雪人さんの許嫁3
学校に行ってから、かなりの数の子に、占いを頼まれたけれど、
「カードを置いてきた」と言ったら、
「クリスマスはどうしてくれるのよ?」「新しい彼氏ができそうなんだけど、大丈夫か占ってほしかったのに」とぼやかれた。
「ごめん」とぼんやりしていたら、
「ごめん、真珠、今、スランプだから」と怜奈ちゃんが代わりに謝ってくれた。
「霊感女が、霊感無くしたら、ただの高校生だ」とからかってくる男子がいたけれど、
「いいだろ、それで。お前だって同じだろ」と神宮寺が怒っていて、
「なんだと」とにらみ合っていたけれど、相手は背が低かったので、神宮寺には勝ち目がないと見たのか、私に暴言失言を浴びせかけた後に、逃げるようにして行ってしまった。
「あいつらは」神宮寺が怒ったら、そばにいた鴻上さんが、
「あれは、怜奈ちゃんに相手にされない腹いせをしているだけだから、ほっときなさいよ」と言ってくれて、
「だとしても、言いすぎだ」神宮寺が心配そうに私を見ていて、
「ごめん」と謝った。
「大丈夫か? 本当に。家まで送っていこうか?」神宮寺が何度も言ってくれて、
「勉強があるでしょ」と言った。
「真珠のほうが心配だろ。元気がないのは心配だから」
「占いができないだけだから、大丈夫だよ」
「占いなんてできなくても真珠は真珠だ。何も変わりないからな」
「ありがと」
「気にしなくてもいいさ。確かに占いをしてもらいたいって、安易に思ってるやつらは怒ってるかもしれないけど、お金を払っても占ってくれと言うやつ以外はほっとけ」
「そうだね。怜奈ちゃんにも言われた」東条さんの言うとおり、家にまではそういう人は来ない。文句を言うのはそういう人が多かった。
「何だか、疲れただけ」
「大丈夫なのか?」と聞かれても、思いを告げることもできないまま、不完全燃焼って、何だかやりきれないなとぼんやりしていて、
「ちゃんと帰れるか?」と聞かれて、うなずいて手を振って別れた。
ぼんやり歩いていたら、何人かが、肩を叩いてくれたりして、挨拶だけしていた。そのうち、
「おい」と言って、目の前に人がいるのに気づいて、
「あれ?」と相手を見上げた。東条さんがこっちを心配そうに見ていて、
「いたんだ?」と言ったら、
「お前は、なんで気づかないんだ? 車から何度か呼んだけれど、クラクションも聞こえなかったみたいだな」
「魂が抜けてるから」とだけ答えた。
「『気』が弱いな」と言われて、
「いいから、車で送ってやるよ。注意力が散漫すぎる。それでは倒れると危ない」
「大丈夫」
「パワーがゼロに近い状態だろ。占い師としても学生としても危ないから、一人では帰せないよ」
「そう言われても」
「なにかあったのか?」車に乗せられてからぼんやりしていたら、
「シートベルトを締めろ。絶対に気が抜けてるな。どうかしたのか? 雪人さんとなにか?」雪人という名前が聞こえたら、ビクッと体が反応してしまった。
「お前」東条さんがじっと見ていて、
「東条さん、失恋ってしたことがある?」
「失恋? ないよ」
「そう」と横を向いた。




