閑話 グッバイ雪国
「よーし帰るぞゴーホーム!!!」
「私たちはドミトリー(寮)だねぇ」
お土産選びから戻ると、またもや騒がしくハンドルを握り始めた。
エンジンがかかる。2日間…3日間かな。それで聞き慣れた音だ。
「忘れもんはないなー?」
かおりがそう呼びかけると、スキー場の景色がゆっくりと後ろに流れ始めた。
ぼーっと眺めていると、隣に座っていたマリーが小声で話しかけてきた。
「疲れちゃったぁ?」
小声でなんとなく小声で返す。
「うん、でも、楽しい疲れって感じ!」
「ふふ、私もぉ」
マリーが眠たそうな顔をしてる。きっと自分もなんだろうな。
ゆっくりと進んでいく。スキー場周辺の栄えたエリアを抜けて、視界が一気に開ける。
目の前に見えてるのは、畑かな。
それとも、田んぼかな。
積もりすぎててわかんないや。
もしかしたらあの下に野菜が埋まってるのかも。
思い出す。大事な思い出の1ページ。
「知れば知るほど、世界って変わって見えてきますよね」
「…そうだな」
後ろの2人も同じことを考えてたみたい。
「あの下にサラダバーが隠れてるんですもんね」
ちょっと違ったかも。
畑エリアも一旦抜けて、今度は山林の中みたい。乱立する樹木。その間を、その葉の上を、雪が覆い尽くしている。
なんとなく、写真を撮りたくなって。
1枚パシャリ。
「なんか居たぁ?」
「んーん!思い出!」
撮った写真を二人で確認してみる。
「ブレブレだね…」
「ブレブレだぁ…」
信号待ちの時に撮ろう…。
車は進み続ける。信号で止まった頃には市街地だった。
でも、それを知ってるのは2人だけ。
「あーあ、疲れて寝ちゃってるや」
「ふふ、そうね」
「あ、音量落としてやって」
「はいよ」
地図と音楽を流していたカーオーディオの音量を下げる。
「次の信号、右ね」
「ん」
小さすぎて聞こえなくなった経路案内。
2人には、よく聞き馴染んだお気に入りの曲。その鼻歌だけが聞こえていた。
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