズールに潜れるのか、という問いには「なるはずだ」「わしにも、確証まではない」。望まなければそれでもよいが、そのときは「この世界は、迷宮に飲み込まれる」。なぜ自分たちなのか、というノリアの問いには、「さあな」「なぜか、お前たちなら、希望がありそうだとしか、言えんな」とだけ答えた。
ノリアは「怖くない、って言ったら嘘になる」と漏らし、ワングも「拙者も、同じでござる」と頷く。それでもネリスの「逃げるつもりはない。兄貴も、一緒だし」を皮切りに、六人は修行を受け入れた。その夜、ダダにも話すことを決めている。
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## 五層の基本ルール:「七つの試練」
五層は、四層の「一行の文章」とは異なり、白く静かな道の先にある扉に、試練が一つずつ現れる形式だった。敵の気配のない、静まり返った階層でもある。扉の書き出しは毎回同じ。
「七つの試練。一つにつき、一つの恩恵あり」
その下に、試練ごとに違う一文が刻まれている(七つ目だけは、書き出しそのものが「七つの試練。最後の恩恵」に変わった)。試練を越えると、壁の文字や頭の中に届く声で恩恵が告げられる。その中身は、戦いの中で、あるいはエランドの解説で、あとから分かっていくことが多かった。
三つ目以降は、試練の場で六人の頭の中に直接言葉が届くようになった。声の主は最後までわからない。
## 一つ目〜三つ目:恩恵の始まり(第186〜190話)
**一つ目(第186話・即日クリア)**。扉の一文は「進むも英断、引き返すも決断。その力を見せよ」。ワングは、英断と決断をわざわざ書き分けていることを気にしていた。
現れたのは、粘土をこねるように形を変え、やがて人型になった黒い何か。新しい盾はスルの初陣で傷ひとつつかず、本人も「悪くない」と手応えを得ている。ノリアの雷殺で一度は崩れたが、聞き取れない詠唱で形を取り戻してしまう。カインとワングの二重の静黙で詠唱を途切れさせ、ネリスの手刀、ワングの掌からの業炎獄、ノリアの二度目の雷殺で撃破した。奥に浮かんだ扉の文字「再生を無効化する魔法、アルカナ第六階梯『封癒』を授かりし者。次なる扉を開かん」とともに、ノリア・ワング・カインの三人に封癒が根を下ろす。以後、封癒は開幕の定番の一手になった。報告を受けたアーカイブのティリーは、効果は書けても授かった理由や条件は書けない、と困った顔をしている。
**二つ目(第187〜189話)**。報告の足でフォージタウンに寄ると、ダダが氷姫を返した。折れた根元はもう継げないため、同じ鋼を溶かして一から打ち直したもので、「同じ姿だが、同じ刀ではない」。ワングは「村雨は、村雨でござる。氷姫は、氷姫」と、二振りとも持つことにした(第187話)。
扉の一文は「得た加護を、さらに磨くことが次の道となる」。ロングソード・レイピア・バスタード・ソード・大斧・長槍・双剣の、六人の剣士が相手だった。長槍がノリアの喉元を狙う場面もあり、後衛を守りながらの戦いは決定打に欠ける。守りの聖歌を二重にして放った二重の業炎獄も、六体すべてに共通する防御に阻まれて焦げ跡しか残せず、撤退した。ノリアは「今日の私たちじゃ、まだ、足りない」と振り返っている(第187話)。
その夜、六人はそれぞれの加護を並べ直し、ワングの幻の右手とノリアの魔力を「意識してみる」ことにした。二度目の挑戦で、ワングが籠手を締め直して失った右手を想うと、手首の先に確かな感覚が戻る。左に村雨、幻の右手に氷姫。双剣のワングが復活し、一振りで二体を斬り伏せた。ノリアも内なる魔力を意識して放った雷殺で一体を消し去り、練り上げた業炎獄で二体をまとめて焼き払う。最後に残った双剣の騎士は、剣の腹で炎を薙ぎ払うほどの腕だった。ワングは「下がっていろ」と一騎打ちに臨み、かつて目標にしていた誰かの型に似た太刀筋を感じながら、幻の右手で氷姫を支えたまま、籠手の内側に隠した小太刀で胸を貫いた。人の手では決してできない動きだった(第188話)。
