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Fortune-teller  作者: marimo
雪人さんの許嫁
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136/266

雪人さんの許嫁4

「何だか、占いも何もしたくない。家事もぼんやりしてできない」

「ふーん」東条さんがじっと見た後、シートベルトを引っ張って締めてくれて、

「そういう時はそのままじっとしてればいいさ」

「え?」

「占いができなくなるのは何人かいるよ。女性だと気分にムラがあるし、恋愛体質の女性は男に振られたり振り回されるとそうなってたぞ。霊感が強すぎて悪い気に当たって気分が悪くなって、体調まで悪くなる人とかいくらでもいたから。プロキオンでもね」

「へえ、そうなんだ」

「霊感が強い人はそういう状態になりやすいだけだろ。人並み以上に感覚が優れている分だけ、悪い波長も良い波長も受けやすいみたいだな。そういう人が前に働いていた。ただ、親父はその人にやめてもらうようにしてたけどな」

「どうして?」

「親父にとっては当たる人より、コンスタントにお客をさばいてくれる人のほうがありがたいんだろ。経営者なんだから」

「ふーん」

「俺はさすがにそういうのは割り切れないな。霊感、直感が強い人もいてくれたほうがうれしいからね」

「そう」言葉の意味も深く考えられなくて、適当な相槌を打っていたら、

「完全に駄目になってるな。お前は強いからかもしれないな。いいさ。今は休め。気分転換が必要だ」

「でも、学校の子に怒られた。占いができないのなら、意味がないって男子に裏で言われたし」

「ほっとけよ。利用したいと思ってるやつの言葉は聞くな。友達として心配している人の言葉だけを大事にしろ」

「え?」東条さんを見たら、

「熱は?」おでこに手を当てていた。

「ちょっとあるな。家に帰ったら休むんだ。家事もしなくてもいいさ。誰かしてくれるだろ」

「お母さんはしてくれる。お姉ちゃんはしてくれたことはない」

「そうだろうな」といいながら車をスタートさせていた。

「『家事は他の人がするものだ』と言いそうだ。初めて会ったときも、正直好きじゃない雰囲気だったから、早く帰したくて」

「そう」

「お前とは合わないだろうな。色々な部分が。でも、向こうはお前を利用はするだろうからな」

「利用」言葉をそのまま繰り返した。

「そういう人は諦めろ。文句を言ってきたり、利用してきたり、嫌なうわさを流す人はお前の力になってくれることはないから。俺は何度かそう言ってアドバイスしてきたよ」

「アドバイス」

「力になってくれるような人はそういうことはしない。人前でそういう態度は出さないように我慢してたりするからね。そういう人とのふれあいを大事にしたほうがいい。前にプロキオンにいた人に教えてもらったよ。かなり昔にね」

「昔」

「真珠。お前は今は何も考えなくてもいいから。ゆっくり休め」

「ゆっくり休む」と言って目を閉じた。


 雪人さんがお店まで来てくれて、待っていてくれたときに東条さんと一緒に家に入った。

「ああ、真珠ちゃん」と雪人さんが優しく、言ってくれた声を聞いて泣きそうになった。

「悪いけど手短に。真珠は熱があるから、早めに休ませてあげたくて」東条さんが教えていて、

「大丈夫?」と優しく聞いてくれて、かろうじてうなずくことができる程度で、泣きそうだった。

「この間、ケーキを持ってきてくれて、お礼を言うのが遅れたからね。知り合いが来ていたので」

「許婚だそうですね」と聞いたら、

「え、ああ、それは親が言っているだけだよ。彼女は何度か家に遊びに来てくれた子だから。親が冗談でそう言っているだけで」と、ごまかしていたけれど、まんざらでもなさそうにも見えた。

「ありがとう」と言ってくれて、何とか頭を下げた。

「恋人なのか?」東条さんが更に突っ込んで聞いたら、

「いや、家に何度か遊びに来てくれて、一緒に勉強はしていたけれど」と雪人さんが答えていたけれど、多分、恋人だろうなと思った。綺麗でかわいらしくて、雪人さんにお似合いだった。

「ふーん、合格祝いだったんだろ」東条さんがぶしつけに聞いていて、

「え、ああ、真珠ちゃんに聞いたんだね。そう。地元の大学院に行くことになったからね」

「そうか、おめでとう。じゃあ、地元に戻るんだな」

「そうだね。真珠ちゃん、ありがとう。お大事にね」と言ってくれて、頭を下げた。

 雪人さんが出て行ってから、

「あの人は諦めろ」と言われて涙が出てきた。

「たとえ、好きになっても、相手がいるのでは難しいぞ」

「でも」

「気分転換にどこかに行こう。遊園地でもおもちゃ屋でも付き合ってやるし」

「嫌」

「冗談だよ。カラオケでもいいぞ。俺がラブソングを歌うと女の子がうっとりと聞いてくれて

「笑えない」と言って、涙が出てきそうで、うつむいた。

「じゃあ、アニメソングだったらいいだろ。俺はヒーロー物が好きだからな」といくつかヒーローの名前を挙げていて、

「なに、それ?」

「それぐらい常識だろ」

「知らない、見たことない」

「お前、そういう常識ぐらい知ってろ。占い師だろ」

「年代の違いじゃないの?」

「違う。お前が知らないだけだ」

「そうかなあ?」

「じゃあ、お前の年代に合わせてやるから」

「高飛車だね」

「元気出せよ」と言ってくれて、東条さんがいてくれて良かったのかも知れないなと思った。雪人さんの顔がまともに見られなくて、こういう人でも励ましにはなるかもしれないと思った。

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