やらせの首謀者6
この章は、子供が読むには問題があるシーンが出てきます。あらかじめご了承ください。
「お父さんがお金持ちで有力者とつながりがあるから逆らえない人が多いそうよ」と言われてしまいうつむいてから東条さんを見た。
「ごめん」また謝ってくれたけれど、怖くなった。何だか、聞きたくなくて、
「ごめん、お風呂に入ってくる。その後、ちょっと横になるね」
「大丈夫か」立ち上がったら、東条さんも立ち上がっていたけれど、
「大丈夫」と言って、家の奥に入った。東条さんがずっと見ていたので、
「さっきは悪かったわ」と母が謝った。
「あなたに怒るなんて、どうかしてたわ」
「いえ、僕と関わったばかりに真珠さんを傷つけてしまいました。申し訳ありません」
「あなたは父親とは違うみたいね」と言ったら、東条さんが苦い顔をしていて、
「あら、お父さんが嫌なの?」
「僕にとって父はライバルと言うか、そういう感じですね。あの人よりは有名になりたい負けたくないと思っていた時期もありました」
「そう」
「でも、やめました」
「あら、どうして?」
「真珠さんを見ていたら、自分のそういう気持ちは間違っていたのかもしれないと思える。彼女は正直で、まっすくだ。お客さんのことを第一に考えてあげられる」
「そう」
「僕は彼女と付き合いたいと思っています」
「あなた」と母が驚いて東条さんを見た。
「もちろん、彼女には断られました。嫌がっています。でも、僕がそういう気持ちを持っていることを知ってもらいたかったから」
「あの子は」と母が言いかけて、
「多分、あなたとは合わないわ」
「どうして?」
「あなたとは違いすぎるから」
「でも、それが魅力でもあるでしょう? 荒削りだけれど、まっすぐで直観力がすぐれていて」
「ああ、違うのよ。あの子とあなたでは住む世界が違うわ。持ち物も車も我が家とは違いすぎる。あなたと合うとは思えないわよ。お金を持たない人の気持ちが分かるとは思えなくて」
「お客様は普通の女子中高生がいくらでもいました。そういう人の感覚も知っていないと占いはできません」
「ごめんなさい。そうよね、あなたはあの人と違うものね。どこかで混同してしまう」
「父と何かあったんでしょうか。父が失礼なことでも」
「昔のことだから。それにあなたには関係ないわ」
「父は野心家で虚栄心が強く、のし上がるのに、色々と犠牲にしてきたものがあるかもしれない。何度か女性になじられている現場は見てきています。父に代わって謝ります」
「いいのよ、あなたには関係ないのだから」
「いえ、一度ちゃんと謝っておきたくて、真珠さんともちゃんと付き合っていきたいと思う。占いでも恋愛でも」
「あの子はまだ子供よ。あなたは今、大学生でしょう?」
「年は離れていますが、でも、僕は彼女が好きですから」東条さんがはっきり言ったので、
「あなたって、やっぱりお父さんに似ているのかもね」と呆れていた。




