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「入学式、めんどくさいな。」
「ウラド様、それくらい我慢してください。」
「どうせ、校長の話とか、長いんだぜ。」
「そうかもしれませんが、仕方がありません。」
「サボるか…」
「ダメです!」
「じゃあ、寝る。」
「それもダメです!」
「セレナは厳しいな。ルナなら許してくれるのに…」
「ルナさんはウラド様に甘すぎます。」
「そうか?」
「はい。」
「なら、寝るためにルナの隣に座ろう。」
「なっ⁉︎」
おそらくはウラドの隣に座れると思っていたが突然、ルナに隣の席を取られてしまうと思ったのだろう。理由は寝るためだが…
ウラドはセレナのことをいじめようとしてこんなことを言ってるわけではない。ただ、気づいてないのだ。少しでもお近づきになるために意地でも隣の席に座る女達の戦いに。
例えば、光属性の女達の中ではウィラードの隣の席に座るのが一番だろう。けれど、それは一人か二人が限界だ。もし、ウィラードが端の席に座ったら、一人しか隣に座れないからだ。だが、最高でも二人が限界なのだ。なら、他のもの達はどこに行くのかと言うと、八家の所に集まるのが普通である。ドイルとミハイルは次期当主なので、風と土属性の女が集まるが、ウラドは次期当主ではないので、属性に制限がないから、ウィラードも含めて最も競争率が高いのだ。それに加えて、容姿が良いので、さらに熾烈な戦いになる。逆に男が女の隣に座る戦いも起きる。これが入学式に起こる戦いなのだ。ここで、隣の席に座ることの重要さをウラド以外は知っている。なので、セレナは必死なのだ。
「ルナの奴はどこにいるんだ…」
「ウラド様、私の隣の席で寝てて良いですよ。もし、何かありましたら起こしますので…」
「いきなり、どうしたんだ?」
「いえ、退屈な話を長い時間聞くのを強要するのは良くないと思いまして…」
「そうか…なら、お「兄様〜」」
すると、良いタイミングでルナが来た。セレナは悔しそうだ。ここで、確実なことにしたかったようだ。
「ルナ、どこにいたんだ?」
「いえ、クラスメイトと話をしてました。それで、兄様が入学式をサボると言いそうなので、せめて隣で寝ることで勘弁をしてもらおうと思いまして。流石にサボるのはマズイので。」
「よく、俺の考えてることがわかったな…」
「それはもう、兄様の考えてることはなんでもわかります。」
「今、セレナの隣で寝ようか、話してたんだ。何か、あったら起こしてくれるって言ってくれてな。」
「そうですか…セレナ様、私にお任せください。兄様の世話は私がしますので。」
「いえ、初めに私にお願いされたので、私が最後まで責任をもってやらせていただきます。」
「まだ、話がついてないんですよね。なら、私がしますのでお譲りください。」
二人とも、かなりの魔力を放っている。周りの生徒は少しずつ、遠くに退いている。そこへドイルがやって来た。
「ウラド、こっちでみんなで座ろうぜ!」
「「あなたは黙ってなさい!!!」」
「お、おう…」
「ドイル、君はよくあの二人の前で話しかけようと思いましたね。」
ミハイルもドイルと来たようだ。
「ウィルはどうした?」
「今は女の子達に囲まれてるぞ。」
遠くの方に女の子の固まりが見える。おそらくはあそこにウィルはいるのだろう。ドイルやミハイルの後ろにも少なからずいる。
「セレナ、ルナ、一緒に座れば問題がないだろ。」
「「はい。」」
「なら、この席で良いだろ。」
全体の真ん中の所の席を選んだ。後ろには保護者が前の方には先生がいるので、真ん中を選んだのだ。そこにルナ、俺、セレナの順番で座った。するとセレナの隣にミハイルとドイルが座った。この二人はウィルと同じく、囲まれていたのが辛かったので助けを求めていたらしい。五人席なので、五人座ってしまえば、同じ席に座ることはない。
「これから入学式を始めます。」
入学式が始まった。やはり、眠いものは眠いので、寝ることにした。
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(兄様は寝てしまいましたか…)
隣を見ると既に寝てるようだ。すると、兄様が私の方に寄りかかってきました。実は兄様は寝ると左に偏る癖があるようです。そのため、左に座れば、兄様が自然に頭を肩に乗せてくれるのです。すると、兄様が寝たことに気がついたセレナ様がこっちを見て悔しそうな顔をしています。
まだ、いろいろとわからないことも多いですが、兄様と一緒にいる時間は私の方が長いので、兄様のことは少なくともセレナ様よりも知っています。次期当主にして、少しでも結婚相手候補をなくす作戦は失敗してしまったので、違う方法を探さなければなりません。
初めて会った時は好きではなかったのです。ただ、カッコイイ人だなとは思いました。そして兄様に試合で敗れた時にこの世界には同い年の闇の魔法師で私よりも強い人がいるということを気づきました。その後にわからないことがあれば、聞きました。すると、嫌な顔を一つもせずに親切に教えてくれました。私のもう一人の兄はアレなので、兄とは本来、こういうものということを知りました。それから少しずつ、好きになって行きました。少しずつか、どうかは不明ですが…。兄様は何をしても怒らず、とても紳士な方です。たまにサボリ癖がありますが。それ以外はとても良い人です。いつも、自分のことよりもまずは周りの人のことを気にかけてくれます。それ故にニュクシオン家の人達に凄く好かれています。その優しさによって次々と女の人の心を鷲掴みにしてるんですけどね。どんなに寄り道をしても最終的に私の所に来てくれれば、何も言いません。
