ブルーオアシス3
「お前は結局、お祝いしてくれなかったな」と家まで送りながら言われて、
「なにを?」と聞いた。
「忘れてるな。誕生日だよ。結局、誕生日がいつなのかも聞いてもこなくて」
「聞かないといけないものなの? ライバルなのに」
「真珠は冷たいよな。これだけ尽くしていたら、普通はライバルでもくれるだろ。義理でもね」
「お金ないし」
「それでも心のこもったものを」と言いかけていたので、
「ああ、無理でしょ」と遮った。
「なんで?」
「あなたみたいなタイプって、値段で決めそう」
「何だよ、その著しい誤解は」
「え、だって、怜奈ちゃんや友達がそう言っていたよ。相手があなたみたいに高飛車で条件が良くて、モテたみたいで、値段で相手の愛情を測るんだって。その値段によって、デートしてくれたりするって言ってたよ。それ以外は捨てられたらしいからね。例えば手作りのマフラーとか手芸とか、そういうものが一番嫌がられるって、それで捨てられたか何かしたらしくて、泣いていた子がいたから」
「ふーん、そういうやつはいるよ。でも、俺は違うぞ」
「あなたの持ち物を見たら、説得力がないよ」
「これは親父の好みに合わせている。プロキオン、サバトのイメージダウンを嫌がるからだろ。だから、車もこれ」と簡単に言われてしまい、
「そういうものに囲まれているのが好きなんでしょう?」
「誤解だ。別にそこまでこだわりはないよ。機能が優れているものとか、デザインとか趣味に合うとかそういうこだわりはある。でも、値段にこだわりはないよ」
「そうなの?」
「デザインが俺に合っているかどうかのほうが重要だね。高価なものでも趣味が合わないと、一回使った後、人に譲ることにしているから」
「え、あげちゃうの?」
「趣味が合わないまま使い続けるのは、無理だよ。気分が下がっても困るだろ。占い師なんだから」
「ふーん。そういうものなんだ。意外」
「お前は俺を誤解してるな」
「元木さん、川尻さんの友達だから類友だと思ってた」
「説明しただろう。類友じゃないさ。あいつらは最近おとなしくしてる。俺にも近寄ってこないよ」
「へえ、どうしてだろう?」
「後ろ盾が危ないから、おとなしくしているだけだろ。視線も浴びるのは嫌だろうし」
「あれから、どうなったの?」
「ニュースで報道されている以外のことは入ってきてないよ。川尻の家になんて誰も行かないだろうからね」
「そう」
「何かあったら言えよ」
「分かった」
「それから、クリスマスは空けておけよ」
「嫌です」
「誕生日だって一緒に過ごしたかったのに」
「他の人とどうぞ」
「義理で、何人かと食事したり、プレゼントは受け取ったけどな。肝心の真珠ちゃんは俺に何もくれなかった」
「いらないでしょ。じゃあ、占いしてあげるよ」
「ごまかすな」
「いいじゃない。あなたも私を占ったんだから、私もやってあげるよ」
「何だか気持ちがこもってないよな」と言われて、
「いいじゃないの。ライバルなんだから」
「お前は俺のことを絶対に誤解してるよな」とため息をついていた。




