雪人さんの許婚1
雪人さんのところにケーキを持って行った。ちょっと、「遅くなったけれど、いるかな?」と思ったけれど、チャイムを押したら、
「はい」女性の声がして驚いた。中から出てきた人は、ほっそりしていて、かわいらしくもあり、綺麗な人で肌の色が真っ白だった。背はかなり低い。平均身長よりちょっと低めの私より、更に低かった。
「あ、あの」と戸惑ったら、
「どなたですか?」相手が優しく微笑んでいた。雪人さんの雰囲気に似ていて、ひょっとして妹さんなんだろうかと思って、
「あの、篝里さんは?」と聞いた。
「ああ、雪人さんですか?」
「ちょっとお買い物に。どちら様ですか?」と聞かれて、仕方なく、
「近所に住んでいるものです。お祝いを持ってきたから」と言って、お皿を前に出した。
「あら、喜びます」
「あの、家族の方ですか?」どうしても気になってそう聞いたら、
「いえ、違います」と笑って、
「小さいころから仲良くしていました。同郷の者です」と言われて、驚いて相手を見たけれど、相手ははにかみながら、
「雪人さんが合格したので、そのお祝いを持って来ました。ご家族にも様子を見てきてくれるように頼まれましたし」
「え、あの」
「家の人たちとも仲がいいんです。将来結婚したらとまで、言われていますけれど、許婚というか、まだ、早いと思っていますが、えっと、それで、どうしましょうか?」相手が私の様子に気づかずに微笑みながら話していたけれど、私のほうを見たので、慌てて、取り繕った。
「これ、お祝いです。篝里さんに渡してください」と言って、渡したら、
「まあ、美味しそう」と無邪気に言われてしまったけれど、
「じゃあ、これで」と頭を下げて、そこから立ち去った。とても、話していられなかった。




