敵の本拠地2
「親父の様子も変だった。昔、何かあったみたいだ。ロミジュリだな、俺たち」
「恋人じゃないから、例えが違う」
「恋人になる予定だからいいだろ」
「嫌です」
「この間のことは悪かったよ。反省してる」と言ったので驚いた。ちょっと真面目な顔をしていた。
「でも」
「学園祭が終わったら、ちゃんと付き合ってくれないか?」と言われて驚いた。
「え、でも、遊びの付き合いは私はできないから」
「最初から、そういうつもりはないよ。お前は別だから」
「どういう意味よ。インスピレーションなんて、人に与えてあげられるほど、強くないよ」
「お前……」と言ってから、黙った。
「だいたい、動機が不純よ。人から簡単に与えてもらおうとするところがおかしい。そういうのは自分で磨くものじゃないの? お母さんの知り合いの占い師は山に篭って滝に打たれるんだって、年に一回しているみたい。断食をする人もいるって聞いてる。瞑想とか、他にも色々方法はあるでしょ。女性に求めるなんて、安易よ」
「ごめん。利用するつもりじゃなかったよ。ただ、誰だって運の強い人、パワーの強い人には惹かれるし、そばにいたいものだろ。そういう人のそばにいるだけで元気になれるし、エネルギーを与えてもらえるからな。パワースポットみたいなものだよ」
「パワースポット?」
「気が満ちているような場所のことだよ。風水的にいい場所とか、心が安らげるような場所とか、神社とかいろいろあるだろ。そういうところに行って、心をリセットしたり、気を充電したりするのと同じだと思うけれど。お前、そういう人に出会ったことはないのか?」
「何人かいるけどね。母の知り合いでとても明るくて強くて優しい気をまとった人に会ったことがある。ずっとそばにいたくなるぐらい素敵な気分になれたよ」
「じゃあ、それと同じだよ。俺はそばにいる女性にそういうものを求めていただけだ。本命にするならそういう女性がいいと思っていたし」
「それが理由なの?」
「ああ、誰だって暗い女性より明るい女性のほうがいいだろ、慰めてばかりいるより、一緒に笑い合えるような女性のほうがいいし、力を与えてもらえるような女性のほうがいいし」
「何だかごまかされている気がする」と言ったら、笑い出した。




