価値観の違い2
学校でぼんやりしていたら、男子がそばに来て、
「占いしてくれよ」と頼んできた。
「無理。しばらくは休業」と断った。あれ以来、カードを怖くて触れない。あの不安があまりに怖すぎる。あの後に起こったことも怖かったけれど、それ以上に怖くて、カードはハーブのお香で浄化をして、その後、水晶をいくつか並べたケースの中に置いてある。気を静めるために、我が家では水晶やハーブ、お香などが用意してあって、何か良くないことがあったら、そこにカードなどを収めることが多い。母がそうしているから私も同じようにしている。母はお店の見えない位置にお塩を盛っていたことも何度かある。良くない波長のお客さんなどが来た後、そうすることが多い。
「何だよ、お店じゃないと無理か?」と聞かれて首を振ったら、
「悪いけど、また、今度にしてあげて」怜奈ちゃんが優しく微笑んだら、相手がまんざらでもなさそうにして行ってしまった。
「上手だね。私、愛想笑いの練習から始めようかな、あいつみたいに」
「無理でしょ。そういうので嘘が見えたら、それも困るでしょ。真珠はそのままのほうがいいよ。気分によって占えないのに、無理することないよ」と怜奈ちゃんが言ってくれてうなずいた。母もそういう日がある。女性だからと言うわけではなくて、そういう血筋なのかもしれない。
「また、占えるようになれるよ」東条さんが気分転換をしてくれて、それで少しは気がまぎれたところがあるけれど、でも、東条さんに電話をしそびれている。どうしても、謝れないし、お礼が言えない。あの人には素直に言えない。
「相性って、あるね」
「相性ねえ。それはあるでしょうねえ」怜奈ちゃんがしみじみ言ったので、
「男の人で『合わないな、この人』と思った場合って、どうする?」
「東条さんと喧嘩でもした?」と聞かれてうなずいた。
「喧嘩って、実は仲が良くないとできないものなんだよね」
「え、反対じゃないの?」
「相手に、興味がなかったり関心がなかったりしたら、しないよ。関わりたくないほど嫌いだと逃げるほうがいいし」と言い切られて、確かに姉とはそれほど仲が良くない割りに喧嘩をあまりしなくなった。というか、私がいつも諦めてしまう。姉はわがままで自分のことを何でも優先する。私の私物もいつの間にか使っていたりして、抗議しても聞いてもいない。興味も関心もなさそうで、「勝手に言ってなさいよ」と横を向いて聞いてない。家事を手伝ってくれるように言っても、「そのうちね」と言ってやってくれたことはほとんどなかった。そのうち、私が諦めた。姉は休日もバイトで忙しいと言って遊びに行っていた。おこづかいが少ないからとぼやいてばかりいて、今現在も家にはお金を入れてくれない。全部、自分で使っている。「そのうち、いい男と結婚するために必要だから」と言い切っていた。父や母が怒っても聞いてもいなかった。
「お金持ちの家に生まれたかったと思ってる人って、お金を持てるようになったら、優しくなるのかな?」
「さあね。無理じゃないの。優しさが足りない人で、その部分が増えるケースに出会ったことがないよ」そうかもしれない。姉の場合は結婚しても打算的なままかもしれない。東条さんが言ったとおり、結婚するのも難しいかもしれないな。たとえ、相手が見つかっても、反対されているからと、占いで相談に来ていた人が何人かいた。姉の場合も、きつい性格だから難しいかも。
「家柄って違いすぎると難しいかな」
「いいんじゃないの。結婚するわけじゃないケースなら、恋愛を楽しめば」
「なるほどね」としか言えなかった。母のように割り切れたらいいけど、東条さんとは考え方が違いすぎる気がする。あの人とは付き合えそうもない。価値観が違いすぎる。
「神宮寺と付き合うの?」と聞かれてため息をついた。あれから、神宮寺は何も言ってこない。多分、色々あったから気を使ってくれているのかもしれない。
「何だか、考えられなくて」
「雪人さんには?」
「それがあったね。大学院のほう、どうなったんだろう?」
「聞いてみたら。相手の様子を見てからね」と言われてうなずいた。




