ブルーオアシス6
家に帰ってから、母に相談した。
「行ってはいけないところに行ってしまったわね」と言いながら、また、塩を持ってきて清めだした。あまりに気持ちが悪くて帰ってすぐに、清めはしたけれど、さすがに身震いがした。
「そういう人はね。暗示効果を使うの。断定する言葉を使って、相手の心に働きかけるのよ。苦情を言葉巧みに変化させて違う物を更に売りつけるやり方も、いつも使っていることでしょうね。一度、買ってしまうような人は、また、買う可能性が高いの。すぐにその気になるわけだからね。相手もそれを分かっていて薦めているのね」
「そうなのかもしれないね。ちょっと、嫌だった」段差の話をしたら、
「そういうことはしてはいけないわ。その人は何か気づいたかもしれないね」
「ごまかしたよ。ただ、あそこだろうなと後で気づいて。頭にその様子が浮かんだからね。不思議だね。時々、ああいう情景が浮かぶけど、カードに触れているとき以外はなかったのに」と言ったら母が浮かない顔をした。カードを展開する時に、時々、カード内容に連想されるのか、情景が思い浮かぶことがある。森と林も同じだった。ただ、時々しかならないので、それほど気にしてなかったけれど、こんなことは初めてだった。
「その人には近づかないでね」母に注意されて、
「でも、また、会う気がするの。違う、向こうが会いに来る気がして、それで、来ないでくださいと言っておいた」
「益々来るでしょうね。そういう人は」
「どうして?」
「それをお守りやグッズ、占いに利用するかもしれないわね。真珠のことに関心を持っていたらね」
「困ったね。逃げるしかないね」
「でも、そういう人はしつこいかもしれないわ。相手を利用するタイプの人って、誠実じゃないからね。利用できるようなものは利用するでしょうね。相手が困ることなんてどうでもいい人が多いから、気をつけなさいね」
「分かった」
「困った人ね。占いをそういうことに利用するのは、誤解されちゃう素よね。でも、そういう占い師も中にはいるから、十分気をつけなさいね」
「一見、すごく優しそうに見えた。ただ、『気』が違ってた。『気』は冷たかったから」
「見た目の印象や言葉遣いよりも、その人の本質のほうが重要でしょうね。真珠はそれを感じ取っているんでしょうね、無意識に。相手は嫌がるだろうから、そばには来ないかもしれないわね。ただ、真珠のことを誤解していたら、困るけどね」
「誤解?」
「段差のことよ」
「そう言われてもねえ、偶然だものね」
「そうね」と言いながら母は浮かない顔をしていた。




