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薪と、ハーブと、ジビエご飯!  作者: 不月風音
大学1年生編!後期!
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実習ノート イチゴの収穫


 12月上旬。


 みくるたちはイチゴの実習室にいた。


「今日みなさんにやってもらうのは、イチゴの収穫とパック詰めです。」


 大畑先生が担当。早速ほ場に移動して、やり方を教えて貰えるみたい!


「イチゴの収穫は案外簡単にできます。でも、引っ張って取るではないんです。」


 そうなの!?今までの収穫…というかいちご狩りでは、大体ぐって引っ張ってた気がする…。


「イチゴの実を指で挟んで、横に捻る。これだけです。」


 全然引っ張ってない。なのにポロッと簡単にイチゴが外れている。続けてプチ、プチ、プチと、何個も何個も連続で収穫して、収穫箱に置いていく。


「え!すごいね!あんな簡単に取れてくんだ…!」

「いちご狩りで無双出来そうだねぇ…!」

「いちご狩りのためにいちごコース入りたいです…!」


 ぼたんの進路が揺れる。


「収穫できたらこんなふうに、ヘタ側を壁にくっ付けて、先端が地面に付かないような並べ方で収穫していきます。」


「イチゴは先端が柔らかくて、傷つきやすい。傷つくとそこからすぐに痛み始めちゃうので、気をつけて作業をしてくださいね!掴む時もずっと優しくですよ!」


 ということで、一人一人に収穫箱、パレットが配られた。いちご狩り…実習開始だ!



 真っ赤なイチゴを見つけて、収穫しようとする。えい!と曲げてみると…あれ?上手く取れない?


 近くにいるマリーちゃんを見ても、1個隣のレーンにいるひのきちゃんを見ても、ぼたんちゃんを見ても、上手くいってない。


 あれれ?やり方が違うのかな?

 イチゴのヘタから伸びてる茎に指を引っ掛けて力を入れてみる。


 ブチ!と音を立てて茎が剥がれた…けど、力が入っちゃうし、あんなに早く収穫するのは無理そうだ…。


「なんか…難しいね…」

「そうだな…コツが掴めないというか…」

「なんか似たやり方のものってないんでしょうか…?」

「うーん…ハサミ使うやつしかやってないしなぁ…」


 ハーブは役立つはずもないし…色も形も近いトマトなんかはハサミでやった。


「カモミールの収穫って違かったりしないかなぁ?」


 すっごい適当言ってみた。カモミールは花だし全然違うよなぁ…。


「それかも!!!」


 まじで?嘘だろぉ…!?

 適当言っただけなのになんかできることを確信した顔でこっちを見てくる。怖い。


 マリーの言葉を聞いて、みくるが最初にカモミール収穫で困った頃を思い出す。摘んで、引っ張って、横に倒す。行ける気がする!!


 ヘタに近い部分、太い部分を摘んで、ちょっと引っ張る。そして横に倒すと…パキっとイチゴが取れた。



「これだー!!!!!」


 世紀の大発見をしたみくるを、大畑先生は嬉しそうに眺めていた。


「イチゴも最初は花から始まりますし、近いところがあるのかもしれませんね!」


 確かに、カモミールの裏側ってイチゴのヘタに近いかもしれない…!


 ハーブの、カモミールの知識が応用できて嬉しかった!




「さて、収穫お疲れ様でした!今日はパレット5枚分収穫できましたね!」


 片手で持てるくらいのパレット。その上にズラっと敷き詰められた沢山の真っ赤な大きなイチゴ。

 部屋中がいちごの甘い香りに包まれていて、今にも食べちゃいたい!


「いただきまーす!」


 奴をとめろ!!!!バッと飛びつきなんとか阻止。

 ちゃんといただきたすするお行儀の良い子で助かった…。

 


「ここからはパック詰めをしていきます!綺麗なA品、ちょっと形が乱れたB品、商品にならないC品があります。」


「A品は平らなパックに綿シートを敷いてその上にイチゴを並べていく。B品、C品は深いパックに入れてジャム用などとして販売したりするんですが…」


 と、先生がチラとぼたんを見る。


「今回はパック詰めはA品のみ。B品以下は食べちゃいましょうか!」


 先生の目に、ぼたんのキラッキラの笑顔が映った。


 

 ということで、イチゴのパック詰めを始める。イチゴをまずパックの中に並べる。1パック300g以上入れてねって言われたから、300gを目指して入れていく。


 配られたプリントを見ると、1個あたりの大きさによって、パックに詰めるイチゴの数が変わってるみたい。


 大きいのは4個、少し大きめ5個、中くらい6個、小さめ8個みたいに、大きいのは少なく、小さいのはいっぱい入ってる。


 でも大体300gを目指して入れられてるみたい!なんかちょっと不思議かも!


 最初に手に取ったイチゴは少し大きめの枠の62g。大きさが近いものを探していく。


「触れる回数が増えると傷んじゃいますからね〜!」


 くっ…失敗できない…!!慎重に慎重に選び取って、計りに乗せてみると…


「330gか〜…ちょっと多いな…」

「みくる見てぇ〜!298g!安いよ安いよぉ〜!」


 それを見て先生が少し困った顔で笑う。


「残念ながら2人とも失敗です。理想は310gくらいを目指して頑張ってください!」

「多くても少なくてもだめなんですかー?」

「そうなんですよ。多いと確かにちょっとお得って思うかもしれませんが、我々農業者が損をしちゃいます。反対に少ないと、今度は消費者の人が困っちゃいます。」


 たまに計りに乗せて、300g無かったら文句言う人もいる。だから、水分の蒸発も考えた315gくらいがちょうどいい。らしい。


 そんなことを説明しながらパパっと早業でイチゴを交換して、みくるのを317g。マリーのを314gに調整してくれていた。


「おぉ…これが匠の技…!」

「スーパーでよく見るいちごのパックにもプロがいるんだね〜!」


 と、最後に大きないちごが5個余った。全部入れると340g。明らかに多い。


「うーん…まあいっか。」


 と、パック詰めの次の作業、蓋をするフィルム貼りのお手本を見せてくれた。


「いいんですかぁ!?」

「農業には完璧を求めない姿勢も大切ですよ!」

「なんかいいこと言って誤魔化そうとしてませんか!?」


 全く、悪い先生だぜ。

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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