壁に浮かんだのは「受けし加護を、磨きしもの。その恩恵を奉らん」。恩恵は六人それぞれに違い、ワング・ノリア・ミラ・ネリスは自分で変化を感じ取った。スルだけは「何か、変わった、気がする」と掴みきれない。ミーの促しで、六人はワングの跳躍門で一層へ移り、ネリスの迷いのない先導で黄金の毛並みの猫の姿のエランドを訪ねた。エランドは呼び出した黒い塊を相手に、スルの盾とララの火花炎を実際に試させて解説している(第189話)。
- ワング:幻の右手の完全な感覚(「既に持っていたものが、行き渡っただけ」)
- ノリア:魔力を練ることで、呪文の威力を桁違いに跳ね上げる技術
- ミラ:癒しの波が、全回復に近い水準まで強化
- ネリス:道に迷うことがない感覚
- スル:盾の防御力が数倍に上がり、作り手であるダダの加護も重ねて乗る
- カイン:召喚モンスターは同時に最大3体まで。カインのレベルに応じて召喚モンスターも強くなる
エランドは「いちいち、答え合わせを求めるでない」と突き放しつつ、「まだ、五つある」「その証に、たどり着けなければ、まあ、無理だがな」と言い残して消えた。
**三つ目(第190話・即日クリア)**。扉の一文は「自らの力に、自らを傷つけることなく。最大の力を、顕現させたまえ」。かつて味方ごと吹き飛ばしかけたことのあるノリアの声が、少し硬くなる。
前衛の豹頭の騎士2体、弓のケンタウロス2体、奥の魔女2体と、役割のきれいに分かれた部隊だった。カインが封癒で魔女の治癒を封じる。ワングは研ぎ澄まされたばかりの幻の右手で敵の得物を掴んで半ば奪い、魔女の靄に足を取られたネリスも幻の右手だけで引き寄せた。それでも長引きそうな戦いを、ノリアが「今度は、任せた」と託されて引き受ける。放った業炎獄は部屋全体を白く染めて敵を跡形もなく消したが、余波が六人全員を打った。ミラの群癒で立て直している。
頭の中に声が届いたのは、このときが初めてだった。「己の力に、己が焼かれぬように。授けよう」「ノストス系第七階梯、反跳結界。心して使え」。自分の呪文の反動を無効化する反跳結界は、なぜかカインとミラの二人にだけ根を下ろした。扉の一文を今回は完全には果たせなかったぶん、次はこれを使え、ということだと六人は受け止めている。
## 四つ目:強きところ、弱きところ(第191〜194話)
扉の一文は「汝の強きところ、弱きところ、しかと心得よ。さすれば道は開かれん」。
現れたのは、ゴシック調の衣装をそろって纏った六人の少女だった。剣を持つ三人と、杖を持つ三人。顔だけが、どうしても像を結ばない。前衛同士は互角以上に渡り合えたものの、後衛の三人が業火弾・雷殺・氷結界を途切れなく撃ち込み続け、こちらの防御壁は削られる一方だった。初回はワングが殿を務めて撤退する(第191話)。
二度目の前夜、フラグメンツでミーを呼んで力添えを頼んだが、断られた。「わしが力を貸せば、たぶんクリアできる。だが、証はもらえんだろうな」。二度目の挑戦では三重の静黙が効かず、再び撤退する。ただ、退き際にノリアが放った雷殺で、魔女の一人が明らかに崩れかけていた(第192話)。
三度目は扉を開ける前にララを呼んでおき、開いた瞬間にララ・カイン・ノリアの三人で同時に雷殺を放った。魔女を先に消し去ると、ネリスが剣の少女二人を瞬く間に仕留め、最後の一人はワングが一騎打ちで断った。三度目にして初めての、無傷の勝利だった(第193話)。
恩恵を告げる声は「敵、弱きところ、強きところ、おのずから見えてくる」。第194話に一層で確かめると、敵と向き合った瞬間、弱点や急所が像として頭に浮かぶことがわかった。騎士たちを指揮する右側のローブの男の姿が浮かび、トレントのときは炎が浮かんだ。ただし浮かぶのは像だけで、答えそのものは教えてくれない。「浮かんだ像を、信じるかどうかも、試されてる気がする」(カイン)。
## 五つ目:自らの糧を、分かち与えん(第195話)
扉の一文は「自らの糧を、他の者にわかち与えん」。
