↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fortune-teller  作者: marimo
雪人さんの許嫁
PR
134/266

雪人さんの許嫁2

「真珠は?」姉が帰ってきてから聞いて。

「部屋に篭ってるわ」と母が答えた。夕食用のおかずが少なかったので、

「ご飯、これだけなの?」と姉が怒っていて、

「しょうがないでしょ。あの子、夕方からケーキを作って、遅くなって、ケーキを届けてから残りを作る予定だったみたいだけど……」と言って母が困っていた。

「嫌だあ。言ってくれたら、外で誰か捕まえて奢らせたのに。もう」

「輝子、たまには自分で作りなさい」

「嫌よ。手が汚れるし、面倒だもの」

「いったい、誰に似たのかしらね。わがままで家事はしないし」

「いいじゃない。友達は誰もやってないわよ。普通は親がするものでしょ」

「他の家は、他の家でしょう。我が家はこういう事情なんだし、姉なんだから、たまにはやりなさいよ。結婚するつもりなら、特に」

「お金持ちと結婚するから、必要ないでしょ。覚えてもしょうがないし」

「真珠にばかりやらせているから、お嫁に行けそうもないわね」

「それはあの子でしょ。もっと、綺麗にしたらいいのにね。あの子、ちっともかわいくないから、そばにいたくないし」

「輝子」母が怒ったら、

「友達に恥ずかしくて見せられないよ、この家は。あーあ、もっと、いい家の子供に生まれたかった。真珠も何年も同じような服を着て、髪型も気を使わないしねえ。私に似れば綺麗だったのに。恥ずかしくてお母さん以外は紹介もできないわ」

「輝子、妹なのよ。家事もやってもらって、そういう言い方は」と母が怒っても、姉はさっさと行ってしまった。


 熱が出て、母がおかゆを作ってくれた。

「熱を出すほどなのね」と母が心配してくれたけれど、

「前も出たから、一緒だね」とぼんやりしていた。

「一度、おじさんのところに遊びに行きなさい。気分転換したほうがいいわ」

「お店の手伝いや家事は?」

「しばらくはそれなりで」

「お姉ちゃんは絶対にやらないだろうね。手が汚れるって人だものね」

「あの子の場合は諦めたほうがいいわ。妹に対しても、優しさが足りないわね。甘やかしすぎたからいけないのかしらね」

「父親が強く言えていたら違うって、近所のおばさんに何度も怒られた。お姉ちゃんの評判、この辺りではいまいちだからかなあ」と、熱にうなあされながら、ゆっくりと言った。

「そうねえ、何しろ、お見合いの話もあなたにばかりで」

「はあ?」と母が言っている意味を考えた。熱でぼんやりしていた。

「お見合いって?」

「真珠にどうかと話を持ってくる人がいるのよ。お客さんも、近所の人も。真珠は家事をやってくれて、やりくりもしてるのはみんな薄々気づいているから、それででしょうね。でも、年上だと言うのに輝子にはないのよ」

「綺麗なのに?」

「そういう話を持ってくる年配の人は、美人かどうかより気立てなのよ。家事をやらないような美人より、明るくて気立てのいい女性のほうがお嫁さんとしては安心でしょ。年配の人はそういうところをちゃんと見ているものよ」

「はあ」とぼんやりしていた。親が薦める相手、綺麗な人、かわいらしくて、雪人さんにお似合いでと考えて、涙がちょっと出てしまい、

「少し寝る。ごめん」と謝った。

「体質は私に似ているわね。真珠はお父さんに似て優しい子なのにね。大丈夫よ。たまにはゆっくりと休みなさい」と言われて目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。