デジャブ2
学校の周りに、不審な人がうろついていたと話題になって、先生に事情を聞かれて、お守りの話をした。
「そういうのはなあ」と先生が困っていた。生徒が買ったものにまでは口は出せないってことだろう。
「だとしても、あまり、ああいう人がうろつくのはちょっと困るからな。PTAから問い合わせがあったからなあ。そうか、お守りってそういうことか。PTAの説明は、分かりづらくて、そういうことなのか、困ったなあ」と先生が答えていて、そばにいた怜奈ちゃんが、
「出入り禁止にするように通達できないんですか?」と聞いてくれた。あの人は東条さんとは違って、校門から中にまで入っていたので、それで苦情が来ていたんだろう。
「うーん、そう言われてもなあ。学校の外をうろつかれたら困るからな」
「外でもいいじゃないですか?」怜奈ちゃんが先生に提案したけれど、
「そうだなあ、相談はしてみるよ」と困っていた。
「ああいう人って、懲りないんじゃないのかな」東条さんよりしつこそうに見える。粘着質な性格にも思えた。
「でも、来られたら困るでしょ」怜奈ちゃんがそう言ったけれど、あの分だと私の家のほうもリサーチしそうだ。母の占い師名や店名を生徒の誰かから聞いていたら、簡単に調べることができてしまう。
「困ったね、ああいう人は苦手」
「でも、学校の子は何人か行ってるみたいだね。実際に効き目があった子もいるから。そういう子って吹聴するから、それで宣伝になっちゃうでしょ。一人でも効き目があったと言われたら、行っちゃう子もいるだろうね」
「そういうものかな? あの人、ちょっと怖かった」
「しばらく神宮寺と付き合ったら?」と言われてにらんだ。人が悩んでいるのに。確かに雪人さんとは話せるようになって、進展と言うところまでは行ってない。神宮寺と付き合うというのも、何だか他人事のようで、想像ができないというか、しっくり来ない感じだった。
「じゃあ、東条さんと組めばいいじゃない」
「組むって?」
「プロキオンと組んでいるから駄目って言えば、諦めるかもよ」
「嘘をつくの?」
「それぐらいはいいでしょ。いつか、プロキオンに登録できるかもしれないよ」
「行かないと思う」
「え、なんで?」
「プロキオンは修行のために登録したかっただけなの。でも、あそこは忙しいみたいだし、指導はしてもらえないみたいだから、別のところに頼んでる」
「え、また?」
「いまのうちから、色々な先生のやり方を参考にしておきたくてね」
「やっぱり占い師になるの?」と聞かれて、本当は占い師として身を立てたいからではなく、別の理由もあるとは言いづらかった。あのことは怜奈ちゃんたちは知らない。母と大叔父さんがそばにいて、姉は私には関心がないために、父が失踪したときも、お金はどうなるとか生活の心配しかしていなくて、仙台にも行かなかった。
「ま、真珠ならかわいいから、人気が出るよ。駄目だったら、別の仕事を選べばいいよ」
「うーん、そう言われても、なにするの?」
「おうちでカフェを切り盛りすればいいじゃない」そのことも考えていた。母と二人でなら、何とかやっていけそうだと思えた。前のように食事までは提供できないだろうけれど、母と相談したほうがいいだろうなと考えていた。
「それか、東条さんと結婚するとか」と言われてむせた。
「何、その突飛過ぎる発想は」
「突飛じゃないでしょ。占い師同士で結婚したっていいとおもうけど。あの人はお金持ちだし、真珠が大好きみたいだし」
「好きじゃないでしょ。ただ、珍しいだけだと思うよ。多分、そばにいなかったタイプの占い師だからであって、私に興味は」
「まだ、そんなこと言ってるの? あれだけ何度も来てるのに」
「でもねえ」インスピレーションを補うって言うのはちょっと……と考えていた。
「いい人じゃない。明るいし楽しい人だし、真珠にはあってると思うなあ。遠くに行ってしまう人よりいつでも会える人のほうが楽しいよ」と言われてにらんだ。
「そういう顔をしなくても」
「だって、寂しいなと思うのに、そういう話はしないでよ」
「だったら、もっと早く申し込みなさいよ」と怒られて、
「いいの」と拗ねた。




