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薪と、ハーブと、ジビエご飯!  作者: 不月風音
大学1年生編!後期!
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第79話 長い目で育てる


「春休みってこんなに長かったっけ…?」

「いやぁ…少なくとも今まではこんなに長くなかったよぉ…。」


 今は3月中旬。講義が終わって、期末試験が終わって、ちょうど1ヶ月くらい。


「暇だねぇ」

「暇だね〜」


 なんでこんなに寮で暇しているのかと言うと、夏休み頃にあった部屋替え。それが差し迫っていたからだ。


「でもまさかだよねぇ、2年生になるからって理由で、好きな部屋選ばせてくれるだなんてぇ」


 入寮が強制されているのは1年生だけ。2年生以上はほぼ追い出される。特別に残らせてもらった。

 …と言うより、今年は新2年生の退寮者が多すぎて、希望者は全員残れた。


「そのお陰でまた4人お隣さんだね!」


 もちろん自分たちが望むのは4人一緒。お隣同士。それが心地いい。


「まぁ、この部屋のままいたかったけどねぇ…」

「そうだね…」


 どうしてもここの部屋は使う配置になっちゃってるらしく、部屋の移動は余儀なくされた。


「マリーちゃんはこれ終わったらお家帰るの?」

「そうだねぇ、家の手伝いしたいしぃ」


 うーん…私もバイト増やそうかな。目標まであとちょっとだし。


「マリーちゃんは目標額まであとどれくらい?」

「ん?もうとっくに達成してるよぉ」

「え!?なんで!?」


 バサッと飛び起き、マリーの部屋を覗き込んで聞く。


「え、だって私高校生の時から店番してたしぃ…?」

「なん…だと…!?」


 わなわなと震えながら聞く。


「ち、ちなみにおいくら万円…?」

「これくらいだよぉ」

「ひっ…!?」


 見せられた画面に映っていたのは、みくるが1年間に稼いでいいと言われている額の4倍近くの数字。

 

「ずるくないからねぇ、高校生の時から頑張ってきただけだからねぇ」

「うっ…!分かってるもん…!!」


 ちょっと口に出そうだったことは内緒。でも、それだけずっと頑張ってお手伝いしてたんだな…。


「バイクどころか車も買えちゃうんじゃない…!?」

「でも車買ったら無くなっちゃうしぃ…」


 マリーが悲しそうにそう話す。


「4年間が消えたら悲しいでしょ…?」

「うっ…確かに…。」


 あれ?4年分…?


「マリーちゃんって、普段あんまりお金使わないの?」


 いくらなんでも4年分ほぼフルに残ってるのはおかしい。


「ふっふっふ!よくぞ聞いてくれたぁ」


 マリーちゃんがおかしなテンションになっちゃった。


「私はねぇ、お金を育ててるんだぁ」

「お金を…育ててる…?」


 どういうことだろう…?


「百円玉を植えてるってこと…?」

「違うよぅ…」


 誰だそのアホはぁ…。…って思ったけど本当にやりそうな人が目の前に居たから黙っといた。


「投資ってやつだよぉ」

「え…!?ギャンブラーなの…!?」

「違うよぅ…」


 まあ投資へのイメージってそんなものだよなぁ。


「高校生の時にお父さんが口座作ってくれて、そこからずっとお金入れるだけ入れて放置してるんだぁ」

「放置…!?」

「そう、放置だよぉ」


 みくるの震えが止まらない…。


「そしたら30万円くらい増えたんだぁ」

「4年で…30万円?思ってたより少ないかも…?」

「あれれ…?まあ確かにそっかぁ」


 個人的にはインパクトある結果だったんだけどなぁ…。


「何もせずに30万円はすごいか…!」

「ふへへ、すごいのだよぉ」


 なんかちょっと考えた末に納得してくれた。嬉しぃ。


「なんでそんなに増えるのー?」

「んー、全世界にお金を預けてるってやつだねぇ」

「悪い人達に…!?」

「違うよぅ…」


 いい加減否定するのも大変になってきた。黙ってて欲しい。こういう時はクイズだ。


「世界のお金ってぇ、増えてると思う?減ってるとぉう?」

「え!?なにそれ!?ずっと同じなんじゃないの!?」

「ぶぶー、これが違うんだよぉ」

「えー…じゃあ増えてるの…?」

「せーかーい!」


 ぱちぱちぱち!と正解者を称える。でも、当の本人は納得いってなさそう。


「なんでお金が増えるのー?お金はお金だよ??」

「説明するのがちょっと難しいんだけどねぇ、簡単に言うと、人が増えたり、サービスが良くなるからお金が増えてくんだよぉ」

「…?どういうこと…!?」


 簡単に言いすぎた。反省反省。


「世界がちょっとずつ新しいお金を刷り続けてるから、段々増えてくって方が考えやすいかなぁ」

「あー…ちょっと分かったかも!」

「お、良かったぁ。これがいわゆるインフレってやつだねぇ」


 ふむふむ!と空返事。分かってるのか分かってないのか分からない。


「企業が頑張ってお金を稼いで株価っていう価値が上がると、それだけお金が増えるんだぁ」

「カブ価!聞いたことある!!」


 株じゃなくてカブ売ってるんじゃないかい…?なんか高音で喋る動物たちじゃないかい…?


「まあ、パチンコやってお金持ちになった人は少なそうだけどぉ、投資やってる大富豪はいっぱいいるでしょぉ?そゆことだよぉ」

「なるほど!!!わかった!!!」


 説明放棄したら一気にわかってくれた。でもわかってない気がする。 

 

「絶対増えるって訳じゃないからねぇ…?」

「お金持ちはやってるのに!?」

「世界が成長するのを待たなきゃだもん、のんびりだよぉ」

「そんなー!つまんない!早くお金増えることってないのー?」


 ハーブ育てるのは楽しいけどお金育てるのはつまんないのか…。


「まあ、増やすことだけ考えるなら日本がお金刷りまくってくれたらできるけどねぇ」

「へぇー!!刷ればいいじゃん!!そしたらみんなお金持ち!!!」

「ジンバブエドルが完成しちゃったねぇ…」

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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