第71話 レッツゴースキー旅行!
夜21時頃。街頭に照らされた黒い車が大学の正門をくぐる。
…開いてなかったから、正門の前で待つことにした。
辺りを見渡すと、何やら真っ暗な遊歩道。あちらから歩いてこられたら、ターゲットの接近に気付けない。
「来るならさっさと来い…!こちらは準備できているぞ…!」
微かながら、歩道橋を渡る影が見えた。3つか…4つ。
「いいかメイプル…!奴らが現れたら、まずドアを開けて車から出るんだ…。そしたら…うーんと…後ろの荷物入れるところのドアを開けてやるんだ…!」
同乗している味方に的確な指示を出す。
メイプルって私の事…?もみじだしそこからか。
「ドアを開けたら奴らは十中八九荷物を入れてきやがる…!そしたらドアを開いて車の中にご招待してやれ!」
「はいはい…」
同僚のやる気のある返事を聞いて大満足。すると、奴らが現れた。
「あ!やっぱりかおりちゃんたちだー!やっほー!」
「みくるちゃーん!!!みんなー!やほやほー!」
ぶんぶんと手を振るターゲットの1人、みくるだ。手を振り返し、敵意がないことをアピールしてやる…。もちろんその仲間にも。
「もみじ、行ってくれるか…?」
「いつまで続けんのそれ…?」
「流石に長い?」
「車借りてからずっとは長い。」
「そっか!ごめんごめん!」
冷徹なツッコミに笑いながら返す。旅行前でテンションが上がっちゃってるんだから仕方ない。
荷物を入れたみんなが後部座席に乗り、準備完了!
「さてさてみんなー!ちゃんとシートベルトはカチャリしたかなー?」
「おー!!」
「素晴らしい!出発だー!!」
「おー!!!!」
スキー旅行に出発だ!!
今日の旅行は、まず国道1号線のバイパスでみくるとマリーの住んでる町、清水を目指す。
そうしたら、山梨に向かう高速道路。中部横断道で登っていく。
その後、色んなサービスエリアに寄りつつ高速道路でのんびり長野県のスキー場を目指していく。
「そういえば、なんでこんな早く行くのぉ?」
「早くってー?」
「それ気になってた。本当なら4〜5時間くらいで着くはずだけど…」
「あーそれね!なるべく早く行っときたいんだ〜」
「雪早く見たいもんね!!!」
「それもある!それもあるんだけど〜!」
違うのか…?と、みんなが疑問に思う。
「向こうにいるのは雪道の運転に慣れた人たちでしょ?そんな人達の通勤時間が被ったらどうなると思うー?」
めっちゃ煽られそう…!!そうでなくても怖い…!
「それに、旅の醍醐味は道草だからね〜!寄れる道の駅とかサービスエリアは全部寄ってこー!!」
旅慣れしてるな…!みくるがちょっと憧れた。
「さーて1個目!掛川道の駅ー!」
「流石に慣れたところ…というか近過ぎて逆に寄らないところね…」
「みんな今んとこ大丈夫?酔ったりしてない?」
大丈夫ー!と返すと、かおりがなら良かった!!とかけ出す。
「トイレ…!レンタカー屋くらいから我慢してたの…!!!」
「レンタカー屋で行っときなさいよ…」
これもあって全部のSA寄るなんて言ったのかな…?まあでも楽しいからいっか!
なんか軽食あるかな!とぼたんが探し始めたからついて行くと、やっぱりこの時間だとほとんどが締まっていて、食べられるものは何にも無さそう…。
「うぅっ…旅の醍醐味が…!」
「まあこれからこれから!」
「長野着いたら美味しいものいっぱい食べよ!?ね!?」
「うー…はーい…!我慢します…!」
出発進行!
「そういえば、みくるちゃん運転してみたいんだっけ?やってみる?」
「え!?今から!?」
「高速道路よりバイパスの方が怖くないんじゃないかなー?それともいきなり高速道路の雪道運転する?」
「あんまびびらせないであげて…?」
「うーん…。じゃあ…やってみる!」
「ひぇぇ…みくるの運転だぁ…」
別にトラウマを植え付けたことない気がするけど…なんで怖がられてるんだろ…?
運転席に乗ると、よく見知った教習車のものと違い、なんかちょっと重厚感と目線の高さがあることに気付いた。
「ボタンでエンジンスタートだからね〜!」
かおりの言葉に身を委ねて、スイッチをポチリ。ブルルンとエンジンが始動して、その力強さが伝わってくる。
シフトをDに合わせてアクセルを踏むと、少しずつ動き始めた。
「やっぱり大きい車だと動きが重たいんだね…!」
「みくるちゃん!サイドサイド!!踏んで!!!」
「ええっ!?サイド!?」
左手を伸ばしてみたけどスカった。あれ!?何にもない!?
「踏むの!!とりあえずブレーキ!!?」
「あっ!!はい!!」
急いでブレーキを踏んで、シフトもPに。一旦落ち着く。
「ひぃ…怖かった…」
「みくるー…大丈夫かー…?」
「まだ死にたくないです…!美味しい物食べたいです…!」
「大丈夫!今度は大丈夫だよー!」
「その自信どこから来てるのぉ…?」
「私もさっきやったし大丈夫大丈夫ー!みくるちゃん頑張れー!」
今度はかおりの指摘通り、ちゃんとサイドブレーキを踏んでスタートした。
「うぅ…まだ死にたくないよぅ…」
ガチの命乞いさせちゃった…。
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