元の職業3
「意地っ張りだなあ。見栄を張らなくてもいいよ、ホワイトローズムーンさん。君の家の車を見たら経済状態が分かるし」と言い切られて面白くなくて、にらんでいたら、
「僕と組んだら、きっといい思いができる」
「できない。反対の結果になるでしょうね」
「どうして?」
「あなたは占い師じゃないからよ」と言い切ったら、相手が冷めた顔で笑っていて、そのとき、電話がかかってきてどうしようか迷っていたら、
「出たら?」ブルーオアシスさんに言われて、仕方なく出た。神宮寺からで、
「知り合いに電話で聞いたよ。ブルーキラーの情報。今は活動休止状態だって、連絡すら取れない状態らしいし」
「え?」さすがに驚いて、
「何だかお金のトラブルがあったと言う噂」
「お金?」
「そう。それから、メンバーの名前はそれぞれ、トシ、ミヤ、リュウセイだって」
「本名は?」
「そこまでは分からないよ」
「そう。今、目の前にいる」と言ったら、
「なんだって?」神宮寺が驚いていた。
「大丈夫か?」と聞かれて、
「大丈夫じゃないよ。この人、ちょっと怖いから」
「俺のこと?」ブルーオアシスさんが笑っていて、
「あなた、ト、違う、リュウセイさんね」と言ったら、相手が笑うのをやめた。
「大丈夫か?」神宮寺に聞かれて、
「家の前にいるから、後でまた掛けるね」と電話を切った。
「君は不思議な子だね」とブルーオアシスさんが笑っていて、
「ブルーキラーってバンドから、どうして占い師に代わるの?」と聞いたら、
「なるほどね、侮れないな」と、こっちを探るような目で見ていた。
「バンドをしていた人が占い師になる。ちょっと、おかしくない?」と言ったら、また笑い出した。
「占い師としてもおかしいし、しかもお守りを売りつけて。イカサマじゃない」
「違うよ。あれはグッズだ」
「グッズ?」
「ブルーキラーのグッズ。お守りの効き目も同じだよ。ただ、そこまで本気じゃない」
「でも」
「バンドとして売れなくなったから、やむを得ずなんだよ」
「どういう意味よ」
「グッズを作って代金を払わずに逃げたやつがいてね。それでだ」と白状したので驚いた。
「それって、本当?」
「君の場合は嘘を見破るようだから、つけそうもないしね」と笑っていて、
「でも、信用できないよ。女の子を泣かせるような人はね」
「泣かせる?」
「だって、そうじゃない。高いお守りを売りつけて、効き目があるようなことを言って、だまして」
「お守りはあくまでお守りだろ。効き目はその人の思いの強さが関係あるんじゃないの」と言い切ったので、いつも、こうやって逃げているんだろうなと思えて、
「でも、それで、女の子のそういう願いを利用してお金に変えているじゃない」
「強制はしてないよ。買っていくのは彼女たちの自由だ。それで効くかどうかまでは責任は持てないよ。そこから先は彼女たちの思いの強さのほうが重要だと思えるしね」
「いつも、そうやって言い逃れするの?」
「言い逃れじゃないよ」
「だって」
「効き目があるかどうかなんて、彼女たちだって、そこまで期待してないだろうな。それを持つことによって、気分が変わる。そうして、それが力になるわけだし」
「暗示効果ってこと?」
「そういうのもあるだろう?」
「でも、それを利用して高い買い物をさせて」
「誤解しているよ。値段を聞いて買っていったのはその人たち自身だ。僕が買わせたわけじゃないよ」
「あなたの言い方を聞いて、その気になってしまっただけでしょう? あなたは相手の不安、期待を煽るような言い方をするから」と言ったら、ブルーオアシスさんがこっちを見ていて、
「君は誤解しているよ。買った人はその時点で納得しているから買っているんだよ」
「でも、そのときはその場の雰囲気があって」
「でも、自分の責任で買っている以上、僕にとやかく言われても」この分だと、今日、一緒に尋ねた子達もお金なんて返してもらえそうにないと思えた。




