第74話 滑るぞー!
「ごめんごめんまじごめん!!」
リフトを降りて、安全なとこまで移動した直後。かおりが4人に全力で謝り倒す。
「なんで教えてなかったの…?」
「みくるちゃんとアニマルトラッキングに夢中になってて…!教えるの忘れてた…!」
「アニマルトラッキング…って?」
ひのきが気になって聞く。他の2人も同じく気になっていた。
「雪の中にある動物の足跡を探すんだよー!」
「そそそ!キツネテンイタチ!あとカモシカの足跡があったよー!!!」
勢いの良すぎるみくるとかおりに驚く。
「確かに、雪だと足跡残りやすいもんねぇ」
「全然見てなかったです!次は見てみます!!」
「うっ…下見るの怖い… 」
次は見てみよう!そう思う3人。…2人かも。
「とは言え…リフトの降り方4人に教えてなかった責任は大きいよ?」
「はい…ごめんなさい…」
もみじの表情を見るに、次は無さそうだ。
「じゃ、じゃあ切り替えてスノーボードやろう!!」
と、切り替えられていないかおりが話す。
はーい!と返事をして、スノーボード実習…?開始!
「まず、両足を板に着けます!」
今板が着いてるのは左足だけ。座って右足も装着。
「スノーボードは、進む時は斜面に対して並行、縦方向に。止まる時は斜面に対して垂直、横方向にするよ!」
こんな感じ!と、かおりが縦横縦横と滑ったり止まったりを繰り返す。
「でもこれはまだちょっと難易度が高いから、最初は横向きにずり落ちてくのを練習しよっか!」
板を横向きにして、ゆっくりズズズ…と下っていく。
「地味だけど、止まる練習にもなる!安全を守るところから始めようね!…で、いいですか?もみじさん…?」
「うむ。よろしい。」
もみじの許可が降りたので早速スタート。
「ふんぬっ!ふんぬっ!!!」
「ぼたんちゃんなにしてるの!?」
「立ち上がれないです…!!」
「え!?どういうこと…!?」
みくるは簡単にすくっと立ち上がれた。マリーとひのきも、手で支えてなんとか立ち上がれた。
「あー!ぼたんちゃんそれはねー、もうちょいお尻を板に近付けてみ?」
「ん…?こうですか…?」
「そーそ!そしたら左手でつま先側の板を持って、踵を使って立ち上がる!」
グッと力を込めると、確かに立ち上がれた!途端前にズベッと転んだ。
「痛いです…」
「あーはは…今のが逆エッジってやつだねー…。斜面下向きの…つま先側に体重がかかっちゃって倒れちゃったって感じ!」
「がんばれ!ぼたんちゃんならできるよ!」
「うおおおーー!!」
立った!ぼたんが立った!!!
立った瞬間、若干、徐々に滑り落ちていく。
「うあああーー!!」
ズベッ。スピードが付くまでもなくすぐに転んだ。
「痛い…です…」
「大丈夫ー?でも今のくらいのスピード保てたらいい感じだよー!!」
と、颯爽と滑ってきて声をかけるかおり。かっこいい…。
「みんなも徐々にでやってみよっか。最初は下側を向いてね。」
ぼたんを筆頭に、3人もゆっくり滑り始めた。
「なんか…想像してたのと違うね…!」
「想像してたのってぇ…?」
「もっと簡単に滑れるもんだと思ってたな…」
「同じくです…」
息も絶え絶えに話す。こんな体力使うの…?でも、かおりたちはピンピンしてる。
ひぃ…!と小さな悲鳴を上げながら、必死についていく。
なんとかついて行き、麓までたどり着いた…。
「よーし!もっかい行こー!」
「えーーー!??」
「あれ?じゃあご飯行く??」
「ご飯!!!」
「お昼には…かなり早いねぇ…!?」
今の時間は10時半。早すぎる気がする…。
ボードを外に置き、ゲレンデ内のレストランに入る。
え…?盗まれちゃうんじゃない…?って思ったけど、かおりちゃんがだいじょーぶ!!って言うし、もみじさんも大丈夫って言うから信じて置いてきた。
レストランの中に入ると、案外人が多くて、7割くらいの席が埋まっていた。ウェアを脱いでラフな格好をしてる人が多いから、スキー場とは全然違うところに来たみたい。
なにより、
「あったかーい…!」
ストーブが効いているのか、中はぽかぽか。最初は暑かったウェアも、いっぱい転んでいっぱい水が着いたらどんどん寒くなってきた…。
そんな寒い中だからすごく丁度いい。
「早く脱いでー!ご飯買いに行こ!!」
「はい!!」
食い気味なぼたんの返事に驚きつつ、脱いだウェアやニット帽を席に置いて食券を買いに行く。
「もうお腹ペコペコです〜!!」
「何食べよっかぁ」
「私ね私ねー!これー!」
とかおりが指さしたのはラーメン。
「寒い中食べるラーメンは絶対美味しいね…!」
「私はお蕎麦にしようかなぁ」
「じゃあ私カレー!!」
「ロコモコ丼にするか〜!」
「うーん…もつ煮かな」
「ぐっ…!!全部食べたいです…!!!」
ぼたんが血涙を流しながらメニューを舐めまわすように見る。
「まぁまぁ、また来年も来ればいいじゃん?」
「そうそう!明日もあるしぃ」
「そうだね!サークルのイベントにしちゃおー!」
「え…!じゃあ…!どうしましょう…!」
そうだった。この子は今全部食べたいんだ…。
「私のおすすめねー、山賊焼きー!」
「それにします!!!」
かおりの提案が抜群に効いたみたい。
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