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薪と、ハーブと、ジビエご飯!  作者: 不月風音
大学1年生編!後期!
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第67話 これからのこと。ひのきとぼたん


「杉木さんは大学生活楽しめてますか?」

「はい、農業に触れるつもりはあんまり無かったんですけど…なんかハーブを育てさせられちゃって!でも楽しんでます!」

「それは良かったです。じゃあ困っていることはなにかありますか?」

「んー…これってものは浮かびません。あ、でも、林業の実習少ないので増やして欲しいです!」

「それは追々…2年生になって林業コースに進んだらいっぱいやっていきましょう」


「じゃあ、愚問かもしれませんが、杉木さんは林業コースで行きますか?」

「はい!祖父母の山を綺麗にしたいってところから始まったんですが、なにより日本の色んな山を、眠ってる山の力を活かしたいって気持ちが強くなってきました!方向性は定まってないので目標にしては大きすぎますけどね…!」

「いやいや!壮大な夢でいいと思います!期待してます!」


 ひのきは何事もなく、すんなりと面談が終わった。



 ぼたんの場合


「秋鹿さんは大学生活楽しんでますか?」

「はいー!いっぱい美味しいものが食べられて幸せです!」


 それは想定してなかったな…。でも楽しめているのなら結構!


「じゃあ困っていることとかはありますか?」

「んん…特にありません…が、強いて言うなら学食が少ないことくらいでしょうか…?」


 え!?あれが…少ない…!?大畑先生と目を見合わせて驚く。口には出さない。大人だからね。


「特に問題なさそうですね!じゃあ、秋鹿さんはどのコースにしたいんでしょうか?」

「それが…すごく迷ってるんです。」


 ここまで仲のいい3人はすんなり決まっていたから、少し驚く。


「今まで色んなハーブを育てたり、野菜の実習で頂いたり、サークルでお料理をしたりしたんですけど…どれも美味しくって…!」

「あぁ…なるほど…」


 食べることが本当に大好きなんだな。メモしとこ。と、大畑先生がメモを取った。


「でも最近、林業の面白さも分かってきたんです。」

「え!そうなんですか!」


 美味しさ以外に動機がないのかもしれない。そう不安に思っていた反面少し驚く。


「はい。ひのきさんから色々なお話を聞いて、森林の多面的機能ってお話をしりました」

「確かに森林は大切ですね。」


 口数をなるべく減らして相槌を打つ。


「その中で、海に栄養を与える機能ってものを知りまして…!」


 おや?流れが変わった気がする。


「適正な森林管理をすると、ゆくゆくは栄養が巡って、美味しいお魚が育つらしいんです…!」


 なるほど、そう来たか。


「だからひのきさんの林業を応援したくってー!むしろ私も林業やっちゃおうかなって思ったりもしてましてー!」

「それは確かに…難しい話ですね…。」


 大畑先生が考え込む。


 この色々なところに興味が向いている時期。揺れている時期。我々指導者としてはすごく難しい。

 恐らく、自分たちが今、林業に行けと話したら林業に行くし、農業を進めたら農業に行く。どちらにせよ責任の大きい話だ。


 だからこそ、自分の興味を、自分の目標を見定めて、悔いのない選択をして欲しい。そう思ってしまうのは、教育者の本能なんだろうか。


「確かに、林業が色んな機能を持ってることは確かです。でも、他の農業、畜産業も沢山メリットがあります。むしろ組み合わせることでメリットが生まれると言っても過言じゃないかもしれません。」


「組み合わせる…?」


「そうですね、例えばこんなことはどうでしょう?林業には下草刈りという、山に生えてくる雑草を切る作業があります。」


「ふむふむ…?刈った草を農業の現場に持ち込むと、その草が土を守り、さらに徐々に分解されて植物の栄養になるんです。」


「ほぉ!農業と林業が繋がるんですね!」


 他には他には!?と、嬉々とした表情で先生を見つめる。他に何かあるかな…!?焦りながら記憶を辿る。


「あとはそうですね…あ、野菜の廃棄品や、人間が食べられない部分。例えば浜松ではサツマイモの茎を牛の餌にしたり、その糞は堆肥化してまた農場に戻ったり…」


 こんな感じでいいかな?と話すと、キラキラとした目で見つめてくる。


「なるほど!お肉もサツマイモも育てられるんですね…!!!!」


 うん、まあ、多分そういうこと。こくこくと頷く。


「だから、色んなことを調べてみてください。もしかしたら、林業以外から林業を応援できるかもしれませんよ!」 

 

 と、タイマーが面談時間の終わりを告げた。


「と、残念ながら時間終了です。最後になにか言っておきたいこと、聞いておきたいこととかはありますか?」

「んー…じゃあ、ひとつ良いですか?」

「もちろんです!」


 時間は終わってしまったけど、学生が満足するまで話すのは責務だし、そうしてあげたい。


「先程先生方は、色々な方面から農林畜産業は協力できるかもって仰ってくれましたよね?」

「そうですね、色々な産業が合わさることで、色々な方面から、自然環境を良くしていけると思いますよ。」


 杉木さんの話で環境の話に引っばられすぎたかな。反省反省。


「じゃあもし、農業、林業、畜産業が合わさったら、もっと凄いことができるって思いますか?」


 それは…どうだろうか。指導者として、教授として、間違ったことは言えない。でも、


「絶対にそうとは言えません。でも、1つの問題を色々な方面から見た時に、多様な考え方があれば、多様な解決策が浮かぶんじゃないかと思います。」


「三人寄れば文殊の知恵と言いますが、三業も寄ったこの大学の力を最大限発揮できれば、今までにないことができるかもしれませんね!」


「…!じゃあ私、畜産をやります!」


「その心は…って聞いてもいいですか?」


「はい!すごく単純なんですけど…この大学で勉強できること、4人で全部活かせたらいいなって思ったから…です!」


「分かりました!もしこれでいいのかって迷ったら、またいつでもお話を聞かせてくださいね」


「はい!でも畜産に行くと思います!」


 決意を固めた、目標を見定めた目をしている。


「だって、お野菜とお肉一緒に食べたら美味しいじゃないですか!」


 …そっか!そうだね!

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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