第53話 罠作り!
罠を作る!
「分かりやすいようにちょっとずつやってこっかー!」
力作業で大変なんだよね〜と準備を始める。
「まずはこれー!ワイヤーを切ってこっか!今回は1人5個、合計25個作ろうね!」
はーい!
「ワイヤーは、ワイヤーカッターって道具を使って切ってきます!そのまんまのネーミングだね!」
と、説明しながらカチャンカチャンと切っていく。さすが手馴れてるな。あっという間に5本完成した。
じゃあ次ー!じゃあ次ー!とどんどん進み、ワイヤーのカットはあっという間に終わった。
「おつかれー!じゃあ次ね!締め付け防止金具とスリーブ!これを付けてくよー!」
と、2つの金具を取り出す。締め付け防止金具は獣の足が引っかかるところ。締め付けすぎないところに付ける。大体先端から12cmくらい。
スリーブはワイヤーの先端を円形にするために付ける。
まずはみくるから。ガチャン!と力強く下ろすと、確かに金具がぎゅっと変形して、固定された。
「へー!おもしろーい!!あれ…?」
金属が変形する。そんな経験したことの無い感覚に喜び、形の変わったところを触ってみると、
「なんか、温かい…というか熱いよこれ!」
「え?どゆこと?うわ、ほんとだ!」
「熱で変形させてるのぉ?」
「そういう機械なんでしょうか…?」
不思議に思っていると、かおりが違う違う〜!と説明を始めた。
「加工熱ってやつでねー、金属を強い力で動かすと、金属原子同士が摩擦し合って熱くなんだってさー!」
「へー!すごい!物知りだー!」
「いや!私もわかんなかったからAIに聞いたー!」
「AIって便利だねぇ」
文明の利器に感謝しながらカチャンカチャンと続けていった。
…あれぇ?みんなできてたのに…ビクともしない…?
マリーが止まった。ジャンプしてみても乗ってみてもぶら下がってみてもビクともしない。
「金属…強いぃ…」
「マリーちゃん1人じゃ無理そう?」
「無理ぃ!助けてぇ!」
みくるが即お手伝い。一緒になんとか加工できた。
「金具2つ通せたねー!じゃ次ー!ガチャンガチャンしてくよー!!」
そう話してまたもう1つ工具を取り出す。てこの原理?で動きそうな道具だ。
「それぞれの金具をここに挟んでー、思いっきり押し潰す!そうするとこんなふうに固定できるよ〜!」
ワイヤーの先端に円ができた。その付近に締め付け防止金具?ってやつがある。
「じゃ、この先端にできた円の中に反対側のワイヤーを通してね〜!」
そうすると、きゅっとくくれる形になった。
輪ゴムの片方を折り返して、もう片方の輪の中に通す。一方を引っ張ると、輪が小さくなる投げ縄の結び目のようになる。これを利用して動けなくするのがくくり罠の仕組みみたい。
「あとは塩ビ管取り付けてー、バネを押し込んでー、寄り戻しってやつ付けてー、木に取り付ける部分作ったらかんせーい!!」
なんか色々端折られた気がするけど、なんか完成物っぽいものが作れた。
「よーし完成ー!皆んなよく頑張ったねー!」
「こんなに大変なのぉ…」
「毎回こんなに作るんですか…?」
「んー…まあ壊れ方次第かな!」
壊れ方次第…?
「そーそー!引っかかった時に動物が暴れるから、どうしても2〜3回くらい引っかかるとどこかしら壊れちゃうんだよね。」
残念そうに話すかおり。続けて、
「壊れたまま使うと、こっちが反撃されるリスクも上がっちゃうし、すぐ作り直さなきゃ。だから、気温低めの時期に一気に作り置きするんだ〜!」
「今の時期くらい?どーしてぇ?」
「君たちは夏の熱〜い金属、触りたいかい…?」
みんなが首をブンブン横に振る。
「君たちは冬の冷た〜い金属、触りたいかい…?」
首を振り続ける。
「でしょー!やだよねやだもんね!だからこの時期って言うのと、もう1つ!」
「狩猟って本来冬にしかやっちゃだめなんだよね」
ん!?悪い人かな!?マリーが通報の構えを取ってみる。
「すぐ通報しようとするねー!?いいよーその喧嘩っ早さ!!でも合法合法!有害鳥獣駆除ってやつだから!!」
有害鳥獣駆除?
「ほらほら、前回みんなが来た時にやったのがちょうどそれなんだよ〜!農業とかに迷惑をかける指定された獣しか獲っちゃだめなやつ!」
「そんなのがいるんだ〜!」
「アナグマはあんまり有害鳥獣ってなってないみたいなんだけど、ここらでは最近対象になってるんだよねー。あとはイノシシとかシカみたいな畑を荒らす奴らとか!」
最後に、まー肉は冬のが美味いんだけどねー!と補足。
「山の守り神じゃん…!」
「かっこいい…!!」
「いやー!それほどでも!」
と言いながら神様っぽいポーズ?を始める。かおりは自認神らしい。
拝んどこう。
「民衆よ、私が授けられるものはこれで全てだ。さあハンターになってくるが良い…!!!」
「狩猟免許試験っていつだっけ?」
「来年の2月だよぅ」
「内容忘れそうだな…」
「そしたらまた聞きに来ましょう!冬のジビエを食べるついでに!」
お肉のついでか…そっか…。神は泣いた。
「あ、そうだ神様に言わなきゃだった」
ひのきが思い出した。
「うむ、なんでも申してみるが良い。」
「そろそろツーリング、行かない?」
「え行くー!」
神はとても上機嫌に民衆を送り出してくれた。




