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Fortune-teller  作者: marimo
15.分からない男
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分からない男9

「今日、どこに行く予定だったんだ?」家に送ってもらいながら聞かれて、

「ちょっとね、知り合いに頼んで、色々と」

「ふーん、俺に言えないことか?」

「言う必要はないでしょ。あなたは赤の他人なんだし」

「恋人候補だろ」

「違います。あなたが勝手にそう思っているだけ」

「じゃあ、何で、今日、付き合ったんだよ?」見透かすような含むような顔でこっちを見ていたけれど、

「敵の実態を知りたかっただけ。ライバルでもないけど、占い師としてのあなたは興味があるからね。まだ、未知数だけど」

「計り知れないだろ?」

「分からない。あなたの占いって当るの?」

「当ると思えば、当る。当らないと思えば当らない」

「なによ、それ?」

「自分で確かめてみれば」と笑っていた。


 家に着く直前に、

「これからデートなんでしょ」と聞いたら、

「いい勘してるんだな」と笑った。

「夕方からデートする前に時間が空いたから暇つぶしって訳なの?」

「楽しかっただろ」と平然と言い切った。つくづくおめでたい。自分と付き合える女は幸せだと思い込んでいる。

「あなたが良く分からない」家に着いて、車を降りてから、

「付き合えば分かるよ」と言い出した。

「絶対にありえない」と言ったら、そばに寄ってこようとしたので、

「やだ」とにらんだ。

「『楽しかったわ。ご馳走さまでした。また誘ってね』と、言えばいいものを」

「ない」

「じゃあな、俺は楽しかったよ」と、言いながら車に乗り込んで行ってしまった。

「呆れるなあ」

「お前のほうが呆れるだろ」怒った声がしたので、振り向いたら、神宮寺がお店から出てきて、

「え、いたの?」

「何がいたのだよ? 俺の誘いを断って、あんなやつと」とかなり怒っていたので、

「ごめん」と言ったけれど、

「呆れるよ。何が気軽にデートできないだよ。あいつと付き合ってるじゃないか」

「学園祭の打ち合わせ」

「言い訳はいいよ。あいつにだけは近づくなって言ってるだろ」

「神宮寺、変だよ?」いつもだと、そこまで怒らないのに、どうしたんだろう? と思った。

「お前は俺が心配したことも分かってないみたいだ。あいつと付き合うとろくなことにならないぞ。それぐらい分かれよ。俺がどれだけ心配してたか。携帯だって出てくれなくて」と言われて、慌てて、携帯を取り出した。電池切れだった。

「ごめん」と謝った。

「昨日、充電しようと思って疲れてそのまま寝ちゃったから」

「言い訳はいいよ。勝手にしろ」と帰ってしまった。

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