第56話 茶!!
バイパスを抜け、市街地に入る。でも大きな道だからか、すいすい進めた。
ひのきがここ!と指さすところに大きな建物があるのを見て、目的地だと分かる。
ウインカーを出して駐車場に入っていく。建物の外観が木?で覆われた、でも近代的なコンクリートで作られてる不思議な作り。
「ほんとに着いたー!道当てずっぽうなのかと疑ってたよー!」
「えぇ酷い!?大きな道だからちゃんと覚えてきたよ〜!」
まあ、山道は若干当てずっぽうだったけど…。
「いやー、後ろから見てるとちょっと不安で!」
「でもちゃんと着いただろー?茶の都ミュージアム!」
現在地はふじのくに茶の都ミュージアム。お茶の名産地静岡だからこその、お茶の博物館だ。
「早く中入ろ!」
「そーだねそだね!時間もったいないもんね!!」
ちょっとはしゃいでるひのきちゃんかわいいな。
中に入ると、ほんのりお茶の香りがした。
お茶の博物館というだけあって、お茶に関する色々なものが置いてある。
昔お茶の収穫や加工に使われていた道具。今収穫加工に使われている機械。
「ほえー!高そうだねー!」
「まじで高いらしいよー…お値段は忘れちゃったけど…」
加工度合いの違いによる色々なお茶の種類。
「烏龍茶って緑茶と同じなの!?知らんかった!」
「え、紅茶の茶葉って緑茶とは別の種類なんだ…」
世界各国の茶室や、各国でのお茶の飲み方。
「砂糖入れまくるお茶だって!おもろ!」
「日本ってほんとに質素だな…」
そして、
「ねーねーひのきちゃん!抹茶挽き体験だって!やろー!!」
「茶道体験もやりたい!」
「いいねー!!やろやろー!!」
体験の魅力に取り憑かれていた。
「それでは、甜茶を挽いていきましょう!」
土曜日の11時。人が集まるかと思ったけど、案外居なくて体験会にはひのきとかおりしか参加していなかった。
これは質問し放題だ!そう思ったひのきが聞いてみる。
「甜茶ってなんですかー?」
「甜茶はですね、普通のお茶と違った加工をした、抹茶用の茶葉なんです!柔らかい部分だけを厳選した、手間暇のかかった茶葉なんですよ〜!」
話を聞くと、甜茶は日光を遮って旨味甘みを強く、渋みを弱くしたり。普通の茶葉ならやる蒸した後の揉む工程をしなかったり、茎や葉脈と言った硬い部分を取り除く作業をしているみたい。
「超厳選されてきたんだな…!」
石臼の中にひょいと注ぎ入れて反時計回りに回す。甜茶を挽き始める。
擦れ合う石の感覚は思ったより軽い。ずっしりゴリゴリと擦れあっている手応えがある。
「重たいねー…筋トレだ筋トレ!」
「ずっと回してると体力が…」
「おりゃー!気合いじゃー!!」
かおりがぐるぐると勢いよく回し始める。それなら一気に進む…!とひのきが乗ろうとしたその時。
「あ、待ってください!挽くのはのんびりペースが鉄則です!」
「え!そーなの!?どーしてですかー?」
もしかしたら石臼にダメージを与えるやり方だったのかもしれない…
ちょっと緊張気味に聞く。
「抹茶の香りは摩擦熱で飛びやすいんです。なので、ゆっくりのんびり、3秒に1回転くらいが目安ですよ!」
じゃあここからは慎重に…!と、二人で一緒に数えながらぐるぐるゴリゴリ。
1…2…3…。1…2…3…。
係の人が、いい感じですね!と見守ってくれている。このペースみたいだ。
「あっ!いい香り!」
「ほんとだ、ちょっと抹茶が出てきたんだ!」
細かく挽かれて粉になった甜茶、抹茶が、石臼の隙間から溢れ出してきた。
「これが美味しい抹茶なんだね〜!」
「ここまで丁重に扱われるのは最早お茶の神様や〜!」
と、かおりが例の神のポーズをしはじめた。
「誰がお茶の神じゃい」
「抹茶のこと言ってんだよぉ!?」
抹茶を袋に詰めてもらい、お土産としてお持ち帰りすることにした!
抹茶挽きを終えて、次は茶道体験!
「私茶道のやり方なんてわかんないよ…!?」
「私も知らないから大丈夫だよ!」
「それって大丈夫って言うのかな!?」
「それを知る体験だし!」
正座をしている2人の目の前にお茶が並べられる。
本来、茶道には色々な作法があるそう。お茶の前に茶菓子を食べ切るだとか、茶碗の絵が書いてある部分に口をつけないとか、そう言ったルールがあるらしい。
体験なので、出来るところだけ楽しんでいってください!とのことで、本来の茶道にあまり囚われずにお茶を楽しんでいく!
さっき挽いた抹茶とは別の、用意されている抹茶を使う。大きめの茶碗に、匙で2杯、抹茶を入れる。
90℃以下のお湯を注ぎ入れたら、抹茶ならではの道具、茶筅を使って泡立てていく。かき混ぜるのではなく、横に細かく動かして泡立てるそうだ。
「なんで泡立てるんだろ…?」
「私小さい頃緑茶のペットボトル振ってたら美味しくなくなるぞー!って怒られたなぁ」
「それはですね、味と風味、そして舌触りが美味しくなるからなんです!」
味?風味?舌触りまで?詳しく話を聞く。
「まず味ですね。お抹茶に含まれる苦味の成分というのには、カテキンというものがあります。きめ細やかな泡を作ることで、カテキンが一気に舌に触れるのを避け、苦味が少なくなるんですよ。カプチーノとかカフェラテと同じなんです!」
要するに、味がまろやかになるってやつなんですよ、と補足。
へー!確かに普通のコーヒーより苦く感じないもんな。納得!
「次に風味です!苦い味は舌に広がりますが、抹茶の豊かな香りは鼻に広がります。沢山の抹茶の香りの気泡を口の中で弾けさせることで、美味しい抹茶の香りを何倍も強く楽しむことができるんですよ!」
抹茶100%のクリームだもんな…そりゃ美味しい!
「最後に舌触り!これは、抹茶とお湯がよく混ざり合うことで、粉っぽさがなくなって、ザラつきが無くなるんです!」
抹茶って手間がかかってるんだな。
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