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「兄様、勝ちましたよ!!!」
「あ、ああ…あの程度の相手なら、ルナなら余裕だろう。」
「そんなことありませんよ。」
「そうか…」
ルナは笑っているが、目があんまり笑っていなかった。どこかで、返事を間違えたようだ。
(どこだろうか…)
「ウラド様、私も行ってきますので、応援よろしくお願いしますね?」
ちょうどいいタイミングでセレナが話しかけてきた。
「ああ…応援するよ。」
ルナの時は間違えたので、セレナの時は間違えないようにした。
「はい。」
はい、と答えたが、上目使いで全く動こうとはしない。何かを訴えかけていた。
さすがのウラドも何をすればいいのかを理解した。
頭を撫でながら、「頑張れよ。」と言った。
「はい!」
セレナは途端に明るい顔になり、ステージに進んでいった。
「相変わらずのたらしだね〜」
「ホントに」
「なんで、あんなにいろんな子からモテるのか、疑問だね。」
「俺は姉ちゃんに報告しないと…」
最後に危なそうな発言があったが、今は無視をした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「まさか、王女殿下が最後だとは思いませんでした」
「そうなんですか?」
「ええ…ドレッド家としてはあいつと戦いたかったんですけどね」
「私が戦っても、ウラド様が戦っても結果は変わりませんよ。あなたが負けて」
「それはないですよ」
「入学試験の時にすでに負けてるじゃないですか」
「あれは油断したからだ!」
「油断は実戦においては死を意味すると、ウラド様が言っていましたよ?」
「くっ…まぁ、これから戦えば分かることだ。ドレッド家の方が強いということをな」
「それはないと思いますよ。ニュクシオン家の方が優秀な方が多いですよ」
「もう、試合前の挑発は終わりでいいか?」
審判の先生が話を中断するために、割って入ってきた。
「はい」
「俺も大丈夫ですよ」
「じゃあ、始めるぞ。はじめ!!!」
「ホーリーランス」
ルイスは闇属性では防げないことを理解しているため、防御は捨て、身体強化で回避をしている。
「闇よ…貫け、シャドウランス」
「光よ…私を護れ、シャインバリア」
ルイスが放ったシャドウランスはシャインバリアに防がれた。やはり、闇属性は光属性とは相性が最悪なので、簡単に防がれてしまう。
「くっ…やはり、相性が悪いですね」
「そうですね…」
「カイル、第一形態変化」
ルイスの第一形態変化は大剣のようだ。
「セリア、第一形態変化」
セレナは弓を出した。
「光よ収束しなさい」
セレナが弓を構え、放つと、矢はホーリーランスの数倍の威力でルイスに向かっていった。もちろん、速さも桁違いだ。
ルイスは身体強化で回避するのが大変で、攻撃をする余裕がないようだ。
「闇よ…敵を穿て、シャドウバレット」
セレナはシャドウバレットに向かって矢を放った。セレナが放った矢はシャドウバレットを打ち消した。
この行為はルイスが放つ中途半端な攻撃なら、防がずに矢で打ち落とせばいいと言っているようなものだ。
セレナの第一形態変化の面倒なところは弓ということで連射が可能なことだ。しかも、セレナの魔力が持つ限り、放ち続ける事が可能だ。しかも、籠める魔力を抑えれば、セレナは王族なだけあって、一時間くらいなら、余裕だ。
「光よ…収束しなさい」
「なっ⁉︎」
セレナが大きめの矢を放つと、ルイスの手前で複数に分裂した。
「シャドウバリア!!!…ぐぅぅぅ」
急所はギリギリ防いだが、何本か、生身で食らっていた。
「光よ…収束しなさい」
次は3本の矢を作った。まず、1本をルイスを放った。すると、先程と同じようにルイスの手前で複数に分裂しらルイスは身体強化だけでは回避ができないので、やはり、急所を外して防ぐしかない。すると、2本目を上に放ち、すかさず、3本目をルイス放った。ルイスは1本目のダメージの反動で動けないでいるので、3本目はちゃんとした防御を出来ずに、モロに食らった。それでも一応防御を出来たようで、なんとか意識は持っているが、そこへ、上に放った2本目の矢がルイスの上空で分裂して、ルイスに降り注いだ。
「そこまで!!!」
セレナの完全勝利の形で終わった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「エゲツないな…」
ドイルが呟いていた。こればっかりは俺も同意見だ。
「誰に似たんんだろうな…やっぱり、女の子だから、父親に似たのか?」
「いや、少なくとも父上は模擬戦とかではトドメを刺したりはしないよ。おそらくはセレナは母上に似たんだよ」
「確かにあの王妃なら、やりかねない…」
「ウラド、本人がいないからいいけど、よく陰口でもそんなことが言えたね…」
「俺の感では、ほぼ確実に王は王妃に逆らえないな」
「確かにそうなんだけどね…」
「妹とかもそうなのか?」
「そんなことはないよ。次女はかなり、おとなしいよ。三女は王宮を走り回ってるから、父上に似たんだろうね。そういえば、ウラドが誕生日に来てくれなかったから、妹が泣いてたよ?」
「マジか?」
「うん」
「今度、ウチに連れてこい」
「えーと…ウラド、急にどうしたの?」
「何がだ?」
「ウラドがそんなに優しいことを言うなんて…」
「失礼な。俺は自分よりも年下のやつには優しいんだよ」
「そんなことはないと思うけど…ドイルがあんな目にあってるじゃないか」
「あれは同い年だろ?」
「生年月日的に言うと年下だけどね…」
「生年月日は無視だ」
「やっぱり、ウラドは変わってないね…」
「その話題は終わりだ。この試合で終わりだから帰れるんだよな?」
「ウラドの帰るは家にでしょ?家はまだ無理だよ。教室なら可能だけどね」
「それくらいはわかってる」
「じゃあ、帰ろうか」
俺たちは敗戦ばっかりで落ち込んでいる相手のクラスを放置して、去った。




