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薪と、ハーブと、ジビエご飯!  作者: 不月風音
大学1年生編!後期!
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第55話 はじめてのツーリング!


「お!きたきた!やっほやっほー!!!」


 かおりが手を振っている。でも山道で減速中に振り返せるほど上手くないからちょっと我慢しててもらおう。


 バイクを停めると、早速テンション高くかおりが話しかけてきた。


「いやー!ひのきちゃんとツーリングデートとは嬉しいねー!さあさあ、行きたい場所を言ってごらんよ!」

「行くのは前送ったとこだよ!どこ行く気だ!」


 どこへでも行こうじゃないかと言いたげなかおりを見て、なんでこの人はこんな自信満々なんだ…?とちょっと怖くなる。



「こちらが私のバイクですっ!!」


 ノリノリで見せてくれたのは、ピカピカ新品みたいなバイク。250ccなのは同じみたい。


「おぉー!かっこいい!!」

「でっしょー!!」


 ノリノリで応えるかおりを見ていると、バイク初心者だと言うことを忘れてしまっていた。


「じゃあ車庫から出そー!」


 前から突っ込んでいるため、車庫から出すにはバックするしかない。ほとんどのバイクにはバック機能なんて着いてないから、手動でやらなきゃいけない。でも…


「ちょっと待って!?なんで跨ってエンジンかけたの!?」

「え?バックしなきゃと思って」

「無理無理!大抵手動バックだから!!」

「あれー?」


 降りて後ろに下がり始める。よし順調…だけどちょっとヨタヨタしてるな…手助けしようかな…。


「できたよー!」


 準備完了!と言わんばかりにバーンと見せてきた。確かに車庫から引っ張り出せたし、今度は大丈夫そうだ。


 ひのきも自分のバイクに跨り、エンジンをかける。


「ひのきちゃーん!?なんか壊れちゃった!!!」


 そんな訳なくない…!?と思って見てみると、確かにキーを捻ってもエンジンがかかってない。んー…これはあれか?


「右側の赤いスイッチ、下に押し込んでみて?」

「ん?これ?はーい」

「そしたらキーを回す」


 キュルルルとセルモーターが回る音がして、エンジンが始動した。強制停止のキルスイッチをうっかり押しちゃう、初心者がよくやるミスだ。

 仕方ない私も最初はよくやった。


「じゃあ出発するよー!ギアを1に落として、クラッチゆっくり離してついてきてー!」


 ガチャプスン…。かおりのバイクのエンジンが止まった。


「ひのきちゃーん、バイク壊れちゃった…」


 キーをカチャカチャ回しながら涙ながらに訴えてくる。

 

「違う!多分大丈夫!あ、それ!!サイドスタンド!はらって!」

「え?これ…?」


 サイドスタンドを上げてないときは危険防止のためにエンジンが止まるらしい。そんな話を教習所で聞いた。初心者あるあるだ。仕方ない。


「じゃあ今度こそ!しゅっぱーつ!」


 プスン。


「ひのきちゃーん!」

「エンスト!クラッチゆっくり離す!!!」

 

 前途多難だな…。




 走り始めたらあれだけ怖がってた山道も、案外すいすい進めている。曲がりくねった道だからエンストするんじゃないかと思ったけど、全然そんなことはなく。


「進み始めたら私より上手なんじゃないか?」


 そんなことを呟いたけど、話す手段がないのでかおりには聞こえていない。ちょっと寂しいな。


 交差点を曲がる時は早めにウインカー。ちょっと急ぎたい時、ゆっくり行きたい時は手で合図など、言葉以外の手段をいっぱい使ってなんとかバイパスまで辿り着けた。


「バイパスに乗る時は、一気にスピード上げるよ!いけそう?」


 大声で聞く。ヘルメット付けてるから届きずらい。


「多分いける!!ひのきちゃんに着いてくね!!」


 いい返事だ。信号が青になったし、出発する。

 朝9時。そんなに車が多い時間じゃないだろう。


 ギアを上げ、アクセルを開き、加速していく。ミラーで確認すると、かおりも順調だ。


「よーし、これなら大丈夫だな」


 そう思った瞬間、本線に巨大な影が見えた。


「うわっ!?大型トラックだ!?やべっ!?」

「おっ、バイク2台!…初心者っぽくね!?やべっ!?」


 目が合う2人。その瞬間ブロロンという大きなエンジン音とともに、キキーッと聞こえてきそうな勢いで右車線に移動してくれる巨大トラック。


 あぶない…まさかあんな大きいのが走ってるとは…。


 でもトラックのおかげで道が空いている。よかったー…。


 楽々と本線に合流して、あとは真っ直ぐ、バイパスの整備された道を走っていく。

 

 目的地まであと15分くらい。10時半には到着しそうだ。



 


「うおー!すげーー!ひのきちゃんかっこいー!!!」


 後ろで見ていたかおりはテンション爆上げ。デカイトラック退かすのはもう覇気じゃん!すげー!と大興奮だ。


 バイクにも一瞬で慣れた。山道は確かに怖かったけど、バイパスなら真っ直ぐだし風冷たくて気持ちいし。楽で楽しい!


「良かった良かった良かったなー!」


 足をパタパタさせながらバイクを楽しむ。1人じゃ怖かったけど、連れてって貰えてよかったな。


 1人じゃ絶対山道走りまくって後悔してた気がする。


 まあ、市街地の道ってあんまり覚えてないから仕方ないんだけどね。


 ……ひのきちゃん、この辺の道分かるのかな?


 あれ…?どうやって道覚えてるんだろ…?え、ほんとに覚えてる…?当てずっぽうじゃない…?ナビなんて無いよね…?


 急に不安になってきた。私はこの道知らんぞ。

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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