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Fortune-teller  作者: marimo
宝葉祭
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114/266

宝葉祭4

「悪かったよ」後ろから東条さんが言ったけれど、

「二度とやめてよ、隠し事。気分が悪い。ただでさえ緊張してるのに、こういうことをされるのは困る」

「分かってるよ。ただ、言い出せなくて」

「嘘をつくな」振り返ってにらんだ。

「嘘じゃなくて」

「直前に、逃げられない状況にしておいてから言うつもりだったのは、見え見えなの」と怒ったら、やはりそのつもりだったらしくて、動揺していた。

「やっぱり」と言いながら歩き出した。

「これが終わったら、お詫びで何でもするから」

「しなくてもいい。会いたくない」

「いや、さすがにこのままじゃ駄目だろ。占う前に気を落ち着けてもらわないと、俺も困るし」

「怒らせておいて、よく言うよ」

「そこまで怒るとは思わなかったんだよ。瞬間湯沸かし器みたいだな、お前」

「火に油を注ぐ馬鹿」と言ったら、

「あ、えっと、訂正するよ」とおろおろしていて、さすがにその態度が滑稽だったので、あほらしくなり、

「ほら、行くわよ」と言った。

「完全に尻にしかれるだろうな、あれだと」清水さんと原西さんが近くで言って、浅木さんがそれを聞いて笑っているのには気づかなかった。


 私たちの直前にイベントが遅れているらしくて、メイクや着替えに手間取っていたけれど、何とか間に合いそうだった。

「おーい、後、どれぐらい?」と怒鳴りあっていて、

「誰か、照明のチェック。音楽のほうは?」と聞いていた。

「照明、何とかなりそうです」と答えていて、

「バタバタしてますね」とメイクをしてくれている浅木さんに言った。今日は、着替えた後にメイクをしていた。

「真珠ちゃんは髪を伸ばしたほうが似合うかもしれないわ」と、浅木さんに言われたけれど、

「変えたくないんです」

「あら、どうして?」と聞かれて黙った。中学校のときは髪の毛や服装の規定がうるさくて、そのころから髪型をほとんど変えていなかった。本当は伸ばしたかったけれど……、

「かわいいと思うわよ。髪形を変えただけで印象がかなり変わるもの」

「浅木さんみたいにメイクをしなくても綺麗だったら良かった」

「あら、真珠ちゃんはきっと髪型だけでかなり変わると思うけれど。尚毅がうれしそうに何度も見ていたのもそのせいね。メイクだけの力じゃないから。舞台用のメイクと言っても、昼間だし、お客さんが近いからそれほど厚塗りにはしてないし」

「でも、別人になれるものなんですね。驚いた。姉は小さなころからそういうものに興味津々で、休日などはおしゃれして出かけていたけれど、私はそういうのはしてこなかったので」

「あら、そうなんだ」

「姉は派手な顔で美人なんです。私はかわいいと言われても美人とは言われたことはなくて」

「人にはそれぞれ個性があるからね。美人と言われるよりかわいいと言われるほうが私はうれしいわ」と言ったので驚いた。

「え、どうして?」

「そうね。近寄りがたいイメージって、困ることもあるから」

「そうなんですか? それだけ綺麗だから、そういう方面での悩みはないかと思った」と言ったら優しく微笑んで、

「人それぞれね、気になるところはあるものよ。私もこういう風だったらいいのにと何度か思ったから」

「えー、それだけ綺麗なのに」

「でもね、自分は自分。他の誰にもなれないから。だから、自分を大切にしたいと思っているしね」

「素敵ですから、そのままでいいです」

「じゃあ、真珠ちゃんも同じね」と笑ってくれて、やっぱり綺麗でいい人だなと思った。

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