湿度の高い男3
家に帰る途中で気分が悪くなったけれど、何とか家にたどり着いて母に相談した。
「困ったわね。その人」
「あの人は何だか寒くて湿度が高くて嫌だった」
「湿度ねえ。確かに、そういう男の人って時々いるわよね」
「お母さんはどうしてる」
「エイッと払ってる」と手で払うしぐさをしていた。
「なるほどね。そういうのも考えたほうがいいかな」
「しばらくは塩を持ち歩きなさい。その人、きっと、真珠に付きまとうわ」
「困ったね」
「家に来たら、追い払ってあげるけれど、高校に待ち伏せされるのは困るわね。相手の素性も良く分からないし」
「素性?」
「東条さんとは違うのだから、得体はしれないわよ」と言われて、
「そう言えばプロフィールには占い師を始めた理由は書いてあったけれど、詳しい説明がなかった。誰に師事してとか、出身学校名も分からないし、本名もなかった」
「そうでしょうね。そういうのはプロフィールに載せないわ。そのほうが神秘的になるからでしょうね。それに、性格も良く分からないし、困ったわね」
「名前が分かったら経歴も分かるかもしれないけどね」
「それだけでは無理よ。ありふれた名前や偽名を使っていたらね」
「偽名?」
「時々、いるわよ。そういう人もね。前の職業が全然違う人もいくらでもいるからね」
「そう言われたら、そうだったね。あ、そう言えば、聞いたこともない雑誌名を並べてあったけれど」と言ったら、母が困った顔をしながらため息をついていた。
「じゃあ、無理ね。真珠が知っている雑誌名を載せてないってことは、ほとんどがでたらめの雑誌名ってこともありえるわ。もしかしたら、どこにも載っていないかもしれないわね。自分でチラシを配って、女子高生などを呼び込んでいたらしいし、いつの間にかあそこでやっていたみたいだからね」
「でたらめ?」
「そう、載っていない雑誌にも載っていると書かれたチラシを作り配ってしまっている可能性もあるわよ」
「虚偽記載にならないの?」
「占い師のことをそこまで詳しく調べる人はいないわよ。紙に書いてあったら、そのまま、信じるでしょうね。いちいち、その人が掲載された雑誌を全部調べると思う?」と聞かれて、
「そうかもしれない」
「その分だと、まだ、問題が出てきそうね」
「そう言えば、女子高生占い師で有名な子がいるって聞いた。派手でかわいいって」
「ああ、知ってるわよ。ただ、お客さんは若い人しかいないから、私は評判を聞いてないわ」
「当たるって言ってた」
「そう。気にしなくてもいいわよ。その子、テレビで紹介されたみたいだけど、多分、真珠とは系統が違うと思うからね」
「どういう意味?」
「ほっときなさい」と言われてしまった。




