宝葉祭3
「最初に言えばいいでしょ。内緒にするのは後ろめたさがあるだけじゃない」
「違う。そのほうがぶっつけ本番で面白いかと」
「言い逃れよ。嘘つき。そうやって、ごまかしてばかりいるんでしょ。嫌い」
「き、嫌いって」東条さんと言い合っていたら、原西さんがやってきて、
「いいじゃない。面白いよ、絶対に楽しくするからね」と笑いかけたけれど、
「そういう問題じゃない。こういう大事なことを内緒にするような人とは一緒に出たくありません」と言って、にらんでいたら、
「もめてるな」そばに誰か寄ってきた。清水さんが来て、説明してくれたけれど納得できなくて、
「ただでさえ緊張してるのに、そういう大事なことを内緒にされて」東条さんをにらんで、
「今更、変更は無理だよ。打ち合わせ済み」原西さんが簡単に言ってくれて、
「私は打ち合わせしてない」とにらんだら、逃げていった。
「真珠ちゃんに説明しなかったのはそのほうが面白みが出るだろうと提案されて、ごめん」清水さんが謝ってくれたけれど、
「怒るなよ。そう言い出すだろうと思ってたから、それで言い出せなくて」東条さんがそう言い訳したけれど、
「知らない」と言って歩き出した。
「どこに行くんだよ。みんなが用意をして待ってるんだぞ」
「勝手にどうぞ」
「無責任だ」
「無責任なのはどっちよ。そういう大事なことを隠して何が面白いのよ。最初にちゃんと説明するべきでしょう。そういう部分を省いて、直前まで隠しておいて、『はい、どうぞ』と言われて納得できますか」
「それでも責任があるだろう」
「あなたのそう言うところが嫌い。相手がそれで渋々従うと思ったら大間違いよ。こんな気持ちで占えると思ってるの?」
「それでも占うのがプロだろ」東条さんが言い切って、かなり歩いたので、みんなの位置からは離れていた。
「あなたとは違う。私は心が安定していないと占えない体質なの。何度もそう言ってあるでしょう」
「それは誰だって同じだろ。でも、こういうことに参加するって決めたんだから、それなりで」
「それなりで占えるわけないじゃない。いくら見世物だからって、本気が出せない状態でやれって言うの」と言い合っていたら、
「喧嘩してるよ」冷めた声がしてそちらを見たら、東条さんの良くない友達が何人かいて、
「元木」東条さんがそう呼んでいて、
「逃げる気なんだろ。怖気づいたわけだ」元木と呼ばれた人がほくそ笑んでいた。やっぱり好きじゃない、この人たち。みんな馬鹿にするような顔をしていて、奥にいた人が、
「それだけの器だっただけだろ。その辺の美人を掴まえて出しておいたほうがマシかもな」と言われて、にらんだら、
「おお、怖い」茶化すように笑っていて、
「やめてくれ」東条さんが止めていた。
「お前の女、駄目だな。まだ、子供じゃないか。そんな子供に何ができるって言うんだよ」元木さんが私を馬鹿にするように見ていて、
「確かにな」そばにいた人たちが笑っていた。
「怖気づいた子どもをステージに出したって、たかが知れてるだろ」
「やめてくれ、川尻」奥にいた人に東条さんが言った。
「逃げるんだろ」元木さんが私に言って、私がにらみ返した。
「じゃあ、戻れよ。せっかく、楽しみにしてるんだから、なあ」元木さんがそばにいた人たちに聞いていて、
「そうだなあ」と馬鹿にして私を見ていて、
「出たらいいんでしょ」と言ったら、
「さすがに子供でも分かるらしい」と言われて面白くなくて、そこから離れた。
「せっかくの計画が台無しになるところだ、危ない危ない」と元木さんが言っているのは気づかなかった。




