やらせの首謀者5
この章は、子供が読むには問題があるシーンが出てきます。あらかじめご了承ください。
私はそのままの服装だと気分が悪かったので着替えてくることにして、東条さんが母に色々と説明をしていた。彼らの父親の存在や今までの素行など、
「それだと泣き寝入りしろってことなの?」母に聞かれて、
「彼らに嫌がらせを受けた生徒は大勢いるようです。彼らに苦情を言った後に、その家族がひどい目にあったと言う噂は流れています。本人は口をつぐんでいるので確かめようがありません」東条さんにそう言われて母が何か言いかけて、やめていた。
「僕は彼らとの付き合いをやめたほうがいいと思い始めて、それで距離を置くようになりました。彼らの誘いを何度か断っていました。彼らが僕を呼ぶのは一緒に飲んでいる女性を喜ばせるためです。余興として楽しむために僕を呼びつけたことも何度かあります。何回かは応じてきました。全部断ることはできなくて」
「どうしてって、聞かなくても分かるわね。嫌がらせをお店でやられたり、変な噂を流されても困るわよね。お互い客商売なのだから」
「そうですね。プロキオンの女性を紹介しろと言われたこともありますが、そういうことは断っていました。真珠さんにまで手を出したのは、多分、今日のイベントのことと関係があるかもしれない」
「イベント?」
「やらせがあったんです」楽な格好に着替えた後、私は母と東条さんがいる、元カフェがあったところに行った。
「お前も聞いてもらったほうがいいかもな。あいつらがしたことを」何だか怖くなり母のそばに座った。
「大丈夫よ」母が言ってくれたけれど、東条さんが説明していた。やらせがあったこと。そうして、原西さんと元木さんがつながっていて、やらせたのではないかといって、
「え、原西さんが首謀者じゃないの?」
「持ちかけたのは、多分、元木のほうだと思う。元木は裏で賭けていたらしいから」
「賭け?」
「そう、何人かの男子学生に持ちかけて、賭けをしていたようだ。だから、やらせを持ちかけた。原西と司会者は一緒に飲んだのか、弱みを握られたかしたんだろう。清水はそういうことにうるさいから話を通さずにやったけれど、露骨過ぎてバレてしまった」
「露骨?」母が私を見て、
「そうだっけ? 何しろ緊張しすぎてそこまで見てなかった。でも、相談者の女性の様子がおかしいのは分かったよ」
「仕込がひどすぎたな。普通は両方にそれなりに拍手するんだ。あそこまで露骨に分かれることはない。両方拍手する人がいるものだからね。ところが、かなり露骨に違ってただろう。あれは会場の人にあらかじめ、拍手は俺のほうだけにしてくれるように何人かに言ってあったことと、俺のファンも混じっていたからやっかみもあったんだ。男子学生はお前に拍手したかった人もいるはずなのに、前のほうでかなり大きく叩いていた男子学生がいただろ。あれが元木だ。元木はわざとみんなに見えるように頭の上で大きく叩いていた。それを見て、何人かは叩くのをやめたんだよ」
「どうして?」
「お母さんには説明したよ」母がうなずいていた。




