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試合はほとんど消化し、残るは俺とルナとセレナだけになった。ウィルとリュウカは速攻で試合が終わってしまった。相手が少しだけ、かわいそうだった。
「ウラド様、お先にどうぞ。おそらく、あの愚か者は最後に出て来ると思うので。」
「確かにあり得る話だな。最後に勝って、そのまま調子付いて終わらせる気がするな。」
「はい。ですので、私が最後に出ます。」
「そうか…なら、俺が最初に出るか。」
そう言って、前に出た。相手はルイスの側にいた奴だ。名前は忘れたが…
「それでは、はじめ!」
「シャドウランス」
やはり、相手は闇属性の魔法師のようだ。ルイスの側近はほとんどが親戚のはずなので、闇属性の魔法師が多い。
「シャドウランス」
相手のシャドウランスを干渉力です乗っ取り、それをそのままお返しした。
「くっ…」
この側近の女はルイスと違って、ちゃんと避けた。ルイスも本来は避けられるが、シャドウランスを放った瞬間、勝ったと思っていたため、避ける準備をしなかったのだ。それに比べて、こいつはそれを見ていたから対処が早かったのだろう。
「メネシス、第一形態変化」
「リズ、第一形態変化」
敵は、槍を出した。相性としては俺の方が有利だろう。
槍は突きを警戒しておけば、致命傷にはならない。剣とは違い、槍は斬ることにはあまり向かないので、槍の届かない範囲で糸を操れば、一方的な展開になる。
糸を操り、急所をあまり狙わずにコツコツとダメージを与えていく。
「シャドウランス」
相手は避けているだけでは、勝てないということはわかっているが、自分の攻撃範囲にすら、入れないことへのイライラとこのままではジリ損になり、負けると思い、魔法を放ってきた。牽制のつもりで、放ったのだろうが、先程、干渉力で返されたことを頭から離れていた。
「シャドウランス」
「ぐはっ…」
糸を避けているだけでさえ、手一杯にもかかわらず、シャドウランスが来たら、避けることを不可能で、守ろうとすると糸に当たるので、シャドウランスが当たるのは仕方がないだろう。もしも、相手の実力がかなりあれば、不可能ではないが、一年でその実力があるものは光属性を除けば、いないだろう。
「シャドウライトニング」
糸を敵の周りに向かって放ち、さらに紫電を通すことによって、糸で囲まれたところにいると感電し、動けなくなってしまう。
「ギャアアアアアアァァァァァ」
(自分でやっといて、言うのも変だが、やり過ぎたな…)
ウラドもまさか、魔力を纏って防御をしないで、生身で食らうとは、思ってもいなかった。
「そこまで!」
メリア先生が止めに入った。その場ですぐに、治療に入った。さすが、王家の血が流れているだけあって、光属性の適性が強く、治癒のスピードが早い。
ウィル達のところへ戻ると、
「ウラド、やりすぎじゃないか?」
ドイルが話しかけてきた。
「流石に防御をしないとは思ってもいなかったから、ビックリしている。」
「確かにな…なんで、防御をしなかったんだろうな。」
「おそらく、あの攻撃を生身で防いで、その後の攻撃に魔力を使っていたんだろうな。」
「なるほど…でも、ウラドの攻撃を生身で受けようなんて、自殺行為にしか見えないけどな。」
「もし、俺が逆の立場でもやらないな。」
「だよなぁ…」
「兄様、お疲れ様です。流石ですね。」
ルナが近づいて来た。
「そこまで疲れなかったけどな。」
「そこも含めて、流石です。次は私の番なので、応援してくださいね?」
「ああ…ルナなら応援をしなくても楽勝だと思うけどな。」
「そんなことありません。兄様が応援してくれなければ、負けてしまいます。」
「そんなことないと思うけど…」
「いえ、そんなことあります。ですから、応援して下さいね?」
「わかった。」
ルナの頭を撫でてやるとご機嫌になった。
「では行って参ります。」
「勝ってこいよ!」
「あなたに応援してほしくありません。」
「ヒドイな…」
ルナはそのままステージに向かっていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(私の相手はあの方ですか…)
相手はドレッド家の分家の人だった。確か、名前はノット・ドレッドだった気がする。ルイス・ドレッドのいとこだったはずだ。ドレッド家の分家なので闇属性の魔法師だ。
「はじめ!」
「シャドウランス」
(私には兄様のような干渉力で跳ね返す事はまだ、できませんからね)
ルナはシャドウランスを身体強化のみで、回避をする。
「クリーパー、第一形態変化」
そのまま、ノットに近づき、鎌を振りかざしたが、ノットは身体強化で回避をした。
(あそこの家は嫡男よりも周りの人間の方が優れている、と思う。今後の家のために、次期当主を変えたほうがいいのに…)
「シャドウフレア」
「シャドウバリア」
自分の前に展開して、接近した。ノットは、中距離から遠距離が得意のようなで、私は遠距離もできるが、接近戦の方が得意なので、このままでは力負けしてしまう。
「メイル、第一形態変化」
詠唱すると、一つの銃が現れた。これで、相手は接近戦が苦手だということが発覚した。精霊の第一形態変化は契約者に最も適している武器になるので、そこで銃が現れたということは、遠距離で戦う方が得意ということだ。
バンッバンッ
身体強化をして、逃げ回りながら、発砲してくる。ただの追いかけっこならば、すぐに追いつけるのだが、弾幕を張られていると、近づきたくても中々、近づけないものだ。
「シャドウランス」
相手が逃げる方向にシャドウランスを放ち、壁際に追い込んで行く。
「シャドウウォーク」
壁際に追い込まれると、シャドウウォークを使って、うまく距離を置く。かなり面倒くさい相手だ。
「ノットさん、早く一撃食ってくれませんか?そうすれば、終わるんですが。」
「お断りします。」
「そうですか。ですが、いつまで魔力が持つのでしょうかね?」
「くっ…」
「さて、続きをしましょうか?」
そう言い放って、追いかけっこを始める。
「銃は確かに強いんですが、格下相手には手数で勝てるかもしれませんが、同格か、それ以上だと、決定打がないんですよね。」
「くっ…チャージショット!」
今までとは明らかに威力が違う弾が放たれた。
「ダークシールド…なるほど、魔力を溜める時間を多くすることで威力を上げる技ですか。」
「それがどうしたんですか?」
「いえ…ただ、底が知れたな、と思いまして。」
「どういう意味ですか?」
「あのお坊ちゃんと一緒で、蛙だなと…」
「ルイス様を侮辱するな!!!」
ノットはルナに向かってしゃげきをしながら、突進していった。
「そうやって、すぐに挑発に乗るところも変わらないですね。」
「しまった⁉︎」
ルナはノットが挑発に乗ったら、どのように行動するのかを予測していたので、既に移動していた。
「デススラッシュ」
鎌が黒い軌道を描いてノットの胸を斬り裂いた。ノットは一瞬で気を失い、倒れた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ルナのやつ、戦い方がますます、ウラドに似てきたな…」
「そうか?」
「ドイルもそう思うかい?」
「も…っていうことはウィルも同じことを考えていたのか?」
「最後の挑発をして、相手を誘い込むところとかね。」
「最後のはそのまんま、ウラドがやることだな。」
「俺はあんなことをしたことはないぞ。」
「気付いてないの?」
「お前、いつもやってるのは無意識なのかよ…」
「ウラドがいつの間にか、女の子に好かれているみたいだね。」
「・・・」
ウラドはどう反応したらいいのか、わからなくなり、無言を貫いた。




