デジャブ3
東条さんが学校まで来て、先生が校門をうろついていたので、離れたところで車で待っていて、私が帰るときに車から降りて、
「なんだよ、あれ?」と聞いてきた。説明したら、
「困ったやつだな。そういうのって、一番困るよな。そういうやつがいるから、俺も胡散臭いなんて言われるけど」
「それは身から出たさび」
「違うよ。職業として、そう見られるってこと。お前だって、職業欄に『占い師』って、将来書くんだろう?」そういわれて、考えていたら、
「乗れよ。移動しよう」と言われて、先生がこっちを見ていたので、車に乗った。
「後で、親戚のお兄さんに会ったと言っておけよ」
「やだ。親戚なんていないしね」
「ふーん、まあ、うちも同じだけどな。親父は田舎に父親と親戚がいるけど、誰とも連絡を取ってないから」
「え、そうなの?」
「職業差別が田舎だとあるんだよ。でも、就職や頼みごとはしてくるけどね。親父は世話はしていたけれど」
「そうなんだ?」
「でも、田舎には帰らないだろうな。お前のところもそうなのか?」
「母の両親は亡くなってるし、そのまた両親も亡くなってるはず。親戚は元々少なかったらしいから、疎遠みたい。父のほうは良く知らない」
「画家だったっけ? なら、親父と同じ理由だろうな」
「え、なに?」
「両親の反対にあって、疎遠になってるんじゃないのか」そう考えていなかったので、
「どうなんだろ」としか言えなかった。
「それより、人が少ないところのほうがいいからな。ちょっと、遠いけど付き合えよ」と言われて、
「どこまで行くのよ」とにらんだ。
「見晴らしがいいね」と遠くを見渡した。高台の公園の駐車場から少し歩いてきたけれど、人は少なかった。
「こういう場所でもないと、気が晴れない。空が近いほうがいいからな。気持ちがいいし」
「何かあったの?」
「川尻」と言われて、
「ああ、あの人ね」としか言えなかった。時間の問題だろうと言われていて、取調べが続いているらしいとしか報道されていない。
「森の正体が分かったよ」
「森?」
「川尻から呼び出された。家まで来るように言われてね、断ったら、電話でお前を呼ぶように命令してきて」
「それは困る」
「俺も困るから断ったよ。ただ、前のように強気じゃなかった。お前に頼みたいみたいだな。占いのその後の結果をね」
「あれ以上は絶対に無理だよ」
「分かってるよ。俺もそう思ったから、占えないだろうってことは伝えておいたよ。森って言うのは、取調べの担当者の名前が森本だ」
「森、ではないんだから、偶然でしょ」
「あいつはそう思ってない。政治家の秘書のほうが林。取り調べ担当が森本。偶然にしてはできすぎていると思っているようだよ。お母さんの言うとおり偶然かもしれないけど。お前の場合は偶然にも思えないけどな」と言われて、ブルーオアシスでの件を思い出した。どうして、段なんて思いついたのか分からない。転んだと聞いた時にあそこの風景が浮かんだのは、来る時に注意して印象に残っているからだろうし、電話を掛けて転びそうになっていた子をその時に見かけたからだろうなと今は思っているけれど、どうして、彼女が帰るときにそう言ったのかは自分でも分からなかった。
「どうした?」
「デジャヴかな?」
「既視感か?」
「あなたはある?」
「うーん、そう言われても、デートであちこち行き過ぎて、それで、『誰と来たの?』と言われないように、メモは」と言い出したので、にらんだら、
「ああ、今はしてないよ」と言い訳していた。