獅子の顔、鳥の脚、虎の後ろ脚、蛇の尾、鷲の翼を持つキメラが相手だった。頭に浮かんだ言葉は「硬き事、鋼のごとし。眉間のみ望み叶うる」。刃も炎も雷も、ノリアの終焉すら体表で弾かれる。スルとワングが両方の前脚を押さえ、カインが眉間を狙うが、剣を弾き飛ばされてしまう。その剣を宙で掴んだネリスが、落下の勢いのまま眉間へ突き立てて決着した。
戦いのあとで使用回数を数え直すと、恩恵の中身が判明した。ノリアが使った終焉の分はワングの回数から、ミラが使った反跳結界の分はカインの回数から差し引かれていたのだ。同じ系統の中で、仲間同士が使用回数を分け合えるようになったことになる。
## 六つ目:加護たる助力に、新たな助けを(第196話)
扉の一文は「加護たる助力に、新たな助けとなる力を呼び集わん」。
天井に届きそうなほど巨大な、獅子というより猫に近い獣が相手だった。詠唱もなく炎・雷・冷気を重ねて放ち、爪の一撃はダダの盾に三本の傷を刻む。四つ目の恩恵で浮かぶはずの像は、誰の頭にも何も浮かばなかった。
持久戦で押し込まれる中、カインの頭にだけ「召喚してみろ」という声が届く。カインが「呼びたい。仲間にしたい」と念じると、獣はみるみる縮み、手のひらほどの白い子猫、ミーの姿になった。「仕方がない。六つ目の証として、仲間になってやろう」。六人は今の今までミーと殴り合っていたのか、と脱力するしかなかった。手加減されていた気は、まったくしない。
## 七つ目:最後の恩恵、三つの連戦(第197〜199話)
扉の書き出しは、初めて「七つの試練。最後の恩恵」に変わった。その下に「試練を越えし者、ズールへの扉、開かれん」。
**一戦目(第197話)**。大剣・槍・手斧の前衛三人と、その後ろに控えるローブの男。頭の声は「後ろの一人を倒せば、終わり」と、珍しく親切だった。ローブの男は防御の膜を玉ねぎの皮のように何枚も重ね、前衛の三人は執拗にノリアだけを狙う。膜を削っては張り直される攻防が長く続いた末、ノリアが練り上げた業炎獄で膜を剥がし切った。最後の一枚を、この日まだ手つかずだった第六階梯からワングが放った「滅却光」が素通りし、ローブの男を貫く。
だが、白い靄は再び集まり始めていた。
**二戦目(第198話)**。ミノタウロス3体。スルにとっては、かつて仲間ごと呑まれ、ネリスを庇って倒れた日の角だった。頭の声は「心して戦え。道は開ける」とだけ告げ、弱点の像は浮かばない。「弱点ないんかい!」というネリスの叫びで、張り詰めた空気に少しだけひびが入る。
スルは「今度は、倒れない」と角を正面から受け止め続け、一度は斧に背中を斬られて倒れたが、ミラの完全治癒で立ち上がった。一体目はワングの滅却光で倒した。二体目は、ネリスが角にしがみついて顎を上げさせ、スルの短剣が喉を貫いた。昔からの兄妹の役割どおりだった。三体目はワングとカインの連携で仕留める。
それでも、靄はまた集まってきた。
**三戦目(第199話)**。現れたのは、駆け出しの頃に何度も剣を交えた、ノアの一層のゴブリンだった。ただし六体とも、肌も目も鉈も光を吸い込むような黒一色。頭の声は、これまでで一番長く、一番冷たかった。「心して戦え。侮るなかれ。さもなくば死、あるのみ」。
六体は六人一人ずつの正面に立ち、鏡のように動いた(ララの前にだけは誰も立たなかった)。一撃は軽いのに終わりがなく、胸に短剣が刺さっても倒れない。もう一つのパーティと戦っているような削り合いになった。カインの神域とミラの反跳結界の内側から、ララとワングが同時に終焉を放っても、六体すべてが立ち上がる。最後にノリアが「残っているものを、全部」練り上げた終焉を放ち、部屋は原形をとどめないほど破壊された。生き残った三体を、ネリス・スル・ワングが一体ずつ仕留めている。
光の線が扉を結び、その向こうでエランドが待っていた。「まずまずだな」。
## エアの攻略、完了(第200話)
エランドは、六人がズールへ向かう資格を得たことを告げた。証書のようなものはない。「証なら、もう七つ渡した」。
エランドが語ったのは次のことだった。
- 行った先で、ズールの管理者と会うことになる(ベーダーやエランドと「似たようなもの」)。
