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Fortune-teller  作者: marimo
変わったお守り
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153/266

変わったお守り1

 雪人さんとは会っても、挨拶程度だったのが、あれから何度か話せるようになってうれしかった。雪人さんは特に前と変わらない態度でいてくれて、それもありがたかった。

 川尻さんも元木さんも結局、家には来なくて、

「ああいう人って、ああいうことになっても反省しないのかもね」と母が呆れていたけれど、

「関わりたくないから、いいよ」とため息をついた。

「真珠、どうしても占い師になるつもりなの?」と聞かれて、

「なりたいと思ってるから勉強中」

「霊感が無くなっても?」と母に聞かれて、

「どういう意味?」と聞いた。

「私も昔あったのよ。ひどく傷つくことがあって、しばらく占いができなかった。占えないってことは自分の価値も落ちてしまったように感じてね、自暴自棄になったから。真珠は勘が良くなったり悪くなったりの起伏が激しいでしょう? それにショックなことが起きたら、勘が鈍ったままになってしまう事態もありえるの。だから、堅い職業を選んでくれたほうが、私はうれしいわ」

「うーん、そう言われても。私、何もできないよ」

「今からでもいいから、別の職業も考えてみてほしくてね」

「興味があるからやってみたいし」

「大変なのよ。元木さんのときに気分が悪くなったでしょう? そういうこともありえるわよ。大丈夫?」

「そのときに考える」

「そう言うところは私に似てるわねえ」

「お父さんもそうだったよ」

「そうだったわねえ。おおらかで優しくてね」

「お母さん、辛い?」

「あら、なにが?」

「お父さんのことを私がこだわり続けているから、嫌なのかと思って」

「そんなことはないわ。あの人がいないことは確かに寂しいけれど、私はあの人を信じているから。だから、自分から心配をかけるような人じゃない。訳があると思っているからね」

「そうだね。お父さん、優しい人だものね。何の説明もなしにいなくなってしまうような人じゃない。お姉ちゃんは、貧乏が嫌だから逃げ出したって言ってたけれど」

「それだったら、違う方法を選ぶでしょうね」

「違う方法?」母はそれには答えず、

「自分がやりたいというならやってみなさい。ただ、困ったことがあったら相談しなさいね。自分で対処できないことっていっぱいあるだろうから」

「お母さん、強いね。東条さんが言えないようなことを川尻さんにズバッと言って、驚いた。逆恨みされるかもしれないのに」

「だって、言わないと納得できないのよ。ああいう人に屈したくないの、私。お店をつぶすようなことをしたら、絶対に許さないわ」

「お姉ちゃんとそっくり。強気だ」

「真珠だって、そうじゃない」と言い合ってから、ふと気になって、

「聖水って何?」と聞いた。

「聖なる水のこと?」

「それって、効き目があるの?」

「どういうこと?」と聞かれて、東条さんから聞いた話を教えた。

「ああ、それね。多分、あの人ね」と言ったので、

「なに?」と聞いた。

「ちょっと前から、噂にはなっているわ。割と顔のいい男らしいのよ。それで若い女の子が見た目にだまされるのか、言葉巧みに買わされるのか、ちょっと変わったものを売っているの。聖水は聞いてないわね。私が聞いたのは復縁ができるお守りとか、そういうものかしらね」

「それって、効き目はどうなの?」

「暗示の効果はあるかもしれないけどねえ。そこまでは無理でしょうね。お守りを持っていることで安心感や勇気を与えられて、それで力を発揮するってことはありえると思うの。ただ、それとの関連性は証明できないでしょうから」

「そう」

「どうかしたの?」

「私が動けないとか、訳の分からないことを言っていたから」と、神宮寺にあこがれていた子のことを教えた。

「そう、困ったわね。占いを金儲けにしてしまっているケースでしょうね」

「金儲け?」

「必要以上にお金を稼ぐってことよ。そういうのは困るわね。私たちまで言われてしまうから」

「そうだね。お金貯めないといけないな。また、バイトしないと」

「あら、またなの?」

「ここではバイト代が知れているだろうから、また、どこか別のところで」と言ったら、

「実はお客さんが何人か問い合わせがあったのよ」

「問い合わせ?」

「多分、宝陽の関係者だと思うわ。就職のことで相談したいって、何件か来ていたわよ。今は真珠は受付をしてないからと答えておいたわ」

「へえ、そうなんだ。なんでだろうね」

「あなたの場合はそういう人も増えるかもしれないわね」

「そういう人?」

「林、森の話は他の人にはしてはいけないわ」

「え、どうして?」

「言葉が浮かぶと言うのは珍しいケースだと思うから。私や秋さんはそこまでは浮かばないし」

「偶然でしょう?」

「そうでしょうね。でも、人はそう取らないわ。そういう不思議なことには人は寄ってくるものだからね。学校でも内緒にしてね」

「それは分かってるけれど」

「真珠はもう少し実力をつけてからじゃないとね」

「実力かあ。そう言えば、東条さん、相手の考えていることを、その様子から知ることができるって」と言ったら母が黙った。

「あれ、なに?」

「あの人、父親に似ているのね。だから、真珠にこだわるのかもね」

「どういう意味なの?」と聞いたけれど教えてくれなかった。

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