私はこの家では自分の同い年の近くの子供には負けたことがありませんでした。そこで、天狗になっている私をお母様は完膚なきまで倒しました。しかし、私は私がお母様の歳になったら勝てると思い、改心しませんでした。
そこで、兄様に敗北し、魔法師として、格の違いを思い知らされました。それからこの人こそが当主になるべき人と思いました。しかし、結局、どっかから湧いたメス猫によって阻止されました。そのせいで、私の計画は台無しになり、さらに初デートまで奪われました。これは半分が私のせいなので、なんとも言えませんが…屈辱です。
そこで、私もデートに行き、上書きをするように頑張りました。ですが、やはり初めてと二番目は全然違います。これからの初めては全て私が貰います。セレナ様にも、誰にも渡しません。
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(うっ…ルナさん、ズルイです。)
私の隣ではウラド様がルナさんに寄りかかって寝てます。私の方に来て欲しかったです。今からでもいいので、力づくでこっち側に寄せたいです。ですが、それで目を覚ましてしまったら、悪いのでしません。
私はウラド様に初めて会った時に一目惚れしました。お父様にニュクシオン家に養子が来て、お兄様と同い年で次期当主候補なので、挨拶に行きなさいと言われました。私はお兄様のついでで行きました。初めはかなり、めんどくさいと思ってたのですが、ニュクシオン家に着いて、ウラド様を見た瞬間に運命の人と思いました。しかし、ウラド様の愚妹のせいで、私が結婚できる可能性をなくされかけました。しかし、お父様にもらった魔道具のおかげで、最悪のケースは回避できました。それからお話を話しているとお兄様とウラド様が模擬戦をすることになりました。明らかにお兄様が属性の関係上、かなり有利にもかかわらず、ウラド様は勝利しました。その瞬間、さらに好きになりました。その後、ウラド様の愚妹が私に挑戦して来ました。そこでは、やはり属性の関係上、余裕で勝てました。この不利な状況で勝ったウラド様は改めて凄いと思いました。愚妹のおかげで、デートする権利を得れたので、良かったです。
デートは共に初めてということで、どうなることかと思いましたが、ウラド様が調べて来てくれていました。私一人では入れないような所に連れて行かれ、ものすごく美味しい料理を食べたり、服をウラド様に選んでもらい、そして買っていただきました。今までで一番、楽しかったです。
まだ、お父様を説得できていませんが、絶対に私はウラド様と結婚します。
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「兄様、入学式が終わりましたよ。」
寝てる間に入学式は終わっていたようだ。正直、先生達のつまらない話を聞いてるよりも寝ていた方が断然良いのだ。それに人によっては、ずっと同じ話をしてるので、退屈でしょうがないのだ。
「悪い。ずっと寄っかかってしまったな。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「そうか…」
「そろそろ、移動した方がいいですね。周りの方達も既に移動してますし…」
周りを見ると次々と教室に移動している。ドイルとミハイルはさっさと行ってしまった。自分の隣を見ると、セレナがかなり不機嫌そうな顔をしている。
「セレナ、どうしたんだ?」
「なんでもありません。」
「そ、そうか…」
「では、兄様行きましょうか!」
「あ、ああ…」
「なっ⁉︎」
そう言いながら、ルナが腕を絡めて来た。おそらくはセレナに見せつけるためだろう。明らかにわざとやっている。
「ルナ、ここではやめないか?」
「嫌です。皆さんに見せつけるチャンスですから。」
「ルナさん、ウラド様が嫌がってるじゃないですか。やめてた方がいいですよ。」
「けど、本当に嫌なら振りほどいてると思いませんか?」
「うっ…ですが、ここは学校です。」
「私は別に周りの目は気にしないので、構わないです。それに兄様も本当には嫌がってないので心配しなくて大丈夫ですよ。」
「それなら…えい!私もこうします。」
「なっ⁉︎」
突然、セレナがルナがいない方の腕に飛びついて来た。セレナはルナと比べても背が小さいので背の差がある。だが、年齢の割りに胸の発育が良いため、しっかりと腕から胸の感触が伝わってくる。ルナも普通より大きい方だが、セレナはかなり大きい。それに飛びついて来たため、よりわかった。
「セレナ様、離してあげてください。兄様が困っています。」
「本当に嫌なら振りほどいてると思いませんか?先程、ルナさんが言ったことですよ?」
「うっ…」
「さて、早く、教室に戻りましょう。」
(本当にこのまま、戻るつもりなのか?)
セレナに引きずられるように連れて行かれた。その時、ルナが腕を抱く力を強くしたのは気がつかないふりをした。