- そこで、この世界の成り立ちと、六人の役目を理解することになる。
- もうレベルというものも関係なくなる。エアの七つの証を受けたから、たぶん、ギルドのレベル測定は役に立たない。
- カレント神の意思と、この世の運命を、その手に取り戻すことが重要だ。
- 理解できなかったことも、たぶん、自ずとわかる。
- ただし、街の人々にはしゃべれないだろう。話せるのはギルド長とダダだけ。
「カレントって、一人ひとりのことは見えないんじゃなかった?」というミラの問いには「見えないのは、カレントのほうだ」と答えた。「取り戻す」とは今は誰の手にあるのか、というノリアの問いには答えていない。最後に「貴公たちの冒険に、幸あらんことを」と言い残して、エランドは去った。
街に戻った六人は、まずルーシェナに報告した。ルーシェナは途中で一度も口を挟まずに話を聞き、ベーダーの伝言にあった「エアを越えられる冒険者を育てて、いずれズールへ」を振り返る。ギルドの記録上、エアの「制覇」の定義はまだ定まっていない。それでも「私の中では、決まり」と六人の攻略を認め、アプレイザルでレベルが本当に測れないのか確かめておくよう指示した。
フォージタウンのダダは、ぼろぼろになったスルの盾、ワングの失われた肩当て、刃こぼれしたカインの剣を順に見て、「全部だ。ズールに持っていくなら、なおさらな」と打ち直しを宣言する。「六人分、名前を刻み直す。前のは、エアの分だ」。そして、ぼそりと「おかえり」と付け足した。
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## レベルの変遷
五層編のあいだ、アプレイザルでの鑑定は一度も行われていない。以下は四層クリア後(第180話)のままで、第200話でエランドが測定は「役に立たん」と告げたため、次に測れるかどうか自体が未確定になっている。なお第183話では、終焉の代償として、レベルが一つ下がったような感覚が残っている。
| キャラクター | 四層クリア後(第180話) | 第200話時点 |
|---|---|---|
| カイン | 22 | 未鑑定(測定不能の可能性) |
| ネリス | 26 | 同上 |
| ノリア | 24 | 同上 |
| ミラ | 27 | 同上 |
| ワング | 28 | 同上 |
| スル | 33 | 同上 |
## パーティ・召喚モンスターの変化
- **ワング**:ダダが打ち直した氷姫が戻り(第187話)、幻の右手と合わせて村雨・氷姫の二刀流が復活した。滅却光は、第183話ではデーモンナイトの再生に阻まれたが、第197・198話では決め手になった。太刀筋への既視感は、二つ目・四つ目の試練でも続いているが、まだ誰にも話していない。
- **ノリア**:魔力を練る技術を手に入れ、七つの試練の終盤で決定打を担い続けた。
- **スル**:盾を二度失いかけ(第183話で破損、ダダが新調)、七つ目でミノタウロスとの因縁に一つ区切りをつけた。
- **ミー**:四つ目では力添えを拒み、六つ目では試練の獣そのものとして現れた。
- **ララ**:七つ目の三連戦に出ずっぱりで、終焉まで放つ主力になった。
- **ゴーレム**:七つ目の一戦目で片腕を失い、二戦目で下がらせている。
- **ダダ**:盾役を退き、鍛冶師として六人の装備すべてを担う立場が固まった。エランドの話を聞ける二人のうちの一人になった。
- **呪文**:封癒と反跳結界が、通常の階梯とは別枠の呪文として加わった。同じ系統の中で使用回数を分け合う仕組み(五つ目の恩恵)も加わっている。
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五層は、四層までのように部屋の条件を解き明かす階層ではなかった。六人それぞれが自分の強さと弱さを突きつけられ、そのたびに一つずつ何かを受け取っていく、修行の階層だった。越えた先で待っていたのは、「制覇」の栄誉ではなく、街の誰にも話せない次の迷宮の名前だった。




