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第5話 カモミールクッキー!

「ところで、カモミールはどう使うの〜?」


 使うってなに…?と、頭にはてなを浮かべるみくる。おいまじか、それすら考えずにハーブ育ててたのか…?


「ハーブってね、色んな食べ方とか使い方があるんだよぅ。ちょっと作って見よっかぁ」

 ということで、カモミールを使ったお料理教室が始まった。



 今日の現場はマリーの家のキッチン。材料はもちろん育てたカモミール。ハサミでチョキチョキと茎を切り、花だけをお皿に並べる。

 みくるがわなわなと震えて、こんな元気に育った子達を殺すの…!?みたいな目で見てきたので、100%マリー産のカモミールだ。

 

 さらに、薄力粉、無塩バター、砂糖、卵、塩をちょっと準備。


「今日はカモミールクッキーを作るよーぅ!」

「おー!めちゃくちゃ美味しそうだね!!」


 ゴクリとよだれを飲み込むみくるに、さっきまであんなにぷるぷる震えてたじゃねーかよ。と言いたい気持ちをぐっと堪え、クッキー作りを始めていく。


 まずはカモミールをすり潰す。すり鉢でズリズリとやると、カモミールのリンゴのような香りがフワッと強くなる。

 すり潰している横でみくるがあわあわと悲しそうな顔をしていたけど、まあ気にせず進めていこう。てか働け。


 マリーの念が通じたのか、これでいいんだよね?と、バターを温め、砂糖と混ぜ始める。

 良かった、お菓子作りは大丈夫そうだ。


 続いてみくるが混ぜているボウルに、すり潰したカモミールと卵黄を入れ、さらに混ぜる。

 ひぃー!きついよー!とみくるが言い出したけど、ここまで育て方を教えた私もきつかったしがんばれがんばれ。

 

 ある程度混ざって白っぽくふんわりしてきたら、薄力粉を投入。さっくりと混ぜ合わせて準備完了!

 薄力粉を入れてから明らかに生地が重たくなってペースダウンしたので、流石にマリーが代わった。


 生地をひとまとめにして冷蔵庫に送り込む。30分くらい休ませたら完成だ。


 ふぃー、休憩休憩と、椅子に座って人間側も休む。そういえば、カモミールを教える以外で話したことないなぁと二人して思う。


「マリーちゃんって、植物育てるの好き?」

「結構好きかなぁ、最初は食べられない種なのに、育ってどんどん食べられる葉っぱとか花、実に変わってくのを見るのが好きなんだよね」

 まぁ、食べられる種もあるけどぉ、とマリー。

「そういうみくるはどう?育てるの好きになったぁ?」

「うん!なんか、毎日水をあげるとか、陽の当たるとこに置いてあげるとか、そういうのでお世話するとどんどん愛着?っていうか、好きになってったかなぁ」

「そっかぁ…!」

 自分が頑張ったから、植物を育てるのが好きな子が増えた。頑張って良かったなぁと、ちょっと思う。

「なんか嬉しそうだね!」

「うるさいよぅ…」


 ピピピと、休憩の終わりを告げるアラームが鳴り、さぁさぁいよいよ仕上げに取り掛かる。


 休みに休んだ生地をぺちぺちと叩き起こし、めん棒を取り出す。ひんやりしてて気持ちかったな。


 ふんぬふんぬと押し広げたら、次は型抜き!丸と四角しかないから、手分けしてどんどん作っていく。


 丸が10個、四角が12個。マリーが2個多く作って大勝利!ふふん。細かい作業には自信があるんだぁ。


 抜いたクッキーの型たちをクッキングシートの上にぺぺぺいっと並べ、地獄の釜へGO!

 

「うぅ…!カモミールが熱いって苦しんでるよー!!」

「これも美味しくなるための修行…頑張れぇ…!」

 

 生地が焼けて良い香りがしてきた時には、早く焼けてくれないかなぁ、早く食べたいなぁと話しながら調理道具を洗っていた。


 ——オーブンで加熱し始めて10分後

 食器も洗い終わって、あと5分くらい待つだけになった。

 美味しくなるかなぁとわくわくするみくるに、なにか飲む?とマリーが聞く。


「んー、なにがあるのー?」

「カモミールしかないよーぅ」

「カモミールって飲めるの!?」

「…なんでハーブ育てようと思ったの?」


 あまりの知らなさにドン引きしながら、カモミールティーを作るためにてきぱきとお湯の準備をしながら話を続ける。


「うーんとね、なんか、目が合った!って感じがしたんだ〜」

「目が…合った…?カモミールと…?え?怖いね…?」


 危ない。変なこと言い出すからコップ落とすとこだった。

 

「不思議だよね、私も全然分かんないんだけど、これだっ!って思ったの」

「……ふーん、そっかぁ。」


 植物に触れる人は少ない。毎日観察やお世話をすることが面倒に感じたり、準備にちょっとお金がかかるからって、後回しというか、いつかやれたらいいなぁと言いながらやらずに諦める人を、店員として何人も何人も見てきた。

 

 500円で揃う道具が高いからと断ったあと、700円のカフェのミルクティを飲む友達を見た。

 毎日お世話できる自信が無いからと断ったけど、毎日欠かさずゲームにログインしている友達を見た。

 植物を育てるなんて地味だと、おばあちゃんの趣味だとか言ってきた人もいたっけ。

 

 そんな中で、目の前の女の子はその壁を乗り越えて、植物を育てるのが楽しいと言ってくれている。


「うちの店に来てくれてありがとうねぇ」 

「ん?うん!」


 弟子を見る目は間違ってなかったのかなぁ。


ここまで読んでくれてありがとうございます!

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何かを育てるのって、ハードルが高いですよね…。

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