やっぱり、そっち3
「ターゲットを変えないと駄目だ。彼女が狙っているのは親が金持ち、本人が高給取りで将来有望のどちらかだろ。でも、それだと難しいかもしれないな。田舎の金持ちに変更したら、即、イケるかも」
「怒られると思う」
「土地持ちのマンション経営してるような親、でも、子供に甘くて、結婚に口出ししてこない男なら、いけると思う。ただ、干渉してこない親って言うのがネックだけど」
「なんで?」
「大抵は口出ししてくるから、それで相談されることが多くてね。占いでも結果が良かったことが少なくて」
「なんとなくは分かるけど。何で、ターゲットを変えないといけないの?」
「彼女が狙っているような人は身元をしっかり調べるからだよ」
「え?」と驚いた。
「相手が金持ちだと、心配があるから。でも、彼女は相手に自分の家のことは隠すか、もしくは嘘をついているだろうから」
「え?」とかなり驚いた。
「驚くことはないだろう。お前がさっき言っていたじゃないか。妹のことを駄目だしするって。お前のことを妹としてかわいいとは思ってないみたいだし、自分の家が嫌いなんだろう。だったら、家のことは隠していると思うぞ。本人は言いたくもないし認めたくないだろうから。そうすると相手にバレたら、そこで駄目になりやすいし、その前に彼女がお金狙いだとバレてしまったら、そこでおしまいだ。だから、中々難しい。自分でハードルを上げている分だけ難しいってことだよ。でも、お前はそういう部分にこだわらないから、それなりに縁はあるだろうなってこと」
「なんだか、びっくり。当ってる気がしないでもない。東条さんって、すごいね。姉と話したのは占いをしたときだけなのに、どうして分かるの?」
「雰囲気と態度、それから、相手の持ってるオーラと言うか、そういうのは感じる体質なんだよ、俺は」と言われて驚いた。
「へえ、意外だね。霊感はないんでしょ」
「ひらめきは弱いんだよ。イマジネーションはあるんだよ。相手が何を考えているかは想像できる。でも、これから起こることに関しての勘が弱い気がする。真珠はそこが強いから。だから、惹かれているんだろう」
「うれしくない。自分はとても優れていて、たった一つ足りないものを私で補おうとしているところに、不純さを感じる」
「ごめん。違うよ。確かに言い方が悪いんだろうな。この間、浅木に怒られた」
「え、どうして?」
「インスピレーションだけって言われたら私でも怒るって。言葉が足りないってさ。本当にそれだけだったら、もっと前に飽きてるって。でも、惹かれているのは、違う部分だろうって言われて、考えてみた」
「なにを?」
「真珠に振られたときに思った。インスピレーションだけの女性なら、何人かいたよ。でも、確かに全滅だった。性格が合わない、波長が合わない、顔が好みじゃない子もいたしなあ。でも、真珠は全部合ってるし」
「魅力がないと言っておきながら」
「悪かったよ。でも、そのときはそれなりにはかわいいと思ってた」
「それなりねえ」
「根に持ってるだろ。忘れてくれよ。謝るから」
「薄っぺらいね。謝ってもらっても、誠実さを感じないんだよね、あなたの場合は」
「お前は俺を誤解しすぎてる。雪人って人を基準にするな。あの人は誠実って言えば聞こえがいいけど、女性に興味なさそうだぞ」
「あんな美人の彼女がいるのに」
「うーん、俺はその人は知らないけど、雪人って人。その人と付き合ってなかったかもよ」
「だって、許婚って、自分で」
「あの人、鈍感そうだからな。一度、聞いてみろ」と言われて考えていた。
「考えてくれたのか?」家まで送ってもらいながら聞かれて、
「なにを?」と、聞いた。
「俺と付き合うことだよ」
「雪人さんとデートしろと言っておきながら、一方で誘う。意味不明な行動」
「違う。お前の中の幻想を壊さない限り、俺のほうを見てくれそうもないから提案しただけ。本音はデートなんてしてほしくないけど、そこから始めないと、俺とも始まらないから言ってみただけだ」
「なら、無理。幻想じゃないから。素敵な人だと思うし」
「お前はつくづく、そういう部分だけ駄目だな。それだと本当の占いはできないぞ。初恋を壊してからじゃないと無理だな」と言われてにらんだ。
「あなたと気晴らしして、ちょっと落ち着いたから言わせてもらうね。やっぱり、雪人さんが好きだから。あなたと付き合えない」
「お前は駄目だなあ。じゃあ、ちゃんとデートぐらいしてもらえよ。俺が言っている意味が分かるね」
「しない。あの人のことは大事にしたい。勉強が一段落したら誘ってみるけど、強引なことはしない。でも、あの人が好きだから、あなたとは付き合わない」
「お前は、これだけ俺がつくしても分かってないよな」
「インスピレーションのためでしょ。持ちつ持たれつでいいじゃない」
「さっきは嫌がっておいて、都合がいいやつ」
「あなたに合わせたの」
「はいはい。でも、俺も諦めないからな。真珠は特別だから」
「結構しつこいね、あなた。ライトで明るい人だと思ったのに。他にいくらでもいるでしょうに」
「いない、絶対に。それだけは言い切れるね」
「ふーん、なんだか良く分からない人だね」
「お前は鈍感なんだよ。霊感はあるのに、鈍感だ。そこを磨け。特に恋愛方面。神宮寺とデートしても無理かもしれないな。俺としたほうが絶対に早いと思うけど」
「無理」と言ったら、東条さんがため息をついていた。




